「河井案里」捜査の裏に“検事総長の怨念” 敵は安倍官邸

「河井案里」捜査の裏に“検事総長の怨念” 敵は安倍官邸

河井克行・案里夫妻

 自民党の河井案里参院議員の選挙をめぐる事件は、夫の克行前法相もカネを配ったのがバレて夫婦ともども剣が峰。だがこの捜査の裏に隠された、検察トップの怨念をご存じか。

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 目下、捜査は着々と進んでいるかに見える。その概要を司法記者に解説願おう。

「今年1月に捜査に着手した広島地検は、先月末、運動員買収で案里議員の秘書らを起訴しました。さらに地元広島の首長や県議、市議は、“克行前法相からもカネを受け取った”との声を上げています。連座制の適用で案里議員が失職するかどうかはともかく、夫婦揃って買収の疑いで起訴される可能性も出てきました」

 当然の流れとはいえ、

「ある検察関係者が言うには、“通常なら国会が閉じる6月に着手すべき案件。なぜ強引に進めたのか”。河井夫妻の家宅捜索は国会召集のわずか5日前でした。この捜査開始は、実は稲田伸夫検事総長(63)のゴリ押しだったのです」

 これには、安倍官邸の意向が大きく影響していて、

「官邸は、政権に近い黒川弘務東京高検検事長(63)を総長に抜擢すべく、1月に彼の定年延長を閣議決定しました。その決定前、昨年末の時点で、官邸は稲田さんに通例2年の任期を半年残して退くよう迫った。それに激怒し、抗う形で稲田さんは河井夫妻の捜査に着手したわけですよ」


■逮捕許諾請求


 この対立を、社会部デスクは次のように見ている。

「恨み骨髄の安倍官邸に対する最大の嫌がらせは、国会会期中の逮捕許諾請求。広島地検と広島高検、最高検の決裁ラインに“官邸の守護神”こと黒川さんは不在なので、稲田さんは可能とみています。現在のコロナ禍の中で踏み切れるかどうかが最大の焦点ですね」

“本当の敵”は官邸にあり、といった具合だ。

「しかし法務省内には、総長の怨念が捜査の迷走を招いているとの指摘がある。そもそも黒川定年延長で法務検察が混乱している時期です。“入口”は県警が扱えばいいような選挙違反をいきなり地検が捜査し、最高検が指揮を執って鞭を入れるなど、前代未聞です」

 畢竟(ひっきょう)、捜査は前のめりとなり、

「先月、ホテルの一室にいた河井夫妻を深夜に急襲し、ドアチェーンを切って雪崩込む強硬手段も取っています。揉み合いの末に二人の携帯電話を押収した一幕もあったとされ、これで立件できなければ一大事です。逮捕許諾請求がダメなら国会閉会後の在宅起訴あたりが落としどころでしょう」

 法と証拠に基づき、疑惑に斬り込むのは良いが、いささか冷静さも欠いているようだ。検察トップと安倍官邸のバトルは、傍目にはどっちもどっちの憎悪劇と映る。その行く末やいかに。

「週刊新潮」2020年4月16日号 掲載

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