安倍政権最大の危機「カジノ国会」に切り札は… 野党追及の4問題、疑惑の“KISS”

安倍政権最大の危機「カジノ国会」に切り札は… 野党追及の4問題、疑惑の“KISS”

安倍政権最大の危機「カジノ国会」に切り札は…

 20日に開幕した通常国会。子の年は「政変の年」。首相の交代が相次ぐ因縁の干支だが、今年も歴史は繰り返すのか。「IR疑獄」に、問題議員、桜を見る会、そして、セレブの育休大臣……。150日間の「カジノ国会」を舞うプレイヤーに逆転の切り札(ジョーカー)はあるのか。

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 逮捕に捜査、辞職に処分と、汚れたキーワードばかりが報じられる今国会。

 その中で与党にとって、唯一と言っていい前向きな話題が、17日の、小泉進次郎・環境大臣(38)の長男誕生であろう。

「元気な子だったよ」

 と喜びの声を上げるのは、大臣の叔父、すなわち、純一郎・元総理の弟に当たる、小泉正也氏である。

「生まれてすぐに病院に見に行きました。体重が3700〜3800グラムもあってね。とっても大きな子でしたよ。奥さんも顔色も良くて全然元気。むしろビックリしたくらいだった」

 と言うから、滝川クリステル(42)の高齢出産に対する心配も、杞憂に終わったということだ。出産前、正也氏は妻の名を取った「クリ太郎」なる名前を提案。甥っ子に即座に却下されたと本誌(「週刊新潮」)の取材で明かしていたが、その後はどうなったのか。

「だいぶ絞られてきているみたいだね。でも、お父さん(純一郎氏)とも相談するだろうから、古臭い名前になるはず。太郎だとか、一郎だとか、ナントカ助だとか。わけのわからない『キラキラネーム』にはならないはずだよ」

 4代続けて総理や大臣が輩出してきた政治家一族の御曹司。行く末はバラ色のビッグベイビー。

 が、この出産を巡っては、決して祝福ムード一辺倒というワケではない。それは出産の2日前に「パパ」が発した「育休宣言」が原因で、以下に述べる醜聞に揺れる自民党の足を引っ張る格好となったのである。

「今国会は、第2次以降の安倍政権として一番苦しい国会になるし、最大の危機と言っても過言ではありません」

 と述べるのは、政治ジャーナリストの泉宏氏である。

 野党の矛先にあるのは四つの論点。頭文字をとって、「疑惑のKISS」と呼ばれている。曰く、K=河井克行・前法務大臣と案里議員夫妻による「ウグイス嬢報酬」問題、I=IRを巡る収賄事件、S=菅原一秀・前経産大臣の「香典配布」疑惑、そして、S=「桜を見る会」を巡る問題だ。

 まずは昨秋、相次いで辞任した「大臣」について、政治部デスクが言う。

「野党は、河井夫妻と菅原議員の辞職を強く迫る方針です。既に夫妻の周辺には広島地検の捜査の手が伸び、関係者の立件は時間の問題と目されていますし、菅原だって状況的には真っ黒。自民党も早くクビを差し出した方が傷は広がらないのですが、それが出来ない“事情”があるのです」

 昨年12月、自民党の望月義夫・元環境大臣が死去。補欠選挙は4月26日に予定され、自民党候補の勝利が有力視されているが、

「河井夫妻や菅原が3月15日までに議員辞職した場合、この補選も同じ4月26日に行われることになる。すると、疑惑の候補を含む4名の補選となり、自民党にとっては強い逆風。一転、どれも大苦戦が予想されるのです。自民党はそれを避けるため、早期の辞任は回避したい」(同)

 しかし、彼らを生き永らえさせればさせるだけ、支持率にはマイナスに跳ね返る。大きなジレンマが生まれるワケなのだ。

「桜を見る会」を巡る疑惑はもはや、会そのものより、モリカケを彷彿とさせる、公文書の扱いを巡る問題に発展している。

「“廃棄した”と言っている書類が見つかりでもしたら一気に政局になる」(同)

 と言うから、こちらも大きな爆弾を抱えているのだ。


■“本当に迷惑”


 何より、既に大きな動きを見せたのは、「カジノ疑獄」について。国会開幕当日の20日、1月下旬に予定されていた、IRの認定基準に関する基本方針の決定が、先送りされることが報じられた。

「これには驚きました」

 と述べるのは、国際カジノ研究所の木曽崇・所長である。

 もともと、IRについて予定されていたスケジュールは、

○2020年1月7日 「カジノ管理委員会」発足

○1月下旬 「基本方針」が決定

○2月以降 方針に基づいて各自治体が業者を公募、選定

○2021年1〜7月 自治体が国に開業申請

○7月以降 国が最大3カ所を認定

○2020年代半ば (建設を経て)開業

 というものであった。

 しかし昨年末、IR誘致を巡る収賄容疑で秋元司・元内閣府副大臣が逮捕された。国会議員の逮捕は実に10年振りのこと。加えて、岩屋毅・前防衛大臣など5名の議員も、同じ企業から金銭を受領した疑いで、特捜部から事情聴取を受けたのは周知の通り。

