医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<溶連菌感染症>初夏に流行するコロナ的症状の実態

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<溶連菌感染症>初夏に流行するコロナ的症状の実態

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<溶連菌感染症>初夏に流行するコロナ的症状の実態

「ひどい喉の痛みと高熱がある」‥‥こんな症状が出たら、今の時期は新型コロナウイルスの感染を疑う人が多いだろう。しかし、感染症は新型コロナとは限らない。特に初夏や冬場に流行するのが「溶連菌感染症」だからだ。

 これは「溶血連鎖球菌(溶連菌)」が喉に感染して発症する病気。一般的に、子供がかかりやすいイメージがあるが、実は大人でも感染する。症状が出ずに治ることも多いが、疲労などで免疫力が低下していると重症化する可能性もあるので侮れない。

 主な症状は、喉の痛み、38度以上の発熱だ。首のリンパ節の腫れや痛み、頭痛、嘔吐、下痢、腹痛、倦怠感、重症化すると発疹を伴うこともある。舌に赤い発疹ができる「イチゴ舌」は、子供に発症する場合が多く、大人にはあまり見られない。

 風邪との違いは、喉の痛みが非常に強いわりには、咳や鼻水の症状があまりみられない点にある。さらに、首のリンパ節の腫れや、喉の奥の扁桃腺に白い膿が付いていれば、感染している可能性が高い。

 特にこの病気で怖いのは合併症だ。

 中耳炎や副鼻腔炎、皮膚に感染する「とびひ」を発症する場合もある。あるいは、まれに腎臓の機能に障害を起こす「腎炎」や、関節や心臓の弁膜に障害を起こす「リウマチ熱」を発症する危険性もある。

 診断は、一般的に綿棒で喉の菌をこすり取って行う迅速検査が用いられる。抗生物質が処方されるが、医師に処方された通りにしっかり薬を飲めば、たいていは数日間で回復するだろう。

 注意したいのは、熱が下がったからといって、抗生物質の服用を自己判断でやめてしまわないこと。これによって合併症を引き起こす可能性もある。症状が出たら、早めに医療機関を受診し、処方された抗生物質はすべて服用することが重要だ。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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