桜を見る会騒動 私物化批判の「メディア」「野党」に刺さるブーメラン

【桜を見る会】デーブ・スペクター氏が私物化と批判するメディアにブーメランと指摘

記事まとめ

  • 桜を見る会を野党が批判するが、枝野幸男氏らが旧民主党時代の『推薦枠』に言及した
  • また、朝日新聞など大手新聞社やテレビ局も慣例として桜を見る会に招待されている
  • 自分たちのことに触れずに批判するのはブーメランとデーブ・スペクター氏が述べている

桜を見る会騒動 私物化批判の「メディア」「野党」に刺さるブーメラン

桜を見る会騒動 私物化批判の「メディア」「野党」に刺さるブーメラン

半年後の追及など知る由もなかった

 人を呪わば穴ふたつ――。そんな諺(ことわざ)を持ち出すまでもなく、誰かを陥れようとすれば自らも報いを受けるのが世の習いである。

 吉田茂政権下の1952年にスタートした桜を見る会は、毎年4月頃に東京・新宿御苑で開かれてきた。開催費用は公金、つまりは血税である。招待されるのは〈各界で功績があった人や功労者など〉とされる。

 だが、概ね1万人前後だった参加者は安倍政権下で一気に増加して、2014年度の約1万3700人が、今年度は約1万8200人に。支出額も約3千万円からおよそ5500万円に膨れ上がった。

 加えて、「議員ひとり当たり4〜5人、閣僚は20〜30人」(自民党関係者)という「推薦枠」まで発覚。「功労者」ばかりでなく、与党議員の「後援者」を大量に招いていたことが取り沙汰され、ついに来年度の桜を見る会は中止へと追い込まれたのである。

 とはいえ、安倍政権への追及を強める野党側が、こうした会の実情について「初耳」だったかといえば、そうではない。

 桜を見る会は鳩山由紀夫内閣時代の2010年にも開かれていた。

「もう記憶の彼方だけど、大阪の友人夫妻を2組招いていた記憶がある。まぁ、何人でもお連れ下さいという感じだった」

 とは石井一・元民主党副代表である。旧民主党に所属していた別の元代議士はこう明かす。

「当時から“推薦枠”があったのは事実です。事前に何人呼ぶかを党に報告してね。招待するのは基本的に地元の後援者ですが、実際には誰を呼んでも構わなかった。率直に言えば、桜を見る会は、“時の政権が後援者をもてなすイベント”なんです。共産党以外の野党が、安倍政権の“私物化”を批判するのは天に唾する行為でしょう」

 国民民主党の玉木雄一郎代表も、旧民主党時代の「推薦枠」について「各議員4名だったと思うが、推薦枠があり、私自身もお世話になった方々を連れて行った」と発言している。改めて取材を申し込むと、

「各界で功労のあった方として、ご支援いただいた地元の商工会の会長などを推薦しました」

 同じく、立憲民主党の枝野幸男代表も、

「若干の知己を推薦したと記憶している」

 と答えた。言うまでもなく、「知己」とは〈(1)自分をよく理解してくれる人。(2)知合い。知人〉(新明解国語辞典)を指す。

 つまり、招待客の曖昧な選定基準や推薦枠を問題視するならば、民主党から分裂した野党第1党と第2党のトップからして「同じ穴のムジナ」なのである。

 1990年代から20回以上、この会に出席してきた放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏は、

「そもそも、首相の主催なんだから、自分と縁のある人を招くのは当たり前。民主党政権の時は民主党の後援者が来ていましたよ。それを批判するのは“和田アキ子が『アッコにおまかせ!』を私物化している!”と叫ぶようなもの。アメリカやフランスの首脳だって式典には自分に近い人物を呼びますからね」

 と一刀両断した上で、

「メディアにしたって毎年この会を取材してるし、お偉方が桜を見る会に招待されてるんだから、与党の支援者が大勢訪れていることは分かっていたはず」

 と言うのだ。実は、メディアから激しく追及される安倍首相も、この矛盾に言及していたのである。


■「出席しております」


 まずは、メディアではほとんど報じられない、安倍首相のある発言を取り上げてみたい。

 首相は総理番の記者からの「桜を見る会にはどんな方が参加すると認識していたのか」との質問にこう切り返している。

〈叙勲を受けられた方々もおられますし、いろんな方々が、正に皆さんの会社のトップの方、幹部の方、あるいは報道機関のキャップの方等、たくさん来られてますね〉

 つまり、この問題を糾弾するメディア関係者も会に招待しているではないか、というワケだ。実際に大手新聞社・テレビ局に「貴社の社員や役員が、招待を受けて桜を見る会に出席したことはあるか」と問い合わせてみた。

 すると、読売新聞は「あります」、産経新聞からは「はい」との回答があった。

 他方、朝日新聞は「少なくとも2013年以降は、社主と代表取締役は出席していません」としながら、「招待状については、最近は、社長あてに届いています」。

 毎日新聞は「社長、会長あてに毎年、招待状をいただいておりますが、出席した記録はございません」と答えている。

 では、テレビ局はどうか。テレビ朝日が「招待を受けたことはありますが、確認できる範囲で役員は出席していません」とする一方、「招待を受け取材目的で出席しております」(フジテレビ)、「これまでに弊社関係者が出席したことはあります」(TBS)、「招待を受けた場合には、出欠などについて適切に対応しています」(NHK)といった回答が寄せられた。

 端的に言えば、出欠はともかく、いずれの主要メディアも慣例として桜を見る会に招待はされているのだ。先のデーブ氏が、

「メディアは以前から事情を知っていたのに、ネタになると気付いて取り上げ始めた。ただ、自分たちが招待されていることに触れずに“私物化”を批判するのはブーメランですよね」

 と訝るのも頷ける話だ。

「週刊新潮」2019年11月28日号 掲載

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