安倍首相退陣…「麻生さんはやりたかったはず」「菅さんは最後に手をあげる」

■臨時代理として準備だけはできていた麻生氏


 誰にも相談することなく1人で辞任を決めたという安倍晋三首相。と同時に走り出したポスト安倍レースについて、現職閣僚、閣僚経験者が明かすその舞台裏。

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「安倍さんは、臨時代理を置かずに後継が決まるまでは首相を続ける判断をしたわけです。一番残念がっているのは麻生さん(太郎財務相)でしょうね」

 と話すのは、自民党のある閣僚経験者。

「新型コロナの感染者数が落ち着いていなかったり、インフルエンザとの同時流行が迫っていたりすれれば、一切の空白を作ることは許されないということで臨時代理として麻生さんの登板はあり得たし、麻生さんもその準備だけはできていたと思いますよ」

 しかし、それは叶わなかった。

「ワクチンはまだ先だとしてもコロナ対策を発表し、秋の臨時国会まで比較的時間もあり、病気も容態が急変するようなものではないから、緊急性の高い臨時代理の首相を置くまでもないと安倍さんは考えたのでしょう。正しいと思います」

 麻生財務相は28日、総裁選に不出馬を表明した。

「麻生さんがやれるとしたら、安倍さんから“お国の一大事なのでお願いします”と言われた時だけだから、自分から手をあげるわけにはいかないでしょう」

 差し当たって、ポスト安倍の有力候補は岸田文雄・政調会長(63)、菅義偉・官房長官(71)、そして石破茂・元幹事長(63)に絞られている。

「安倍さんはかねて岸田さんを強く推してきました。そうすることで岸田さんの知名度や人気が上がるのを期待してきたわけですが、なかなかそうはなっておらず、それは悩みのタネではありました」

 と、永田町関係者。

「党内でも4番目の派閥にとどまっていて、“自分では何も決められない人”と揶揄する声は強い。だから安倍さんは、『岸田内閣』の産みの親として、組閣や党役員人事について相当手助けする腹づもりでいました。それはこうやって急遽辞任した今も変わらないでしょう」

■反・世代交代で麻生・二階の両氏は一致


 9月中旬に行われる自民党総裁選は、国会議員票394と47都道府県連の代表者が投じる地方票141を合わせた計535票の過半数を争うことになりそうだ。

「総裁選が任期満了で行われるなら、国会議員票394と同数の党員票の計788票を取り合うことになったわけです。地方の人気は高いが永田町では低評価の石破さんは、自派閥のメンバーが19人しかおらず、推薦人に必要な20人に届かない」

「国会議員以外の票の割合ができるだけ高くなることを狙っていたわけですが、それは難しい状況です。地方票141をほとんどかっさらって国会議員の危機感を煽ったり、選挙の顔として期待されたりでもしない限り勝てる見込みはない」

 では、岸田総裁で確定的かと言うと、さにあらず。

 党内第1派閥の細田派は安倍首相の意向もあり、岸田氏を支持するにしても、第2派閥の麻生派、それに続く竹下派、二階派は「岸田支持」でまとまっているわけでは全くない。

 現職閣僚はこう明かす。

「岸田さんに対して麻生さんはネガティブな評価をしてきました。63歳の岸田さんがなれば79歳の麻生さんにとっては世代交代が進む。それは81歳の二階さん(俊博幹事長)も同じ」

「世代交代し過ぎるのは避けたいし、コロナという国難で政策の継続性が必要じゃないかという理由から、2人にとって“ちょうど良い”のが菅さんなんです」

「菅さんは絶対に自分から名乗りをあげるってことはしないし、出るとしたら最後に手をあげる」

「麻生さんや二階さんの2人が『岸田総裁』にゴネて、さらに地方票がかなり石破さんに流れそうだという情勢にでもなったら、“ここは国会議員で一致団結できる人を”という展開もないわけではない」

 別の永田町関係者も、

「その時は、麻生さんと二階さんから安倍さんに話を持っていって、安倍さんから“ここは菅さん、お願いします”と伝えることになるでしょう」

 79歳と81歳が総裁選のキーマンであるようだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年8月29日 掲載

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