「安倍前総理」がほくそ笑む地元山口での政争

「安倍前総理」がほくそ笑む地元山口での政争

地元は臨戦態勢

 衆院選挙に小選挙区制が導入されて、はや四半世紀。いまだに中選挙区時代の遺恨を引きずっているのは、山口県である。

 9月16日、TBSが“自民党参院議員の林芳正元文科相が、無所属でも次期衆院選で山口3区から鞍替え出馬をする”と報じたのだ。

 この報道を林氏は即座に否定。しかし、水面下では熾烈な攻防が始まっているのだという。

 林氏の地元・山口県は、現在の3区と4区にあたる旧山口1区を、河村建夫元官房長官と安倍晋三前総理、それに林氏の父・義郎氏が縄張りにしてきた。ところが、1996年の小選挙区制の導入で、河村氏が3区を、安倍氏が4区を取り、義郎氏は比例に転出。没後、芳正氏が参院山口選挙区から出馬した経緯がある。

 2012年には総裁選にも出馬した林氏だが、

「慣例的に、参院議員では、総裁はおろか政権の中枢を担うことも難しいとされる。そこで林氏は、10年ほど前から衆院鞍替えを画策してきた」(政治部記者)

 山口3区に狙いを定めたのには、こんなワケが。

「3区は林氏の母方の実家である宇部興産のお膝元。河村氏が次の選挙で引退し、後継ぎの息子に参院に回ってもらって、林氏が3区を貰い受けるというのが林陣営のシナリオだった」(同)

 ところが、河村氏が禅譲してくれる気配は見えず、林氏の支援者はヤキモキ。

「河村先生もはよ引退してくれればええのに、先週、この10月に解散総選挙に向けた決起大会を開くちゅう案内が届いた。将来、山口は議席が1区減らされるというし、芳正さんももう59歳。地元の人間はみんな鞍替えを熱望しちょるけん、万が一、無所属でも、本人が出ると言えば、火の玉になって応援しますよ」

 実は、この争いを横目にほくそ笑むのが、お隣、4区の安倍陣営だという。

「もともと林家が地盤にしてきたのは4区の下関市。市議会は今でも安倍派と林派が会派を分けて鎬を削っているんです。3年前の市長選では林派の前市長に対し、安倍氏の元秘書が出馬。安倍事務所が総動員で応援し、辛くも勝利を収めた。林氏が、全県選挙区の参院議員から衆院3区に鞍替えすれば、4区の林派も大人しくなり、安倍派も安泰というわけです」(先の記者)

 波乱はまだまだ続きそう。

「週刊新潮」2020年10月1日号 掲載

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