 別の政治部デスクが言う。

「疑惑の高まりで、世論はカジノ開設に硬化。政権寄りの読者が多い読売新聞の調査でさえ、6割が反対との結果が出たほどです。政府はこうした空気を感じ、前のめりとの印象を与えるのを避けるため、とにかくカジノの話題から身を遠ざけたい。基本方針決定に“待った”をかけたのもそのためです」

 が、この決定は、今後のIRの行方に大きなダメージを与えそうだ。

 現在、国内でカジノの誘致を申請予定、または検討しているのは、7地域8自治体。北から東京都、横浜市、愛知県、名古屋市、大阪府・市、和歌山県、長崎県である。その中でも、大阪と横浜が最有力とされているが、前出・木曽氏は言う。

「基本方針が先送りとなれば、当然、申請、認定、開業も遅れる。となれば、特に大阪にとっては大きな痛手となります。大阪では2025年に万博が開催されます。府や市はそれに合わせてIRを部分的にでも開業できるよう、国の動きに先行して準備を進めていました。しかし、これで部分開業すら間に合わなくなる可能性が大きくなった。これまでやってきたことが無駄になってしまうのです」

 実際、橋下徹・元市長も、ネットテレビで、

〈国会議員の意識が低すぎる。今回のことは大阪にとって本当に迷惑。いよいよIRの計画が進んでいくなというときだったからね。世論は見直しをすべきだという意見が多数を占めてしまっている〉

 と怒ってみせた。

 他方、横浜市では、既に火が点いた反対運動に、ガソリンを注入する格好となっている。

 地元記者によれば、

「現在、カジノを推進する林市長は、各区で住民向けの説明会を開き、説得に努めています。しかし、“嘘つき!”などとヤジが飛び、会場は荒れ模様。退場する時も、裏口から出ていく始末です。“カジノ用心”とばかり、火の用心の拍子木を鳴らす人もいて、ちょっとしたイベントになっています。横浜市では、ちょうどこれまで申請期限末とされていた2021年の夏に、市長選挙が予定されています。申請期限が延びれば、反対派はこの選挙で勝利を収め、申請を撤回させることも可能になる。勢いはより増していくでしょう」

 運動の中心は、開設予定地・山下ふ頭に多くの会員企業がテナントを構える「横浜港運協会」。会長の藤木幸夫氏は、強面の人柄と、その幅広い人脈から、「横浜のドン」と言われてきた。この藤木氏も、協会の新年会の後の囲み取材で、

「(IR汚職は)私たちには追い風。あれ、全部実態を書いたら、新聞が何ページあっても足りませんよ」

 と吼えて見せたのである。


■“芸能人と同じ”


 追い詰められた安倍政権。その一服の清涼剤が、冒頭の小泉環境大臣の“慶事”であったワケだ。

 ところが、

「出産はともかく、『育休宣言』で評価はガタ落ちです」

 と述べるのは、前出の泉氏である。

 小泉大臣が表明した「育休」は、3カ月間の中で2週間分というもの。国会や閣議など重要な公務には出席し、役所で行われる打ち合わせやレクチャーはメールやテレビ会議を通じて行うか、副大臣や政務官に代わってもらう。結果、丸々一日の休みもあれば、時短勤務となる時もある――と説明している。

 しかし、

「進次郎は政治家で、しかも大臣という公職中の公職にある身。民間企業のサラリーマンとは違いますよね。加えて、妻のクリステルは資産が3億円近くあることが昨年の資産公開で判明したばかり。進次郎自身も、父親から政治団体を事実上そのまま受け継ぐなど、資産に余裕がある。実際、妻が出産したのは、都内の産院で『御三家』に数えられるセレブ病院。全室個室で、最も高い部屋は、1泊14万円もします」(前出・政治部デスク)

 国会開幕の前日午後には、ここを小泉大臣が車で訪れ、1時間ほど滞在している。しかも来院の30分前には、病院関係者と見られる人物が周辺をわざわざ見回りに来るほどの“特別待遇”を受けているのだ。

「退院後も、母子は滝クリの実家に滞在するはずで、サポートは万全」(同)

 ゆえに、

「育休の感想を聞かれた自民党の森山国対委員長は“人それぞれでは”と突き放し、公明党の山口代表に至っては、“まずは職員が育休を安んじて取れる環境を整えるのが仕事”と釘を刺した。そもそも環境大臣として目立った実績を上げていませんから、党内からは“結婚や出産を切り売りする芸能人と同じ”との声も出ています」(泉氏)

 慶事が一転、マイナスとなる可能性すらあるのである。

「国会初日の総理の施政方針演説には驚かされました」

 とは前出・泉氏。

「42分に亘った演説の中で、IR疑惑にまったく触れなかったんです。観光立国の目玉なのにありえないことです。『桜を見る会』も、前大臣らの疑惑についても一言もなかった。ひどい話ですが、逆に言えば、総理がそれだけ追い詰められ、余裕をなくしていることの証左と言えますね」

 国会閉幕後の安倍政権は追い詰められた「袋の鼠」か。はたまた茨の道を乗り越え、大山鳴動、とばかりに胸を撫で下ろすのか。

 地雷だらけの「カジノ国会」を乗り切る切り札(ジョーカー)は今のところ見当たらない……。

「週刊新潮」2020年1月30日号 掲載

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