米国とイランの関係の行方は?2020年1月以降の米国とイランの対立から考察。

米国とイランの関係の行方は?2020年1月以降の米国とイランの対立から考察。

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今年に入ってすぐイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が殺害されたことがきっかけで、米イランの軍事的緊張が一気高まり、筆者の周辺でも中東から退避すべきかどうかの声が複数聞かれた。しかし、軍事的緊張は幸いにも回避され、それ以降世界は新型コロナパンデミックとの戦いの時代に突入し、米イランリスクが報道される回数も激減した。あれから、米イラン情勢はどうなっているのだろうか。確かに1月以降この問題で大きな緊張は走っていないが、米イラン対立の最前線であるイラクではイランから支援を受けるシーア派武装勢力による駐留米軍を狙った攻撃は断続的に発生している。以下は、その具体的なケース(一部)である。

2月16日:首都バグダッドにある米国大使館付近とイラク軍基地にロケット弾4発が撃ち込まれ、うち2発は米国大使館の敷地内に着弾した。3月11日:バグダッド北郊にある米軍駐留基地にロケット弾15発以上が撃ち込まれ、米国人2人と英国人1人が死亡、少なくとも12人が負傷したイランが支援するシーア派武装勢力「カタイブ・ヒズボラ(KH)」による犯行が指摘されている。3月12日:駐留米軍がイラク南部にあるKHの拠点5ヶ所に向けて空爆を実施した。3月16日:「NujabaMovement」を名乗るシーア派武装勢力が、米軍が駐留する基地への攻撃を続けると警告する声明を発表した。4月16日:バスラ西郊にある米石油企業などが拠点を置く原油生産地区で、住居や事務所があるエリアに自走式多連装ロケット砲(カチューシャ)から発射されたロケット弾が着弾した。今年に入ってから4月頃まで、イラクではテロが増加傾向にあった。月毎の発生件数は、1月に79件、2月に82件、3月に61件だったが、4月は110件と大幅に増加した。110件のうち、大半はイスラム国(IS)による攻撃だったが、親イランのシーア派武装勢力による攻撃も2件あり、南部バスラにある米国企業の施設への攻撃と、バグダッドにある中国企業が運営する石油施設への攻撃だった。また、6月1日から28日までの間に、ISやシーア派武装勢力による攻撃は59件発生し、首都バグダッドで確認された10件のうち8件がシーア派武装勢力による攻撃だった。

上記のように、新型コロナパンデミックで報道される回数は減っているものの、米イランの緊張は依然として続いている。今後この緊張はどうなるのだろうか。最大のポイントとなるのは11月の米大統領選挙である。現在、大統領選ではバイデン氏がトランプ大統領を支持率でリードする展開となっているが、バイデン氏が勝利すればこの4年間のイラン政策は大きく変わることだろう。バイデン氏は、広島に原爆が投下された6日に合わせて声明を出し、核なき世界を目指す意思を継承すると明らかにし、2015年のイラン核合意から一方的に離脱したトランプ政権を非難している。しかし、バイデン政権になった場合、サウジアラビアが再び対米不満を高めないかが懸念される。最近、サウジアラビアが中国支援のもと北西部にウラン精鉱施設を建設しているとして、米国など関係国が核兵器への転用を含め警戒を強めていることが報じられた。バイデン政権になれば、これまでの米イラン対立が緩和されることは間違いないが、サウジアラビアの対米不満と核開発の可能性、それによるサウジアラビアとイラン、サウジアラビアとイスラエルの関係、そして中国の中東での影響力拡大など考えなければならない問題は多岐に渡る。

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