菅首相、“最大の弱点”が早くも命取りに……今後も改善の兆しなしでお先真っ暗

菅義偉首相の致命的欠陥は優秀な側近の不在か 内閣支持率は3カ月で29ポイント下落も

記事まとめ

  • 読売新聞社の全国世論調査で、菅義偉内閣の支持率は3カ月間で29ポイント下落している
  • 菅義偉首相のコロナ対策は後手と評されているが、優秀な側近の不在が一因だという
  • 二階俊博氏らは実力者だが、国家の舵取りといった点でのアドバイスはできないらしい

菅首相、“最大の弱点”が早くも命取りに……今後も改善の兆しなしでお先真っ暗

菅首相、“最大の弱点”が早くも命取りに……今後も改善の兆しなしでお先真っ暗

1月の共同通信世論調査で支持率は41・3%

 1月7日は、大きなニュースの起きた1日となった。まず午後1時すぎ、多くのメディアが東京都の新規感染者数が2447人に達したと報じた。

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「NHK NEWS WEB」は、「東京都 新型コロナ 2447人感染確認 2日連続で過去最多更新」との記事を配信した。

《1日の人数としては初めて2000人を超え、これまでで最も多かった6日の1591人から850人余り増えました》

《2日連続で最多を更新することになり、感染の急速な拡大が止まらない状況です》

 更に全国の感染者数については「新型コロナ 感染確認7000人超 3日連続で過去最多更新」との記事を配信、《1日の感染発表が過去最多を更新するのは3日連続》とした。

 午後5時半過ぎ、菅義偉首相(72)は東京都、埼玉と神奈川、千葉3県を対象とし、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の再発令を決定した。期間は2月7日までと報じられた。

 当初、菅首相は緊急事態宣言の再発例に消極的な姿勢を示していた。方針を転換した理由の1つに、内閣支持率の低下が挙げられる。

 昨年の12月28日、読売新聞は「内閣支持 下落幅最大 発足3か月 29ポイント 麻生内閣と並ぶ」との記事を掲載した。

(註:全角数字を半角にするなど、デイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)

《読売新聞社の全国世論調査で、菅内閣の支持率は45%となり、9月のスタート時の74%から29ポイント下落した。読売新聞社が毎月の全国世論調査を開始した1978年3月以降の歴代内閣で、発足直後の調査から3か月後の下落幅を比較すると、麻生内閣と並んで最も大きかった》


■麻生内閣の“悪夢”


 記事中にある《麻生内閣》の文字は、特に自民党支持者にとっては“不吉”なイメージだったに違いない。

 2009年、現在の麻生太郎財務相(80)は首相として国会を解散し、総選挙を戦った。結果は敗北。政権交代が実現し、自民党は下野した。その“屈辱”は未だに鮮明な記憶として残っているはずだ。

 緊急事態宣言の再発令を決めた菅首相は、記者会見に臨んだ。ネットメディアの「THE PAGE」は「『なんとしても感染拡大を食い止める』 菅首相、1都3県に『緊急事態宣言』発出」と報じた。

「なんとしても」は強い決意の表れと解される。菅首相はリーダーシップを発揮しようとしているのかもしれない。これで内閣支持率はV字回復を果たすのか──と言えば、なかなか厳しそうだ。

 例えばTwitterを見てみると、批判ツイートが目立つ。《未だかつてない危機感の欠如を出し続ける菅政権》、《もう菅ちゃんは終わったな》、《胸に響かない演説だよね。大国のリーダーで、ここまでスピーチで民衆に語りかけることが出来ない政治家も珍しい》──という具合だ。


■コロナ対策は「後手後手」


 そもそもマスコミは、菅首相のコロナ対策が「後手」に回っていたと指摘していた。3例をご紹介しよう。

◆「菅首相、慎重姿勢から一転=知事突き上げ、後手続き−緊急事態宣言検討〔潮流底流〕」(時事通信:1月4日)

◆「小池氏に『いいようにやられ』宣言へ 首相、後手の末に」(朝日新聞デジタル:1月5日)

◆「アングル:後手に回った緊急事態宣言、効果なければ政局の引き金に」(ロイター電子版:同日)

 政治担当記者は「後手と指摘される理由の1つに、菅首相には優秀な“側近”、つまり参謀がいないという問題があります」と指摘する。

「自分の右腕が存在しないのは、致命的な欠陥です。今から急いで側近を探す、などということができるはずもありません。安倍晋三・前首相(66)も『菅総理には、菅官房長官がいない』と指摘したと言われています。この問題は深刻で、一朝一夕に改善されるとは思えません」


■異例の秘書官人事


 この記者氏が注目するのは、1月1日に新聞各紙が報じた官邸人事だ。朝日新聞デジタルは「首相秘書官に寺岡氏 財務省出身、省庁との連携強化狙う」という見出しで配信した。

《政府は、政務担当の首相秘書官だった新田章文氏(39)が辞職し、後任に財務省出身で内閣官房内閣審議官だった寺岡光博氏(54)を充てる人事を決めた。発令は1日付》

 産経新聞は「首相秘書官、3カ月半で交代」と見出しに打ち、《約3カ月半で政務の秘書官が交代するのは異例》と指摘した。

 なぜ菅首相は異例の交代に踏み切ったのか。産経新聞は《新型コロナウイルスをめぐる政府対応が後手と批判されたり、官邸と与党との調整不足が指摘されたりする中、態勢を立て直す狙い》があると解説した。

