橋本聖子五輪相と高橋はるみ議員を「共犯関係」にした「美貌のベテランウグイス嬢」

■橋本聖子五輪相と高橋はるみ議員に「疑惑のウグイス嬢」(2/2)


 橋本聖子五輪相(55)と前北海道知事の高橋はるみ参院議員(66)に浮上した、ウグイス嬢をめぐる疑惑。昨年の参院選で、両者はともに吉田優子さん(仮名)にウグイス嬢を依頼した。が、各々の報告書に記された彼女の稼働日数を足すと、選挙運動期間である全17日を優に超える日数となるのだ。

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「高橋さんの選挙運動費用収支報告書にはウグイス嬢の稼働日数について、事実と異なる記載がなされているのです」(自民党の道連関係者)

 顕著なのは、先に紹介した吉田さんだ。高橋氏の選挙運動費用収支報告書を見ると、吉田さんの稼働日数について、計14日間働いたという主旨が記されている。だが、これは実際の稼働日数から“水増し”された数字である。

 今度は自民党関係者の話。

「吉田さんが高橋陣営で丸一日働いたのは6日間。加えて、半日働いた日が6日間だけあったというのが実態だったのです」

 前述した、稼働日数を両陣営で足すと辻褄が合わなくなる理由はここにあるのだ。

 前衆議院議員で元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、

「本来、選挙運動をしていないのに、運動したように記載するのは、当然、選挙運動費用収支報告書の虚偽記載にあたります。例えば、3日しか働いていないのに、10日働いていると記載すれば、日当1万5千円の“壁”を越えるための単価調整が疑われます」

 と、指摘する。

(1)で取り上げた「たこしゃぶ接待」疑惑に続き、これが疑惑その2だ。ではなぜ、嘘の日数を書き込まねばならなかったのか。ポイントはウグイス嬢の“練習”にある。

 永田町を根城にするベテラン秘書が解説する。

「例えば、素人のウグイス嬢を選挙前に街宣車に乗せたりして、政治活動のひとつとして試しにやらせるんですよ。一応、時間を拘束することになるから、それへの報酬を時間給で支払う場合もある。逆にベテランになればなるほど練習は必要なくなるわけですわ。だけど、ウグイス嬢の報酬を上乗せしたい場合、練習の実態と見合わなくても、お金を支払うというケースもある。打ち合わせ1時間で1万5千円とか」

 それを踏まえ、先の党関係者が続ける。

「高橋さんは10人以上のウグイス嬢たちに対し、計300時間近い練習への報酬を時給千円の計算で払っています。最ももらっているベテランウグイス嬢は約88時間。吉田さんは44・5時間分を受け取っています。カラオケボックスなどで練習はしていたようですが……」

 この練習による支出を選挙中の“ウグイス行為”として選挙運動費用収支報告書に合算し、記載。それによって、報告書に偽りの記載がなされているのである。

 吉田さんの場合で説明してもらうと、

「彼女の場合、選挙前の練習への報酬は4万4500円。その分を選挙期間の報酬に上乗せして記載しています。そのため、稼働していない日を稼働しているように見せかける細工をし、“水増し”せざるを得なくなったのです。そもそもプロのレベルの彼女に練習なんて必要ないですけど」(同)

 ではその練習に実態はあったのか。

 10時間以上練習したことになっており、その分の報酬をもらった高橋陣営のウグイス嬢は、

「練習? ああ、顔合わせみたいな感じですかね。履歴書を事務所に持って行ったり、練習もありましたけど、そのうちどれが練習日で、どれだけ時給が発生しているかなんて分かりませんよ」

 と、かなり曖昧。また約88時間も練習をしたというベテランウグイス嬢は、

「マイク持って普通に……、答えなくていいですか」

 と、こちらも明確な説明をしてくれない。

 この練習と選挙期間の報酬は「選挙戦最終日にまとめて」と選挙前から約束され、実際に昨年7月20日、選対事務所で現金にて支払われている。

■領収書の奇妙な点


 極めつきは疑惑その3である。橋本陣営、高橋陣営ともにこの吉田さんに対し、河井案里参院議員と同じく、法定の上限1万5千円を超える報酬を払った疑いがあるのだ。

 まず高橋陣営について、さる事務所関係者が語る。

「吉田さんはウグイス嬢を取りまとめるリーダー的な役割で、その対価として、1万8千円が支払われています。超過した3千円に関しては、そのまま支払うと当然、違法だと指摘されますので、別の領収書で処理している。3千円×稼働した6日分の計1万8千円について、高橋さんの後援会である“北海道を愛するみんなの会”宛ての領収書が実在しています。吉田さんが直筆で署名し、日付は7月20日。選管に出さない形で裏処理しています」

 一方、選管に提出している、吉田さん発行の表の領収書は同じく7月20日付けの高橋はるみ宛で、18万8500円。これは一日働いた日を1万5千円、半日を9千円で計算し、そこに先に触れた練習への報酬である4万4500円を上乗せした金額なのだ。すると吉田さんには先の1万8千円と合わせ、20万6500円を支払ったことになる。

