河井前法相が“もっと悪い奴がいるのになぜ”と官邸にキレた広島のお家事情

河井克行前法相、逮捕前に官邸へ激怒か 「もっと悪い奴がいるのになぜ俺が捕まる?」

記事まとめ

  • 河井克行前法相は公選法違反(買収)容疑で、妻・案里参院議員と共に逮捕された
  • 逮捕不可避と悟った際、「もっと悪い奴がいるのになぜオレが捕まる?」と激怒したそう
  • 関係者によると、この発言は岸田文雄氏や溝手顕正氏のことを指しているとか

河井前法相が“もっと悪い奴がいるのになぜ”と官邸にキレた広島のお家事情

河井前法相が“もっと悪い奴がいるのになぜ”と官邸にキレた広島のお家事情

1年前とは対照的な夏を迎える夫妻

■募集したバイトを敵陣に送り込んだ河井陣営


 6月18日、公選法違反(買収)容疑で、妻・案里参院議員(46)と共に東京地検特捜部に逮捕された河井克行前法相(57)。実は、自身らの逮捕は不可避と悟った際に、“もっと悪い奴がいるのになぜオレが捕まるんですか!”と菅義偉官房長官らに迫っていたという。憤懣やるかたない様子で発したもっと悪い奴とは誰なのか……。そして、河井夫妻はなぜ塀の向こう側に落ちることになったのか。

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「河井夫妻側には自民党から1億5000万円が流れましたが、その内訳は1億2000万円が税金を原資とする政党交付金、残り3000万円が党費や献金からなる党の一般会計から出たものだとわかっています。この2種類のカネには明確に“色”がついているんです」

 と自民党関係者。

「政党交付金は税金だから党本部のチェックはかなり厳しい。キャバクラとかSMグッズ購入とかって、その使途が記事になり大いに問題視されてきたこともあって、そういったものに政党交付金から支出されているのはできる限り避けたい。収支報告書の下書きを党本部に提出して、OKを貰わないと清書できないという流れになっている。一方で、それ以外のカネは自由度が割とあります」

 夫妻の逮捕容疑は、「県内の地方議員ら94人に投票や票のとりまとめを依頼し、計約2570万円の報酬を渡した」とされる。

「3000万円とほぼ一致するでしょ。使い途を問われにくい税金じゃない方から支出したようにも見えますよね。それにしても使い切っていないところは笑えますけれど。カネを配りきれなかったのか、ちょっと余らせたかったのか……」

 では、河井前法相の“もっと悪い奴がいるのになぜオレが捕まるんですか!”の真意はどういうことだったのか。官邸関係者によると、

「具体的には、岸田さん(文雄・政調会長)と溝手さん(顕正・元国家公安委員長)を指しているようです。まぁでもそのことを証明できるブツはないですからね、直接言われたのは菅さんだけじゃないですが、みんな当惑しきりだったとか」

 負け犬の遠吠え、という言葉が浮かんできそうだが、そんな大悪より小悪を自認する河井夫妻が逮捕されたのはなぜか。

「カネの配り方が拙劣だったからです。普通は、金庫番なりカネに精通する秘書がカネを預かって、キーマンに配っていく。摘発されれば彼らだけ切り捨てられ、バッチ(政治家)は知らんぷり。当局の取り調べにも口裏合わせをして切り抜ける。その暁には、しっかり親分であるバッチが彼らを処遇するという密約があるんです。だからバッチまで司直の手が伸びない。でも、河井夫妻は自分でカネを配ってしまっていますよね、“安倍首相から”“二階幹事長から”と言葉を添えて。要するに、カネを配ってくれる人がいなかったんですね。夫妻のキャラクターをみんな嫌がって、長く仕える人はほとんどいなかった」

 地元・広島の県政関係者は、こう明かす。

「お互いの陣営にスパイを送り込んで、情報を取るってことは普通にやるんですね。去年の参院選でもそうでした。案里さんの方は頼れる人間がいなくてバイトを募集したりして対応しようとしたんです。その時点で終わってますよね(笑)。溝手さんの方はちゃんと人間が揃っているから、自前の部隊で対応できた。溝手さんから河井さんのところへ送り込んだ数とその逆とを比べると10対1くらいになっていたそうです」

 それでも参院選で案里容疑者が勝てたのは、安倍晋三首相以下、政府与党幹部が軒並み地元入りしてのテコ入れが功を奏したのと、溝手氏の年齢(77)や6選を目指すという多選批判が足を引っ張ったというのはあるだろう。

「うーん、それだけじゃないと思うんですよね。60万円を受け取っていたことを認めて丸刈りにして辞職した安芸高田市長とか、同じく150万円で辞めた三原市長とか……。あと20万円を貰っていた安芸太田町長も辞めましたけれど、みなさんホントはもっと貰ってるんじゃないのって言われてはいますね。証拠が残ってないから追及されないんでしょうが。その程度の金額で、嫌われ者の河井夫妻のために働くのかなっていうのはすごい疑問です」


■“地盤”沈下する岸田氏


 検察は、河井陣営によるウグイス嬢への法外な報酬支払いを端緒にガサをかけ、その結果、今回の逮捕容疑に繋がる「現金配布リスト」を手に入れた。パソコンからデータを削除したり、書類をシュレッダーに掛けたりなど証拠を隠そうとしたようだが、小渕優子元経産相の事案のように、ハードディスクにドリルで穴を開けるくらいではないと当局は証拠を再現してしまうということだ。

 もっとも、徹底的にその捜査が進むにつれて浮き彫りになったのは、ポスト安倍で名前が上がる岸田氏の体たらくだった。

「岸田さんがちゃんとやっていれば案里さんは落選し、子分の溝手さんが当選し、となると、河井夫妻の逮捕はなかったよねという話になっていて、岸田さんの株がさらに下がった印象です。差し当たって広島では、日本維新の会にいた女性が離党したことが注目されています。その後ろには二階幹事長がいて、彼女を克行さんの地盤である3区から出馬させることで話が進んでいると噂されています」

 二階氏と岸田氏とは因縁が深く、岸田氏の望む幹事長就任を二階氏が阻んできたし、岸田派の候補が出馬する選挙区に二階派の候補をぶつけるなど、表立ってケンカを売ってきた。ちょうど7月2日は会食をしたが……。

「岸田さんはハッキリものを言えなかったから二階さんに足元を見られ、いいようにやられてきたし、また今回も広島3区の件でそうなるかもしれない。安倍さんからの禅譲を目指している時点で、永田町の面々は“自分に力がないってことを認めているんでしょ”と思っているし、鼻白んでいる。さらにこの3区でも自分の派閥から候補を擁立できないとなるとポスト安倍どころじゃないことは、誰が見ても明らかです」(先の官邸関係者)

 広島の城さえ治められない者が全国制覇など夢のまた夢だというわけだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年7月4日 掲載

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