歌舞伎町ホテル清掃員の「ウィズコロナ」現場(1)待機室が密で「休憩は廊下」

歌舞伎町ホテル清掃員の「ウィズコロナ」現場(1)待機室が密で「休憩は廊下」

歌舞伎町ホテル清掃員の「ウィズコロナ」現場(1)待機室が密で「休憩は廊下」

 5月25日に緊急事態宣言が解除されたにもかかわらず、再発令すべきとの意見も続出するほど感染者が減らない東京都。市中感染者が増えてきている一方、新宿・池袋などの夜の街での感染者も注目されているのは周知の通りだ。そんな中、4月7日に東京都で緊急事態宣言が発出される以前から新宿歌舞伎町で、男女が夜の営みのために利用する、「カップルズホテル」の1軒で清掃員をしてきた夏井英機氏(仮名)が本サイトに寄せた手記を4回に分けて紹介する。

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 5年前から週3、4回のペースで働いている私の仕事の内容は、簡単に言うと二人一組15分で一部屋仕上げるというもの。一人はベッドのシーツや枕のカバーを取り替え、もう一人は風呂場を拭いて回る。その他、歯ブラシや髭剃りなどが入ったアメニティやティーバッグを補充したり、トイレの掃除をしたり。ゴミというゴミをビニール袋に集めていったりする。もちろん使用済みのグッズも。夕方から深夜までの6時間で、ここ数年は12〜16数部屋。1時間に2、3部屋のペースで清掃する。

 メインは派遣型の夜のサービス嬢のお客さんだ。男が先に入店して、指名された女性が後から入る。気に入らなければチェンジできるが、条件が合わず部屋を使わず帰る男性客もいる。無店舗営業なので夕方にホテルの前に業者の送迎・待機用のワンボックスカーが待機しているのをよく見かけるが、もちろん一般のカップルも客として来る。下は20歳前後の初々しい男女、サラリーマンやヤンチャ系、70代の老夫婦らしき男女もいる。ちなみにサービス嬢のお客さんの利用が一般客と比べ6:4か7:3で多い。

 緊急事態態宣言が発令されるまでの状況は、例年の3月下旬は、桜の季節は別れと出会いの季節や花見や歓送迎会などが多いことが影響してか、ホテルが1年でもっとも混む。満室で、清掃スタッフ全員がフル稼働したものだが、今年は変だった。3月下旬でも一般カップルが来ない。来るのは夜のサービス嬢の客、そして東南アジア系の外国人女性を数人連れてきて総額7、8万円散財して帰る常連のおじさんぐらいで、掃除する部屋は1時間に1、2部屋程度に減ったのだ。

 3月末に志村けんさんがコロナで亡くなり、4月7日に緊急事態宣言がなされると、自粛ムードはさらに強まった。6時間で6部屋。つまり一部屋掃除したら45分休むペースにまで客が減ったのだ。その間は4畳半ほどの待機室に待機しますが、ふだんなら掃除する部屋が常にあり、部屋で待機するのは、2〜4人ということが多いのに、6〜8人になった。廊下もふだんはサービス嬢のいくぶんサービスの意味で大声となるアエギ声も聞こえず静かになった。

 3月以降、自主的につけ始めた使い捨てマスク・使い捨てゴム手袋が邪魔で、息苦しくスマホを操作するのも難しい。待機室は、人と人と自覚症状がないまま、感染させてしまうかもしれないのに、スタッフにはマスクをしていない者もいる。かといって、人間関係を壊したくないので気軽に「マスクしたら」と注意するのもはばかれる状況だった。

 スタッフの半分は東南アジア系の女性で、明るい声でケラケラと母国語で話していた。密がこわいし、うるさくてたまらない。そんな待機室の状況が耐え難かった。それで廊下で待機して、スマホを眺めたり、ラジオ体操をしたりして、廊下で時間を潰していた。

 そしてたまに必要となる部屋の掃除を淡々とこなす。ゴミの入ったビニール袋をゴミ箱から外して新しいものと交換したり、シーツや枕カバーを新しいものに取り換えたり。何百回、何千回と繰り返している動作なので、身体で覚えている。だからこそ、平常心のまま、仕事することができた。

 そうやって、少ない掃除部屋をこなしながら、0時まですごしていた。

(写真はイメージ)

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