秋元司容疑者再逮捕されても議員辞職せず “無駄な給料”がいくら払われ続けるのか

■有権者は怒り心頭


 毎日新聞は「前代未聞」と形容したが、その通りだろう。東京地検特捜部は20日、衆院議員の秋元司容疑者(48)を、組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いで逮捕した。「組織犯罪」という法律名から明らかな通り、《マフィアなど国際的な犯罪集団を摘発》するために制定された刑法が国会議員に適用されたのだ。

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 秋元容疑者は国会議員の秘書を経て、2004年の参院選では自民党公認で比例区初当選。10年に落選するが、12年の衆院選で東京15区(江東区)から出馬し、リベンジを果たした。

 だが18年ごろから様々な“疑惑”で名前が報じられるようになった。そして、統合型リゾート(IR)事業への参入を目指していた中国の企業関係者が、多額の現金を海外から不正に持ち込んだとされる、外為法違反事件が発覚する。

 19年12月、同法違反の容疑で東京地検特捜部が事務所などを家宅捜査。秋元容疑者が自民党に離党届を提出した後、収賄罪容疑で逮捕された。

 20年1月に保釈され、2月に記者会見を開いて無実を主張。ところが今回は、贈賄側に裁判で嘘の証言をするよう買収を持ちかけたという容疑で逮捕された。政治担当記者が呆れて言う。

「無実・無罪を主張するのは自由だとしても、逮捕されても国会議員の座にしがみついているわけです。この調子で、たとえ起訴されても議員辞職はしないと言われています。その間、国は秋元容疑者に議員としての給料、つまり歳費を満額支払わなければならないわけです。確かに法律的には問題のないことなのでしょうが、『納得できない』という有権者は少なくないと思います」


■辞めない国会議員


 この歳費というのが、なかなか議論を呼びそうな金額なのだ。しかし、それを説明する前に、これまで逮捕された国会議員は、出処進退をどうしたか見てみよう。

 表にまとめてみたのだが、まずは逮捕されても国会議員を辞めなかった面々からご覧いただこう。

 やはりと言うべきか、大物議員ばかりだ。つまり選挙に強いということだろう。田中角栄(1918〜1993)はレベルが別格だとしても、鈴木宗男(72)や中村喜四郎(71)が支援者をがっちりと固めているのは周知の事実と言っていい。

 では次の表は、逮捕をきっかけに引退に追い込まれた国会議員を見てみよう。

 こちらの場合、選挙に強いとか弱いはさておき、友部達夫(1928〜2012)と山口敏夫(79)が詐欺容疑で逮捕されたことが注目に値する。

 良くも悪くも“収賄”なら政治活動の一環と支援者が強弁することができるかもしれない。だが詐欺となると単純に私腹を肥やした印象が強い。有権者の理解を得るのは難しいだろう。


■逮捕されても丸儲け


 中島洋次郎(1959〜2001)のように41歳で自殺した痛ましいケースも存在するが、率直に言って政治家は“厚顔”なタイプが多いようだ。大物ほど逮捕をものともせず返り咲く傾向が表から浮かび上がる。

 秋元容疑者の場合、議員辞職を決断しなければ、少なくとも次期衆院選までは歳費を受け取ることが可能だ。

 コロナ禍もあって衆院選がいつ実施されるかはよく分かっていない。任期満了は来年10月だ。それまでの間、秋元容疑者に歳費が支払われる可能性がある。

 いや、もし秋元容疑者が次期衆院選で当選すれば、大手を振って衆議院議員として活動ができる。この場合は最高裁で有罪が確定するまで歳費が支払われるのは表にある通りだ。

 ちなみに表にある友部達夫は、自身が運営する共済組合で、1992年から年6〜7%という高額の配当を謳った金融商品を手掛け、約93億円の資金を集めた。

 95年の参院選で新進党に参加し、比例区から出馬して当選を果たす。だが選挙費用、政界工作費、借金返済、銀座での豪遊など、あまりにひどい私的流用から、共済団体は96年に倒産してしまう。


■4年間、支払われた歳費


 97年に参議院で逮捕許諾決議案が可決されて逮捕。東京拘置所での勾留が続き、登院が可能になってしまう。だが友部は議員の座にこだわり続け、議員辞職勧告決議が可決されても辞職を拒んだ。

 こうして2001年、最高裁で懲役10年の実刑判決が確定し、ようやく国会議員を失職することになった。

 一説によると、その4年間で手にした歳費は合計で1億6000万円近いという。大半は被害者が差し押さえたそうだ。

 1億6000万円を4年で割ると、1年で4000万円となる。本当に国会議員は、そんな高給取りなのだろうか、前出の政治担当記者が解説する。

「コロナ禍で減額が協議されていますが、月給は129万4000円なので、年にすると1552万8000円となります。これに期末手当が年に2回で合計637万円。加えて文書通信交通滞在費として年1200万円が上乗せされます。これだけで3389万8000円の年収になります。また秋元容疑者は自民党に所属していた時は、立法事務費が月65万円、年で780万円が払われていました。無所属の場合は、自身が政治団体を設立すれば受け取りが可能です。この場合、年収は4169万8000円になります」


■税金で払われる秘書給与


 率直に言って、頭に血が昇った有権者もおられるだろう。濡れ手に粟とはこのことだろうが、まだまだ話は終わらない。議員秘書にも給与が支払われる。

「国会議員は公設秘書を3人まで雇うことが可能で、給与は税金で賄われます。多分、秋元容疑者は議員として活動することが、まず難しいでしょう。議員が活動しなければ、秘書も仕事はないに等しい。秘書にも給料が国から満額支払われるのは、やはりおかしい話ではないでしょうか」(同)

 ちなみに公設秘書費は2名で年1098万円、政策秘書費は1名で年783万円となっている。前出の政治担当記者によると「秋元容疑者は決して選挙に強くない」と言う。次の選挙で落選するにせよ、これだけ多額の税金が無駄になるということである。

週刊新潮WEB取材班

2020年8月26日 掲載

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