文科大臣が行政を食い物にする「萩生田球場」 目的は票集め?

文科大臣が行政を食い物にする「萩生田球場」 目的は票集め?

萩生田光一文科相

■文科大臣が行政を食い物にする「萩生田球場」(2/2)


 東京都八王子市鑓水(やりみず)にある、東京都が所有するグラウンドが、八王子リトルシニアなる少年野球チームの「専用球場」となっていた。公有地が独占されている背景には、チームと縁の深い萩生田光一文部科学相(56)の口利きがあったと囁かれている。

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 リトルシニアが件の土地を球場として使い始めたのは、2016年から。当時の球団の会長は萩生田大臣だ。

「それまでは別の小さなグラウンドで練習していたのですが、そこが使えなくなってしまったため、新たな場所を探していた。それで目をつけたのが問題の土地で、リトルシニアが都か市に“相談”したところからこの話は始まったと聞いています」(鑓水町会関係者)

 件の土地を球場として使えるよう整備したのはリトルシニアである。それより前、八王子市内にある別の硬式少年野球チームの関係者はあることを提案されたという。

「あの球場が建設される前、ウチを含む硬式2チームに対して、リトルシニアの監督が“合同でやらないか”と言ってきたのです。建設の話が市町村などしっかりしたところから出ているのであれば、我々も出資してもいいのでは、という声が当初はありました。しかし、都有地なのにシニアさんから話が来るという流れが良く分からなかった」

 そこで市に確認したところ、詳細をきちんと連絡する、との回答を得た。

「にもかかわらず、その回答が来る前に球場建設が始まっていたのです。腑に落ちないところもあったので、市に再度確認に行くと、『あそこは都有地なので市は関与していない』と言われてしまいました」(同)

 リトルシニアが提示した、球場建設のための初期費用は2千万円程度。それを3チームで分担しよう、との提案だったが、他の2チームとは資金面などで折り合いがつかず、最終的にはリトルシニア単独で行うことになったのである。

「でも、いろいろ後から聞くと、初期費用は2千万円もかかっていないという話でした。シニアさんとしては、我々が乗っても乗らなくても専用球場が欲しかったのでしょう」(同)

 要はアリバイ作りの持ちかけだったと見られるが、市内の別の少年野球チーム関係者はこう漏らす。

「あのチームのバックにいるのは皆さんが知っているような方ですからね。都有地であれだけ広い所ということを考えると、萩生田さんとかあの辺の何らかの働きかけがあったのでは、とはみんな考えていることではありますし、そういう噂をチームや周辺で聞くこともあります。『よく借りられたな』と思っている人が多いのは事実です」


■支離滅裂な答え


 一連の疑惑に対し、萩生田大臣はなんと答えるか。取材を申し込んだところ、文書でこう回答した。

「市が特定の団体を優遇したとする貴誌(「週刊新潮」)の指摘は誤解に過ぎないと聞いており、現在でも運動場の利用希望者は運営協議会に連絡をし、所定の手続きと利用料を支払えば利用できると聞いています」

 問題の土地を巡り、萩生田大臣が都や市に圧力をかけたり口利きをしたのは事実か、との質問に対する答えは回答文には入っていなかった。また、協議会に連絡をすれば誰でも使用できる、との回答も「詭弁」に過ぎない。何しろ、協議会の所在や連絡先を市に問い合わせたところ、

「所在といっても会館などがあるわけではありません。法人とかでもありません。あるとすると個人の方の自宅ということになるのでお教えすることは出来ない」

 と、支離滅裂な答えが返ってきたのだから。これでは申し込みようがあるまい。

 また、そもそも、

「鑓水の球場=リトルシニアさんのもの、という認識ですから、そこを借りようなんて思ったことすらありません。もちろん、日々、グラウンド確保に苦労している身からすると羨ましい限りという気持ちはあります。専用グラウンドがあればどんなに楽か……」(市内の軟式少年チーム関係者)

 少年野球に詳しいスポーツライターもこう語る。

「都内の少年野球チームにとって、グラウンドの確保はまさに死活問題です。区(市)営の球場はもちろん、河川敷のグラウンドであっても基本は抽選。抽選は“運頼み”ですから、グラウンドが取れないなんていう最悪の事態が起こらないとも限らない。それを避けるため、各チームとも知恵や人脈を総動員している」

 八王子リトルシニアはそうした苦悩から解放されたわけだが、萩生田大臣がチームのために「汗をかく」のは、決してボランティアの精神からばかりではないようだ。

「今回の件のポイントは、市がオープンに決めれば済むことを、なぜわざわざ危ない橋を渡ってまで内々でやったのかということ。こうしたケースの場合、政治家が絡んでいる疑いは濃厚でしょう」

 都市政策学者で法政大名誉教授の五十嵐敬喜氏はそう指摘する。

「政治家にとってスポーツチームのような団体は選挙活動の場でもある。少年野球チームは特に保護者同士の結びつきが強く、よくしてあげればよい支援者になってくれる。息子がそのチームにいたならなおさらです。またこのチームは現役の選手だけでも相当な人数がいるようですから、その父母やOBまで含めると、かなり強い支持基盤になると思います」

 なるほど、「萩生田球場」は野球だけではなく、“票集め”の場でもあったわけである。

「週刊新潮」2020年1月2・9日号 掲載

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