逮捕の「秋元司議員」が1年前にVシネマ出演、マル暴刑事役という皮肉

逮捕の「秋元司議員」が1年前にVシネマ出演、マル暴刑事役という皮肉

自民党の秋元司衆議院議員

 12月25日、東京地検特捜部は自民党の秋元司衆議院議員(48)を収賄の疑いで逮捕した。

 だが、ご存知だろうか、秋元センセイ、ちょっと前まで“逮捕する側”であったことを。ヤクザもののVシネマ「日本統一 33」では、マル暴の刑事役として組事務所に踏み込み、主演俳優を逮捕していたのだ。撮影現場では、ノリノリでアドリブまで披露していたとか――。(以下、19年12月24日配信記事を再掲載)

 本宮泰風&山口祥行が主演のオリジナルビデオシリーズ「日本統一」は、横浜出身の2人の不良青年が日本最大の任侠団体「侠和会」の盃を受け、日本極道界統一を目指し奮闘するというストーリーだ。2013年に第1作が販売されて以来、すでに36作が制作され、来年1月には37作目の発売も決まっている。

 今年4月に発売された33作目に、渦中の秋元センセイが出演しているらしいとの噂を聞いて、ならばと見てみた。映画が始まって40分が過ぎた頃である。氷室(本宮)と田村(山口)が今後の作戦を練っているところに、ノックもせずに乗り込んで来た刑事……。銀縁でつり上がり気味のメガネをかけ、部下2人を従えて、自信ありげに2人に近づくと、巻き舌気味にこう言うのだ。

刑事:田村ぁ、恐喝容疑や!(と言って逮捕状を目の前に突き出す)

田村:あー? なんだそりゃあ。やってねえよ、そんなこと。

刑事:おとなしくせえよ、公務執行妨害も加算されるで。

田村:やってねえっつってんだよ、この野郎。(止めに入ろうとする氷室)

刑事:(たじろぐことなく)17時15分、通常逮捕。

――部下が田村に手錠をかけると、ようやく刑事の顔がアップに――確かに秋元センセイによく似ている。氷室に向き直ると、

刑事:氷室さんっ! 次はオノレやで……ほな。

 と言って、左手の人差し指と中指をサッと振ってポーズをつけて去って行く。1分にも満たないシーンではあるが、本物だろうか。そのまま見続けるが、他にこの人が出てくるシーンはない。とうとうエンドロールだ。だが、あった!「秋元司」の名が出てきたのである。もちろん、同姓同名の別の役者と言うことも考えられる。本作でメガホンを取り、現在は41作目を撮影中という、ヤクザ映画の巨匠・辻裕之監督に聞いてみた。


■ヤクザ役でもいい


――監督、あの刑事役の役者さんの件ですが?

辻:ああ、秋元先生のこと?

――やっぱり、秋元議員なんですか!

辻:うん。現役の国会議員なのに「ヤクザ映画に出たい」と言うんだから、ホント変わってるよね。

――自分から出たいと?

辻:そう。現場では「大丈夫なんですか」なんて言われてたね。本人は「大丈夫、大丈夫、関係ないっすよ」なんて言ってた。氷室と田村という主役の役名まで知っていたから、「日統」のファンだったのかもしれない。最初は「ヤクザ役でもいい」って言ってたくらいなんだけど、いくらなんでも現役の国会議員がヤクザじゃまずいと、こっちが心配したんです。そこでわざわざマル暴の刑事役を作ったんだよ。クリーンな議員だと思ってたしさ。

――撮影はいつ頃だったのか。

辻:ちょうど1年前じゃないかな。「この日だったら撮影に行けます」ってことだったから、国会を休んで来たわけではないと思うよ。

――昨年10月以降であれば、内閣府副大臣と環境副大臣を兼務していた時期である。副大臣の演技は、監督から見てどうだったのか。

辻:素人にしてはちゃんとしていたね。アドリブまで考えてきてた。

――指2本でキメる仕草があったが、

辻:そうそう、あそこは自分で考えてきてた。ノリノリだったね。

――それでもワンシーンしか見当たらなかった。

辻:そりゃそうだよ。あくまで素人なんだから。

――他の作品でも使おうという話にはならなかったのか。

辻:なるわけないじゃない。だって、4月に「33」が発売されてすぐに彼の記事が出ちゃったんだから。


■恐喝の被告から献金


――「週刊文春」(4月25日号)は「ヤミ金借金1・2億円を東レ社長に取り立てた副大臣」として、環境副大臣だった秋元議員が、ヤミ金の取り立てに手を染めていたという記事を掲載した。

辻:あの件では逮捕されなかったんだよね。でも今度は逮捕されるのかな。だとすると心配だな。

――秋元議員のことが?

辻:いや、Vシネマは今、レンタルよりも配信やCS放送で見られることが増えているんですよ。「日本統一」も、それで人気になって続いている。でも、逮捕者が出たということになると、撮り直しも考えなきゃいけないかも……。

――Vシネマも大変なのである。ところで、いくら国会議員が作品のファンだからといって、簡単に出演できるものではないだろう。

辻:詳しい事情は知らないけど、製作のオールインエンタテインメント代表だった山田さんの紹介だと思う。だって、山田さんは普段は現場になんか全然来ないのに、秋元さんの撮影に時には来たんだから。

――オールインエンターテインメントの山田浩貴元代表は、秋元議員が代表を務める自民党東京都第15選挙区支部に、昨年5月と8月に15万円ずつ、計30万円の寄付をしていた。そして今年7月9日――詳細は「週刊新潮」(12月5日号、12月12日号)に譲るが――、不動産会社社長から1000万円を脅し取ったとして、山田元代表は警視庁組織犯罪対策3課、つまり映画同様、マル暴に恐喝の疑いで逮捕されているのだ。オールインエンターテインメントの現在の代表である人見剛社長に聞いた。

人見:田中は前代表で、現在は全く関係ないのです。しかし、企業として逮捕者を出してしまったことは、反省すべき点があると考えています。

――逮捕されて辞任したのか。

人見:7月の逮捕でしたが、実は6月頭には辞任していたんです。後は若手に任せるということで。

――秋元議員は、山田元代表の紹介で映画に出演したのか。

人見:そうですね、山田が秋元先生と個人的に仲がよいことから出演に繋がったと聞いています。

――会社名で献金していたことは。

人見:後になって知りました。

――山田氏と一緒に逮捕された、御社の顧問・松浦正親氏と、秋元議員は仲がよかったと聞くが。

人見:その顧問にも、困っていたんです。給与を払っていたわけでもありませんし、勝手に顧問を名乗っていたんだと思います。松浦氏と秋元先生のお付き合いはわかりません。

――俳優・秋元議員にギャラは出ているのだろうか。

人見:いくら何でもそれはないですよ。

――秋元議員が自社の映画に出演していることを知ったのはいつか。

人見:撮影時は知りませんでした。でも完パケを見ているときに、「あれ、この人は初めて見るけど、プロではないな」と思いました。役者さんの演技とは違いますからね。それで、エンドロールを見ると、現役の国会議員じゃないかと。面白い人もいるもんだな、変わった人だなと思ってました。

 確かに、お付き合いも幅広い、変わった国会議員である。だが、彼もまた“魔の2回生”の1人であることを考えれば……。はたして彼の迷演技は、いつまで配信で見ることができるだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2019年12月26日 掲載

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