医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<新型栄養失調>高齢者の5人に1人が…経済的理由ではなかった

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<新型栄養失調>高齢者の5人に1人が…経済的理由ではなかった

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<新型栄養失調>高齢者の5人に1人が…経済的理由ではなかった

 シニア世代の「栄養失調」が問題になっている。経済的な理由によらない点が特徴で「新型栄養失調」と言われるゆえんだ。摂取カロリー自体は足りているのに、体に必要な栄養素であるタンパク質やビタミン、ミネラルなどが不足している状態を指す。

 実際、70歳以上の5人に1人は「新型栄養失調」という報告もある。加齢に伴い、消化吸収力や食欲の低下、噛む力の衰えなどにより十分な栄養が摂取できなくなるからだ。さらには免疫力や運動機能が低下し、風邪を引きやすくなったり、転倒する危険があるという。

 本人や周囲の家族がめったに気が付かないことも厄介で、この中で一つでも該当すれば注意が必要となる。目安としては、

【1】6カ月以内に体重が2〜3キロ減少した

【2】肉や魚を全く食べない日がある

【3】1回の食事の量が減ってきた

 他にもBMI(体格指数)も指標の一つとなるのでこまめにチェックするといいだろう。計算方法は「体重(キログラム)÷(身長(メートル)×身長(メートル))」に自分の身長や体重を入力するだけ。60代だと20.0〜24.9、70歳以上は21.5〜24.9のBMIがベスト。20以下は低栄養素リスクで要注意だ。

「新型栄養失調」を放置しておくと、「フレイル(健康な状態と要介護状態の中間)に陥る危険がある。筋力低下の「サルコペニア」や「ロコモティブシンドローム」(骨や関節、筋肉の障害により歩行や日常生活に支障をきたす状態)、寝たきりの状態へ進行してしまう場合もある。

 最も重要な予防策はバランスの摂れた食生活。特にタンパク質の摂取がポイントになってくる。肉や魚以外に卵や乳製品、大豆製品などをメニューに取り入れることが必要だ。タンパク質の合成を促進する野菜などもバランスよく、忘れないように。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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