「二階幹事長」に“そりゃないよ”の声 身内の「河村元官房長官」びいき際立つ

■因縁の選挙区「衆院山口3区」における“シマ争い”


 10月4日、自民党の二階俊博幹事長(81)は、山口県宇部市で開かれた志帥会(二階派)会長代行の河村建夫元官房長官(76)の総決起大会に出席。あと1年以内に行われる次期衆院選の山口3区について「党が公認するのは1人」と述べた。河村氏を推すというわけだが、これまでの二階幹事長の言行と一致せず、「さすがに幹事長、そりゃないですよ〜」の声も少なくない。

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 衆院山口3区は因縁の選挙区である。直近の“火種”から触れておこう。

 9月16日、TBSが「林芳正元文科相(参院議員)が山口3区から出馬の意向を固め、所属する岸田派の岸田文雄前政調会長にも伝えた」と報じた。

 林氏はこれについて、「元々、意向がないので(岸田氏に)伝えるも何もない」と全否定。もっとも、「10年くらい前から地元では(くら替えの)期待があった。その期待に応え、しっかりと精進していきたいと言い続けてきたので、それは今までと全く変わっていない」とも述べた。

「TBSとしても、本人もしくは本人に相当近いところから聞いていなければ、この類の話は打てない(ニュースとして出せない)ですよ」

 と、政治部デスク。

「実際には自身が所属する宏池会(岸田派)の若手との会合で、“次の衆院選にくら替え出馬し、現職の河村氏は引退。出馬を模索していた河村氏の息子の政策秘書・健一氏は参院に回ることになる”と説明があったと言われています」

「林さんが否定しつつ、地元からの期待の声を紹介するところまで含めたデキレースでしょう。衆院選が近いのでアドバルーンをあげつつ、ライバルとなる河村さんを牽制する意味合いがあったんです」

■首相への思いを隠さない林氏にとって衆院くら替えは必要なステップ


 そして、「元々……」と言って、こう続ける。

「林家は、父・義郎さんの代には衆院中選挙区の山口1区を根城にしていました。その旧1区は小選挙区制の導入で山口3区と4区に分かれ、4区を安倍さん(晋三前首相)が、3区を河村さんが確保。1996年10月の衆院選で、義郎さんは比例代表中国ブロックに回りました」

 そして父親の後を継いだ林芳正氏は、参院にしか居場所がなかった。

 防衛相、経済財政政策担当相、農相、文科相を歴任し、首相への思いを隠さない林氏にとって悲願であり、必要なステップは衆院くら替えである。

 先に触れた林氏のコメントにあるように、例えば自民党が政権を奪還する2012年、若手を中心に「林待望論」が巻き起こり、党山口県連幹部らが役員会の決定をもとに衆院山口3区で擁立するよう党本部に要請した経緯がある。

 しかし、党本部は3区現職の河村氏の支持を打ち出し、林氏は衆院転身を断念せざるを得なかった。ちなみに当時の河村氏のポストは選対局長だった。

 こういった流れの中でのTBS報道だったというわけだが、これにいきり立ったのが他ならぬ二階幹事長。

 4日の集会でも、「反党行為をした人がどういう立場になるか、言わずとも分かるだろう」「売られたケンカという言葉がある。挑んでくるなら受けて立たざるを得ない」「きょうは党の幹事長としての立場でも来ている」と言いたい放題。

 二階派の面々は47人だが、うち20人も山口入りする状況で、二階氏の右腕・林幹雄幹事長代理は「党に弓を引くことになり、除名になる。そういうおろかなことはしないと思う」と発言。

■「林さんと河村さんが勝負したら林さんの圧勝。それくらい林家の城下町」


 永田町関係者に聞くと、

「裏返せば、二階さんたちの焦りが見て取れますよね。実際、地元でチラッと聞いてもらうだけでわかりますが、林さんと河村さんが勝負したら林さんの圧勝。それくらい林家の城下町という意識が強いんです」

「だから、二階さんは自分が力のあるうちにもう一期、河村さんにやらせると意気込んでいる。遅かれ早かれ、地元は林さんの手に落ちると分かっていても関係ないんです」

 二階幹事長と言えば、山梨2区で現職の堀内詔子代議士に長崎幸太郎氏(現・山梨県知事)をぶつけて「勝った方が公認」と言ってみたり、静岡5区では、自民現職がいるのに無所属のまま二階派入りしている細野豪志元環境相の支持を呼び掛けたりと、「横暴ぶりが際立つ」(先のデスク)状況だ。

 二階氏はこの日、「定数1の選挙区に公認候補は1名だということは子どもでも分かること。党の公認は現職優先で進めたい」とも語っている。

 これまでの幹事長の流儀に従えば、両者がガチンコでぶつかり勝った方が公認という判断がないわけではないと思われるが、そうも行かないらしい。

「二階さんは山口の件について、“けじめをつける”と明言しています。メンツを最も大事にするヤクザはそれを潰されたら必死で相手のタマを取りに行く。実弾が飛びかわない戦争である選挙で、相手のタマを取るぞという意気込みなのかもしれません」(先の関係者)

 けじめを取るのはどちらの方か、それは1年以内にわかることでもある。

週刊新潮WEB取材班

2020年10月5日 掲載

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