秋津壽男“どっち?”の健康学「激しい痛みが襲う代表格の病気の注意点。塩分に気をつけるべきは痛風と結石どっち?」

秋津壽男“どっち?”の健康学「激しい痛みが襲う代表格の病気の注意点。塩分に気をつけるべきは痛風と結石どっち?」

秋津壽男“どっち?”の健康学「激しい痛みが襲う代表格の病気の注意点。塩分に気をつけるべきは痛風と結石どっち?」

 痛みが伴う病気は数多くありますが、「結石」と「痛風」はともに代表的なものと言えます。結石は腎臓から尿道へ石がたまると「七転八倒の苦しみ」と言われ、痛風は足の指などが膨れ上がり「風が吹いても痛い」などと表現されます。どちらも食生活が原因となる病気です。では、ここで質問です。塩分の摂りすぎで怖いのは結石と痛風のどちらでしょうか。

 結石は腎臓にできたカルシウムの塊が腎臓⇒尿管⇒膀胱⇒尿道と小便の通り道を通るために「尿路結石」とも言われます。石が腎臓にある間は痛みもありませんが、尿管へ下りてくると激痛が生じます。小便の出も悪くなるため、残尿感があるのも特徴の一つです。

 尿の成分は食事によって変わります。結石につながる食生活としてはシュウ酸や尿酸などを増やす動物性タンパク質が代表的で、主に肉類から摂取されます。他に、魚介類などカルシウムの多い食事、ホウレンソウなどアクの強いものも、結石の経験がある人は食べすぎに注意してください。

 結石はシュウ酸が腸の中でカルシウムと結びついて、腎臓で「石」となり、尿管を詰まらせます。したがって、体の中にできる石の多くはカルシウム系であり、塩分の摂りすぎでは結石にはなりません。

 小便をした際に、石自体が小さければ尿道から、痛みを伴わず出てくることがあります。普通なら、とてつもない激痛を伴いつつ血とともに落ちてきますが、尿道の感触から石が排泄されるのがわかりますので、紙コップでおしっこを受けて尿道から出た石を病院へ持参すれば、自分の結石がどのような原因からできているかが分析できます。

 尿酸に変わり尿酸値を上げるプリン体も痛風と同じく摂取を減らすべき成分です。高尿酸血症になり、結石が非常にできやすくなるからです。

 一方の痛風は、関節の周辺にたまった尿酸に、体を守る白血球が攻撃を仕掛けて炎症を起こす急性関節炎のことを指します。原因となるプリン体は尿や便とともに排泄されますが、暴飲暴食や偏食によりプリン体が体にたまりすぎると、血液や関節に尿酸がたまり激痛を伴います。足の指だけではなく、足の関節や甲の部分、アキレス腱の付け根、膝関節、手の関節にも症状が現れます。激痛が起きた場合、患部を冷やして安静にすることが肝心です。また、市販の鎮痛薬を服用する場合、症状を悪化させる可能性があるアスピリン系の薬は避けてください。

 痛風は少し前まで「ぜいたく病」とされて、お金持ちが肉ばかり食べてかかると言われましたが、今では逆に「貧乏病」と言われています。手軽に食べられるファストフードなど安い食品ほど、総じてプリン体が多いためです。

 ただし、最近の研究で痛風の原因がプリン体だけではなく、塩分を摂りすぎても痛風発作を起こしやすいことがわかってきました。塩分の摂りすぎで高血圧を招き、それが原因となって尿酸値が上昇してしまうのです。結果的に、高尿酸値になった患者は高血圧症を合併している場合が多くみられます。血圧が高めの方は塩分を1日6グラム未満に抑えるべき。そう考えると、痛風は塩分にも注意すべきです。

 他にも、痛風=プリン体とのイメージから、プリン体ゼロのビールが売られていますが、痛風はアルコールそのものから影響を受けます。アルコールが体内で分解される際に尿酸が作られますが、この尿酸が体内に蓄積されるため、プリン体の有無にかかわらず大きな要因となります。さらに、肉類や海産物など複合的な原因で生じる病気です。アルコールや魚介類、塩分を減らして野菜や卵、チーズなどの食生活に切り替えてください。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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