医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<虫垂炎>「急激な腹痛よりも風邪と胃腸炎がサイン」

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<虫垂炎>「急激な腹痛よりも風邪と胃腸炎がサイン」

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<虫垂炎>「急激な腹痛よりも風邪と胃腸炎がサイン」

 急な右下腹部の痛みに「もしかして盲腸?」と不安になったことがある人も多いのでは。この場合は、ほとんど虫垂炎ではない。これは炎症が原因で数時間から数日かかかるのが一般的で、痛みの前にさまざまな前駆症状があるからだ。

 主な症状は、「風邪っぽい」「みぞおちあたりが痛い・モヤモヤする」「食欲不振・おなかの張りや吐き気」「微熱」などだ。

 かつて「盲腸(炎)」と呼ばれていた「虫垂炎(急性虫垂炎)」は、盲腸の先の突起部分「虫垂」が炎症を起こした病気。原因は、糞便や異物、先天的な形態異常、腫瘍、感染症などによって、虫垂の内腔がふさがり、細菌が増殖して炎症が発症することに起因する。

 虫垂炎は乳児にはマレで、10代後半から20代に多く見られるが、基本的にどの年齢層でも発症する。

 やっかいなのは、診察と血液検査だけでは診断が難しいことだ。そのため、CTや超音波のないクリニックや医院で「虫垂炎の可能性がある」と診断されても、実際には虫垂炎ではなかったというケースは多々ある。また、医師に「風邪」「胃腸炎」と言われたものの、実は虫垂炎だったというケースもある。

 最近の治療では、虫垂炎は切らずに、薬で散らすのが一般的だ。超音波検査やCTによる診断の精度が上がったことも理由の一つ。さらに、虫垂炎の炎症の進行の段階別で、抗生物質で治せるものもある。

「薬で散らす」内科的治療で済むか、手術をするかは、症状や腹部診察所見、検査結果などを総合的に判断して決定される。症状や炎症が強い場合には、手術を行うことになる。傷痕も小さく、ほとんどわからない腹腔鏡下手術が主流になっているが、重症の場合には開腹手術が選択されることも多くなる。

 腹痛に加えて微熱や吐き気などがある場合には、早めに医師に相談しよう。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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