桜を見る会に紛れ込んだ半グレに「4600万円詐欺」「傷害」「牛殺し」で逮捕の過去

 桜を見る会をめぐり、今度は「反社会的勢力の出席疑惑」が取り沙汰された。反社とされる人物と菅義偉官房長官が並ぶ写真がネットに出回ったことで、国会でも質問が飛ぶ事態となっている。が、その1週間以上前の時点で、永田町には怪文書が出回っていた。そこには件の菅官房長官の写真ほか、コワモテの男性たちが桜を見る会で並ぶ様子、上半身裸の男たちがシンガポールのリゾートホテルのプールにつかる場面をそれぞれ収めた写真が掲載されているのだ。

 暴力団事情に詳しいジャーナリストによれば、菅官房長官のツーショット写真のお相手は、有名な半グレ「A氏」の企業舎弟とされる人物で、桜を見る会の写真にはひげを蓄えたA氏も写っている。また、プールの写真は今年7月に撮られたものだといい、そこにもやはりA氏の姿が。そしてプールの写真の端に写るのは、沖縄県の指定暴力団「旭琉會」傘下、2代目功揚一家の狩俣重三総長(57)だ。桜を見る会に参加していた反社勢力として取り沙汰されてしまった狩俣総長は、「全く関与しておりません」と困惑気味に語る。

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■反社騒ぎの「桜を見る会」渦中の「暴力団総長」が実名証言(2/2)


 会に出席していたA氏とは、いかなる人物なのか。

「A氏は元々、大阪で地下格闘技の団体をやっていました。その団体のTシャツを着て繁華街をねり歩いたり、団体のステッカーを売っていただけならよかったのですが、そのうち、組合費などと称して飲食店などからみかじめ料を巻き上げるようになりましてね……」

 と、大阪府警関係者。

「それで、ミナミをシマとする地元の暴力団組織が“ヤクザの米櫃(びつ)荒らすんか!”と激怒して喧嘩に。最終的にはある大物暴力団組長が間に入って仲裁し、A氏は大阪を離れ、沖縄の石垣島で飲食業などをやるようになった。それが、4、5年前のことです」

 それだけの荒くれものだけに、前科前歴も“多彩”である。10年には、住宅ローン名目で金融機関から約4600万円をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕。14年には、知人の頭をビールジョッキで殴るなどしたとして傷害容疑で逮捕されている。また、

「15年には、食肉処理場以外の場所で牛を殺処分して、と畜場法違反容疑で大阪府警と沖縄県警に逮捕されています。A氏に“牛が殺されるところを見てみたい”と頼んだのは彼の家族。で、石垣市内の畜産場で、牛1頭をハンマーや刃物を使って殺し、解体したのです」(捜査関係者)

 そんな“牛殺し”の過去があるA氏についての沖縄県警の認識は、

「半グレの『Aグループ』のリーダーというもの。そのグループについては、『準暴力団』と位置付けています」(同)

 つまり、半グレグループのリーダーと、沖縄を地盤とする暴力団の総長が一緒に収まったのが、シンガポールのプールで撮られた写真ということになる。

■「原点に立ち返って」


「確かに、Aさんのことは存じ上げています。ただ、単なる知り合いに過ぎず、偶然、同じホテルだったというだけのこと。向こうが私を見かけて挨拶に来られたんです」

 と、先の狩俣総長は言う。

「私は妻との観光旅行で、そこに自分の若い衆を2人連れて行ったわけです。その2人は問題の写真にも写っています。私はAさんがいつまでシンガポールに滞在していたのかも知らないし、その時、Aさんと一緒にいたグループのどなたとも面識はありません」

 狩俣総長がA氏と知り合ったのは4年ほど前だった。

「彼が石垣島で新しく飲食店を経営するということを知り合いから聞いて、『大阪から来た社長さんです』と紹介された。以降、会えば挨拶をする程度の関係となったのです」

 と、狩俣総長。

「警察には、Aさんが旭琉會の企業舎弟なのではないかと勘繰る人もいるし、実際にそういう噂もあるようですが、全く違うと断言出来ます。企業舎弟というのは、稼いだお金の一部を暴力団組織に上納する企業体のことです。しかし、私も旭琉會もAさんからお金を受け取ったことなどたった一度もありません」

 では、A氏はなぜシンガポールにいたのか。

「今、警視庁から狙われている怪しい実業家がいるのですが、その人の招待だったと聞いています」

 と、A氏の知人。

「シンガポール在住のその実業家は今、仮想通貨に関する事業をやろうとしていて、飲食業を営む社長や半グレの連中を何回かに分けてシンガポールに招待したそうです。あの写真に写っているAさんのグループは皆、その人の招待ですね。ただし、費用は全てシンガポールのカジノ持ち。彼はカジノの上客ですからね。また、ホテルだけではなく彼の自宅でホームパーティーをすることもある」

 実際、さる飲食店経営者に聞くと、

「僕もその実業家にシンガポールに招待され、マリーナベイ・サンズにも行きました。問題の写真が撮られた現場にも居合わせましたよ。あー、怖そうな人たちがいるなって。異様な雰囲気だったので、そこにいた外国人たちがみんな距離を置いていました」

 そう証言するのだ。

「あの写真を撮ったのは、その時、顔がパンパンに腫れ上がっていた20代くらいの若い子です。なんでも、行きの飛行機のトイレでタバコを吸ったとのことで、Aさんから“飛行機が落ちたらどうするんじゃ!”と下駄でボコボコにされた。写真に写れるような顔ではなかったので撮影役になったんでしょうね」

 そんな“危険人物”が桜を見る会に紛れ込んでいたことについて、政治アナリストの伊藤惇夫氏は、

「ここまで規模が拡大すると、一人ひとり素性を確認するのは不可能。反社が混じっていてもおかしくない、というより反社が混じっていないほうがおかしい」

 として、こう語る。

「現場でのセキュリティチェックがほとんどなされていないことも驚きです。セキュリティチェックが機能していない以上、テロ行為があっても不思議ではありません。今後も桜を見る会を続けるのであれば、原点に立ち返って、参加者を5千人規模くらいまで縮小するのも一つの手です」

 いずれにせよ、しつこく国会で取り上げるような重大事案でないことは明らか。我々はいつまで不毛な攻防を見せつけられるのか。

「週刊新潮」2019年12月12日号 掲載

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