「菅首相」長男の接待問題、2世タレントのレポート「アンフェアか世の中そんなものか」

■「父の威光あってのこと」


 週刊文春が報じた菅義偉首相の長男による総務官僚接待問題で、キャリア官僚側は大量処分された。「長男は別人格」と主張する菅首相に、「菅総務相時代に長男は大臣秘書官を務めた」「現職首相子息の誘いを断れる利害関係者はそうはいない」などと批判が相次いだ。同じく2世で、現在の仕事に関係できているのは「間違いなく父の威光あってのこと」と話す徳光正行がレポートする。

 昨今、なにかと2世が話題になっておりまして、2世として生きている私としましては耳が痛いとまでは言いませんが、耳が「キーン」となるような日々を送っている次第であります。

 まずは立憲民主党の蓮舫さんのご子息である俳優の村田琳さん…。

「国難より党のことを優先で考えているのなら、国会議員を、政治家をやめるべきだと思います」

 なんて発言をなさいました。若者でありながら大変立派なご意見であります。

 彼なりの、母親を含む政治家の皆さんへの異議申し立てだったそうです。
 
 そして貴乃花親子のイザコザもなかなか強烈でした。

 詳細は深く触れませんが、息子さんである花田優一さんが父親への恨み節を某インタビューで語ったことに対して、父・貴乃花光司さんがこれまた某雑誌のインタビューで反論するという展開。

 親子で面と向かって言葉を交わすことはすでに不可能なのかと心配になってしまう次第であります。

 今回の論争(?)で1つ気になったのは、優一さんが許諾もなしに父親の所有物であるオートバイを売り飛ばしてしまったと報じられたことです。

 私なんか49歳になった今でも、実家の片付けなんかをする際に必ず本人(徳光和夫)の許可をしてから廃棄するかどうかを決めています。当たり前のことなんですけど…。

 まあ、これは母親の教育によるところが大きいような気もしないでもありません。

 さらに今1番大きな話題を呼んでいるのが、菅義偉首相のご子息による総務官僚接待問題ではないでしょうか?

■「普通に生きてたらあること」


 端的にまとめますと……菅首相のご長男は、勤務する会社(東北新社)の上司とともに総務省の幹部を繰り返し接待した。職務権限を有するキャリアも含まれており、そういった会食が東北新社の経営に有利に働いたのではないか、ひいては行政が歪められたのではないか…というお話でございます。

 私、同じ2世として「こんなことは許されるわけがない、総理も役人も辞職しろ!」なんて喚くつもりは毛頭ありません、だからといって肯定するつもりもありません。

 ただ率直に「こんなこと、普通に生きてたらあることだよね?」とも思ってしまうわけでありまして…。

 もちろん、ことが政治、とりわけ税金の使い方に関係しているかどうかで話は大きく違ってきます。ただ、お叱りを承知で申し上げれば、国が絡まないにしても大なり小なり、皆さんの身の回りでも同じようなことが起こっていませんか? と問いたくなってしまうわけです。

 各報道によりますと、このご長男、大学卒業後もミュージシャンを目指しフラフラしていて、それに痺れを切らした父・菅首相は、自身が総務相だった際(2006年)に秘書に任命し、それからおよそ9ヶ月の間、大臣秘書官をなさっていたそうです。

 そして2008年、菅首相の長年のスポンサーが創設した東北新社に入社し、現在では「メディア事業部の趣味・エンタメコミュニティ統括部長」と「東北新社グループの株式会社囲碁将棋チャンネルの取締役」も兼務しているそうです。

 ニート同然から入社して、重役になったのだから、よほどの能力の持ち主だったにちがいない……なんて見方をする人は少ないでしょうね。

 本題に入る前に1つ、「大学卒業後もミュージシャンを目指しフラフラしていて」という部分なのですが、これがまったく私と同じ状況でありまして、シンパシーのようなものを感じなくもありません。

 私の場合、父の付き人(今回でいえば秘書)のようなことをすることもなく、父が重篤な病に倒れるまで生業を持つことがなかったので、ご長男なんかより遥かにボンクラだったことは否めないのですが。