 選挙運動費用収支報告書で提出したものが表の帳簿とすると、高橋選対にはこうした労働時間や報酬に関する“裏帳簿”と言うべきものが存在しているという。本誌(「週刊新潮」)が取材し、虚偽記載の実態をまとめたのが掲載の表である。練習と選挙期間の報酬を合算し(注・さらに洗濯代として1500円を支給するケースも)、それに応じて架空の稼働日を報告書に記載していた。

 ここで一つの疑念が。

 高橋氏が吉田さんに日当1万8千円を払っていたとすると、橋本氏も同額を払っていたのではないか。

「吉田さんは高橋陣営のみならず、橋本陣営のウグイス嬢も取りまとめていました。双方のウグイス嬢は総計20人以上。ウグイス嬢への指導や原稿作成などを含め、選挙を支えるための重要な役割を担っていた」(同)

 彼女へ違法なギャラを支払っていることを強く窺わせるのが、橋本氏の提出している領収書である。

 本誌が情報公開請求し、橋本氏の選挙運動費用収支報告書の領収書を確認すると、奇妙な点に気づく。その領収書は日付別に発行されており、一日働いた日は1万5千円の報酬が支払われている。ところが、半日働いた日はなぜか9千円、すなわち吉田さんの“相場”である日当1万8千円の半額となっているのだ(掲載写真参照)。これは高橋事務所も同様であることは、前述した通り。

 当の吉田さんにその真相を直接尋ねると、

――橋本・高橋両陣営から日当1万8千円をもらっていますよね?

「いや、イチゴー(1万5千円)だよ。私は長くこういう仕事をしていて、そんなことをすれば私だけでなく候補者にどれだけ迷惑がかかるか分かっていますから。聖子さんとは18年来、はるみさんも12〜13年のお付き合いです。今回の参院選もお二人から直接頼まれて。両方同時は初めてだった。私の仕事に惚れてくれたのでしょう。(領収書が2枚あることについて)ないないない。書いてないよ。まとめて……どうだったかな。事務所に聞いて」

――稚内のホテルがひとり2万を超えていた?

「その時は聖子チームも野党候補だって泊まっていました。たこしゃぶのたこなんて2切れくらい。普通の晩御飯ですよ。とても2万円以上とは思えません」

 法定金額を超えるホテルを橋本陣営も使っていたと、当事者が認めた格好だ。

――練習は実態があったのか?

「確実にありますよ。札幌市内のカラオケボックスでマイクを使いながら練習しました。聖子さんとはるみさんの陣営をそれぞれ呼び、別の部屋を借りてね。私はあっちに行ったりこっちに行ったり。ほかにも事務所の上のフロアでやった。ただ、お金のことは(双方の)事務所に聞いてほしい」

――吉田さんの稼働日が橋本・高橋両陣営を合わせると選挙運動期間の17日を超えています。

「それはないでしょ。ありえませんよ」

 と、苦しい弁明に終始するのだった。


■「報酬も同じになるよう」


 そこでコトの真偽を確かめるため、双方の議員の携帯に電話したが、取材に応じず。代わって、橋本事務所が過剰報酬について、

「そのような事実はありません」

 とした上で、半日の報酬と練習へのギャラは、

「移動や休息時間も拘束時間になることを踏まえ、報酬は半額ではなく、(1万5千円の)5分の3として半額より多く払うことにしました。(練習の報酬については)発声練習のみならず、広報活動の打ち合わせなど、事務的な仕事も含むことから政治活動と考え、政党支部から時給千円、稼働時間は本人の申告により支払っています」

 他方、高橋事務所は一連の問題について、

「事実関係が分かる者が現在事務所にいないことから、確認しているところです」

 と、逃げの一手。

 先の自民党関係者が言う。

「吉田さんは30年以上もウグイス嬢を務め、かつては故・町村信孝前衆院議長の選挙で働いたこともあり、道内の政界関係者の間では知られた存在でした。高橋事務所と橋本事務所は過去に吉田さんを使って何度も選挙をやっているので、当然、報酬も同じになるよう話し合っています。そもそも高橋さんに吉田さんを紹介したのは、橋本大臣なのですから。当然、相場は伝えるでしょう」

 公選法や政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は手厳しい。

「法定を超える金額がウグイス嬢に支払われているなら、公選法で禁じられている運動員買収に当たります。選挙の公正を害しており悪質です。候補者の選挙費用は市民に対して明確に示されるべき事柄。法定を超える報酬がどこから支払われたのか、客観的な資料を示して説明するべきです」

 古来、鶯が鳴くのは、梅の散り際とされ、その際、ぽろぽろと零(こぼ)れるように花弁を落とす。

 昨年、「桜」に惑わされた安倍政権は「ウグイス」によって、ぽろぽろと崩れていくことになるのか。“疑惑のさえずり”が響き渡る波乱の国会は、まだ始まったばかりだ。

「週刊新潮」2020年2月6日号 掲載

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