「麻生副総理」が「今年の秋に解散せよ」と主張する理由 公の場では絶対言えないけど

「麻生副総理」が「今年の秋に解散せよ」と主張する理由 公の場では絶対言えないけど

今秋の衆議院議員総選挙を主張する麻生太郎・副総理

■来年だと自民党は大敗!?


 最近、麻生太郎・副総理兼財務相(79)が、衆議院の解散総選挙に何度も言及している。まずは、その発言を改めて振り返ってみよう。

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 発端は、安倍晋三首相(65)が約3カ月ぶりに夜の会食を“解禁”した6月19日だ。この日、都内のレストランで安倍首相のほか、麻生副総理、菅義偉・官房長官(71)、甘利明・元経済再生担当相(70)らが顔を揃えた。すると、たちまち永田町で「早期解散」の観測が流れたという。自民党関係者が解説する。

「この4人は2017年7月、東京都議選の投開票日に夕食を共にしました。小池百合子都知事(68)が率いる都民ファーストの会が大勝し、自民党は大敗。4人は小池さんが国政進出の準備が整う前に解散に打って出ることで合意したとも言われています。その後、実際に安倍首相は9月に衆院を解散。10月の総選挙で大勝しました。それもあって先日の会食でも『解散総選挙の話が出たのではないか』と政界に緊張が走ったのです」

 毎日新聞は6月21日、「焦点:自民党内じわり早期解散論 首相求心力低下、ハードルは高く」の記事を掲載した。

 記事は6月10日に安倍首相が首相官邸で麻生副総理と約1時間も話し込んだことに注目。この“トップ会談”が《自民党内では「麻生氏が早期解散を進言した」と見られている》と書いた。

 7月1日、麻生副総理の発言が新聞各紙に報じられる。ここでも同じ毎日新聞の「安倍首相:首相、麻生氏と会談 広がる解散観測 公明・太田氏とも」からご紹介しよう。


■東京五輪の開催は絶望的!?


《安倍晋三首相は30日、麻生太郎副総理兼財務相と首相官邸で2人きりで約20分間会談後、公明党の太田昭宏前代表を官邸に招き、約1時間会談した。その後、自民党の下村博文選対委員長とも30分協議した。麻生氏が首相と面会するのは6月だけで計8回。麻生氏は29日に公明党の斉藤鉄夫幹事長に「衆院解散は今秋が望ましい」との考えを伝えており、「麻生氏が今秋解散に向け、首相の説得を重ねているのではないか」との観測が広がっている》

 前出の自民党関係者は、「麻生さんが早期解散に“執念”を燃やしているのは間違いありません。理由を読み解く鍵は、東京五輪です」と解説する。

「前提条件として、現在、衆議院で自民党は284議席を確保しています。任期は来年10月。次の総選挙で、自民党が議席を減らすのは確実です。『30や40は議席が減っても不思議じゃない』と言われています。安倍首相の支持率が下がっていることや、長期政権に飽きた無党派層が増えていることが背景にあるとされています」

 ちなみに、衆議院で「絶対安定多数」は261議席。「安定多数」は244議席で、「過半数」は233議席だ。

 30から40議席を失うとすれば、単純計算で254議席から244議席の間となる。それでも安定多数は維持できるわけだが、麻生副総理兼財務相には懸念があるという。

「麻生さんは『もし東京五輪の中止が正式決定し、その後に総選挙を行うような事態になったら、自民党は敗北してもおかしくない』と考えているそうです。実は安倍さんの側近や、自民党の幹部クラスでさえも、『来年に東京五輪を開催するのは無理かもしれない』という雰囲気なのです。うっかりそんなことをマスコミに喋ってしまえば、大問題になるのは確実です。麻生さんは、安倍さんが主導した五輪が中止になったら、自民党は批判にさらされる可能性があると考えているんです」(同)


■小池都知事の動向


 国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長(70)は5月、オーストラリアの新聞の取材に応じ、「東京五輪を開催するか否か、決めるのは10月頃になる」との考えを明らかにした。

 この発言を、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は必死になって打ち消した。わざわざ武藤敏郎・事務総長(77)が「10月はあくまでコーツ氏の個人的見解」と否定したほどだ。

 6月になると今度は、元オリンピック担当大臣で現在は組織委員会の副会長を務める遠藤利明・衆議院議員[自民党・山形1区](70)が、「来年3月ごろが判断時期のめどになる」との考えを示したと各紙が報じた。

「いつ総選挙をやるか、実は2021年はスケジュールに空きがないのです。開催できない可能性が高くとも、夏は五輪のために開けておかなければなりません。また都議の任期満了は21年7月22日です。都議選を重視する公明党や創価学会が、21年の総選挙に猛反対するのは確実です。つまり21年の年明けから任期満了の10月まで、なかなか衆院選をやれないのです。そこで麻生さんは、IOCが五輪の中止を決める前、今年9月に総選挙をやるしかないと考えているんです」(同)

 ちなみに小池百合子都知事も、IOCに「やっぱり東京五輪は無理じゃないか」と指摘されるのを懸念し、再び緊急事態宣言を発出することには消極的とされる。

 ただし、麻生副総理兼財務相の考える9月総選挙は、あくまで新型コロナの感染拡大が一段落していることが前提だ。現状を考えると、そう簡単な話ではないことは言うまでもない。

週刊新潮WEB取材班

2020年7月28日 掲載

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