 そもそも当初の人選から異例だったようだ。毎日新聞は20年9月「菅首相:4首相秘書官、異例の登用 菅首相」との記事を掲載している。

《菅義偉首相は、6人の省庁出身の首相秘書官のうち4人を自身の官房長官秘書官から抜てきした》

《異例の登用となる。(略)気心の知れた秘書官を配置することで政権の円滑なスタートを図る考えだとみられる》


■“側近不足”を露呈した人事


 前出の政治担当記者は「安倍内閣の政務担当秘書官と言えば、あの今井尚哉さん(62)が務めた要職です」と言う。

 今井氏と言えば、経済産業省のエリート官僚。第1次安倍内閣で安倍氏の知遇を得て、第2次内閣では内政から外交まで幅広くサポートし、「陰の総理」と呼ばれたこともある。

「歴史的に見ても、政務担当秘書官は“総理の側近中の側近”が任命されてきました。岸信介氏(1987〜1987)には、娘婿である安倍晋太郎氏(1924〜1991)が政務担当秘書官を務めました。小泉純一郎さん(79)の片腕が飯島勲さん(75)だったことは有名です。

 菅事務所で秘書を務めている新田氏は、確かに気心を許せ、信頼しているのかもしれません。しかし、39歳という年齢はあまりに若すぎます。そもそもやり手の秘書というわけでもなく、エリート官僚を統率する“胆力”を期待するのは酷というものでしょう」

 一方の寺岡氏は対照的な経歴の持ち主だ。1991年に大蔵省(現財務省)へ入省。15年から3年間、菅義偉官房長官(当時)の秘書官を務めたこともある。

「財務官僚らしい切れ者というか、やり手です。本来、寺岡さんのような人でなければ、政策担当秘書官は務まらないはずなのです。菅さんも分かっているはずなのに、若い新田さんに任せざるを得なかった。ここに菅さんの“側近不足”が象徴されていると思います」(同・政治担当記者)


■官僚に参謀は無理


 デイリー新潮は20年9月14日、「早くも指摘される『菅義偉首相』の弱点 このままでは短期政権になると言われるワケ」の記事を配信した。

 佐藤栄作(1901〜1975)は、側近であり腹心だった田中角栄(1918〜1993)と福田赳夫(1905〜1995)を競わせ、長期政権の礎を築いた。

 宰相の陰に名参謀ありというわけだが、翻って菅首相の周辺を見渡してみると、側近として活躍できる人物は誰もない──というのが、この記事の骨子だ。

 政治家に側近候補が存在しないのなら、官僚を重用する手はある。菅内閣には、杉田和博・内閣官房副長官(79)、和泉洋人・内閣総理大臣補佐官(67)、北村滋・国家安全保障局長(64)といった面々が首相のブレーンとして機能している。

「3人とも超エリートで、まさに能吏です。ただ、彼らは政策を遂行するプロフェッショナルであっても、例えば政局のカンが冴えているわけではありません。菅首相に『コロナ対策で失敗すると、政権の潮目が変わってしまいます。世論の動向はこうなっています』とアドバイスできるようなタイプではありません」(同・政治担当記者)


■内閣のキーマンは?


 興味深いことに、安倍内閣を支えた今井尚哉氏は、“政治的カンを持った官僚”という珍しいタイプだったという。

「今井さんの特徴は、政策を進言するにしても、安倍首相に政局や有権者の動向を見据えながら説明していたことです。霞が関にエリート官僚は、それこそ掃いて捨てるほどいますが、ああいう人はなかなかいません」(同・政治担当記者)

 昨年の12月16日に菅政権が発足して3か月になることから、日本経済新聞は15日、「首相、二階・林・森山氏と密接 3カ月間の面会、政権構造浮かぶ」の記事を掲載した。

 日経が菅首相の面会記録を調査すると、二階俊博・幹事長(81)、森山裕・国会対策委員長(75)、林幹雄・幹事長代理(73)の3人が上位となったとし、この3人が《政権の手綱を握る構図》が浮かんだと指摘した。

「3人の中でも特に菅内閣のキーマンと言えば、二階幹事長と森山国対委員長でしょう。二階さんは和歌山県議、森山さんは鹿児島市議から政治の世界をスタートさせた叩き上げで、同じように横浜市議だった菅さんとは気が合うのでしょう」


■政権迷走の原因


 実務派であるところや、寝業師的なイメージなど、確かに3人には相通ずるものがあるようだ。

「二階さんも森山さんも実力者であることは間違いありませんが、政策通だったり、傾聴に値する国家観を持っていたりするようなタイプではありません。新型コロナに際して、日本という国家をどう舵取りするかといった点でアドバイスをすることはできないでしょう。こうして結局、菅さんは1人で何事も決める必要に迫られ、処理能力の限界を超えて政権は迷走しているのです」(同・政治担当記者)

週刊新潮WEB取材班

2021年1月12日 掲載

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