 ともあれ、「こんなこと、普通に生きてたらあることだよね?」論に戻ります。

 マスコミにしてもメーカーにしても広告代理店にしましても、悪い言い方をすれば情実採用、コネ入社なんて今でも当たり前に横行しています。

「ふざけるな、フェアじゃない」といったご意見はごもっともですが、それが現実でございまして、利用できるものは利用するというのも世の道理。

 私も今の仕事(テレビやラジオ関連)が出来ているのは、間違いなく父の威光あってのことと重々承知しております。

 ただ、これはきっかけであって、親が築いたものを踏襲しアドバンテージがあったとしても、それ以降は活かすも殺すも自分次第とはなってくるわけでございます。

 今回のご長男、途中までは「生まれ持ったラッキー」を見事に活かしていた気もしますが、「大事なところでコケちゃった」と表現したらふざけすぎでしょうか。

■「同情してしまいます」


 では、私の周りの方々はどう思ってらっしゃるのか伺ってみましたのでご覧いただきましょう。

「菅さんの息子、完全に総務省対策要員ですよね。世の中の嫌な縮図が露呈されたように思います」(44歳男性・メーカー勤務)

「互いに利害関係者であるならば、国家公務員倫理規程に触れるでしょうから官僚側は拒否しなければいけないところですが、総務省に大きな影響力を持つ現職総理の息子から案件を持ちかけられ、断れる役人はなかなかいないでしょうね。私は今回、接待を受けた側に同情してしまいます」(52歳男性・コンサルタント業)

「文春、見ました。今時40過ぎてロン毛? がまず気になりました(笑)。あと、お辞儀の角度がさすが政治家の息子だな、なんて感心したりして…。まあ、野党が糾弾するのはわかりますけど、新型コロナや地震、経済も滞ってるのに、飯食って利益供与がどうしたっていうことに時間と金を使おうっていうのが無駄じゃないかなと思いますね。正直、私らの生活に関係ないことだし。こういうことは世の中が平穏な時に追及するようなことじゃないですか?」(49歳男性・金融機関勤務)

「この会社ってもともとは映像制作会社だったんですよね? 電波事業に乗り出したのって、せっかく菅さんの息子を入れたから口利きして貰おうってこともあったのではと勘ぐってしまいます。あと、この案件は、菅さんの息子を面白く思っていない勢力が彼を刺しているように見えますよね。菅さんが首相にならなければコトはここまで大きくならなかったでしょうし、運命めいたことを感じます」(56歳男性・公務員)

「こんなことは頻繁にありますよね。自分の周りでも公務員だろうが民間だろうが接待したりされたりなんて当たり前。そんなの全世界共通じゃない? フェアになんてこの世の中あり得ないでしょ」(51歳男性・建設業勤務)


■とあるパーティにて


「有名政治家の子息はメディア関係企業に多く入っていますし、大手広告代理店にはオーナー企業の子息がコネ入社しますよね。その子息がいるだけで仕事がドカンと入ったり、いろんなことがスムーズに運ぶわけですから当然でしょう。今回も同じ類の話ではないでしょうか」(36歳男性・外資系金融機関勤務)

 皆さま、それぞれでございます。

 最後に私が経験した事案を1つ、とあるパーティにて。

「いやー、徳光さん。我が社も今度創立○周年パーティをするので是非司会をお願いします」

「いいんですか? スケジュールを確認しましてから、今一度連絡申し上げます」

 依頼者に連絡をし了承の旨を伝えますと「えっ、あなたじゃなくてお父さんに頼もうと思ったんですけど」との答えが返ってきました。

「それでしたら、父の事務所に確認していただいた方がよろしいかと思います」と、さらに私が返しましたところ「なんだよ、息子だからそれくらいやってくれよ」と乱暴なお言葉を頂戴しました。

 一応父のマネージャーに尋ねたところ、スケジュールの都合がつかずにその話はキャンセルとなりました。

 私自身、「まあ、世の中そんなもんだよな」と思ったものですが、菅首相のご長男さんも、そういった日々を送ってこられた時期もあるでしょうし、「春の花見時」を謳歌されていた時期もあることでしょう。

 いちおう誤解なきように念を押しておきますが、だからって「見逃してあげれば」などと言うつもりはさらさらありません。多分、ご長男にはこのあといい思いをした反動が来るのでしょう。

徳光正行(とくみつ・まさゆき)
1971年12月生まれ。茅ヶ崎市出身。日本大学芸術学部在学中よりミュージシャンを目指すが、父の病により断念。その後、司会業やタレント業に従事する。また執筆活動にも着手し『伝説になった男〜三沢光晴という人〜』『怪談手帖シリーズ』などを上梓。1月28日、『現代怪談 地獄めぐり 羅刹』(竹書房文庫)を出版。現在YouTube「徳光ちゃんねる」でも活躍中。

デイリー新潮取材班編集

2021年2月25日 掲載

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