BCGワクチンは新型コロナウイルスへの抑制効果を持っているのか?

BCGワクチンは新型コロナウイルスへの抑制効果を持っているのか?

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新型コロナウイルスの感染拡大にBCG(カルメット・ゲラン桿菌)ワクチンの接種が抑制効果を持っている可能性があるとの論文が発表された。これは、京都大学こころの未来研究センターの北山忍特任教授(米ミシガン大学教授)らの研究グループがScienceAdvancesに発表したものだ。

この論文https://advances.sciencemag.org/content/6/32/eabc1463によると、

としている。新型コロナウイルスの感染者数や死亡者数が国ごとに大きな差があるのは、「BCGワクチンの接種」に関連しているのではないかとの見方は、新型コロナウイルスの感染拡大初期から出ていた。しかし、BCGワクチンの効果については、国際比較データの分析に伴う方法での研究結果は出されていない。

今回の研究では、報告バイアスの体系的な影響を最小限に抑え、統計が全体で等しくなるように短い初期期間を対象として、少なくとも2000年までBCGワクチンを義務付けてきていた国と義務付けていない国で、新型コロナウイルスの感染症例(134か国)と死亡症例(135か国)の両方における日々の増加率を分析した。その結果として、「BCGワクチンの接種を義務付けていた国と義務付けていなかった国では感染者数、死者数共に大きな差が出ている」ことが明らかになった。論文の中では、例えば米国ではBCGワクチンの接種を制度的に義務付けたことは一切ないが、仮に接種義務を数十年前に制度化していれば、2020年3月30日における死亡者総数は実数の2467人に対して、667人と推定できるとしている。これは、実数の約27%にとどまる。

そして、今回の研究結果について、「BCGワクチンの接種義務の効果はかなり大きく、BCGワクチン接種義務の制度化により、新型コロナウイルスの流行を将来的に抑制できる可能性を示唆している」としている。BCGワクチンの接種が新型コロナウイルスの感染拡大の抑制になっているのではないか、との見方が新型コロナウイルスの感染拡大初期から出ていたと前述した。実は4月3日に日本ワクチン学会が「新型コロナウイルス感染症に対するBCGワクチンの効果に関する見解」を発表している。

この見解では、国内外より、幼少期のBCGワクチンの接種の有無が各国の患者数や重症者数の多寡に関与しているのではないかという仮説1が提唱されているとした上で、日本ワクチン学会の見解として、留意すべきポイントを以下のようにまとめている。http://www.jsvac.jp/pdfs/kenkai.pdf

そもそも、BCGワクチンは結核に対する予防として接種されている。国内では、1949年にBCGによる結核予防接種が法制化され、30歳未満の人に毎年ツベルクリン反応検査を行い、BCGによる免疫が確認されなかった場合は繰り返し接種を行うこととされた。その後、1951年の結核予防法大改正によって凍結乾燥BCGワクチンの接種が法制化され、さらに、何度か制度の改正が行われ、1974年にはBCG接種の定期化により、乳幼児(4歳未満)、小学校1年生、中学校2年生の3回に定期化された。そして、2013年に「接種対象者は生後1歳に達するまで」という現在の接種方法になっている。

実は、BCGワクチンは結核だけではなく、様々な病気に対して効果が認められており、膀胱ガンでは標準治療としてBCG投与が行われている。また、ハンセン病など他の抗酸菌感染症に対する予防効果も認められている。ところが、BCGワクチンがどのような形で他の病気に対して効果を現しているのかについては、いまだに解明されていない部分もあるのだ。こうした点からも、BCGワクチンが新型コロナウイルスに対して、どのように効果を発揮しているのかが解明されるのには、時間がかかりそうだ。

しかし、新型コロナウイルスに対して、いまだ有効なワクチンや治療薬がない以上、「BCGワクチンは新型コロナウイルスに効果がない」と決めつけて、除外するのは如何なものだろうか。少なくとも、BCGワクチンは長い接種の歴史があり、副作用についてはかなり明らかになっている。その上、結核以外の病気に対しても効果があることがわかってきている。こうした点からは、BCGワクチンを新型コロナウイルスの予防薬として研究を進めていくことも必要だろう。

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