「お祭り感覚だった」いまどきの暴走族はSNSで仲間を募集…チーム名なく総長も不在

「お祭り感覚だった」いまどきの暴走族はSNSで仲間を募集…チーム名なく総長も不在

原付でチョロチョロと(大阪府警提供)

「お祭り感覚だった。予想外に集まり、テンションが上がった。自分たちが世界の中心だという感覚だった。みんなで走るのが楽しかった」

 SNSで暴走行為を呼び掛けた男子高校生(当時16)は、興奮気味にこう話したという。

「だんじり祭」で有名な大阪府岸和田市で昨年11月、バイク32台で集団暴走をしたとして、いずれも府内に住む14〜17歳の高校生や中学生の少年少女計53人が、11日までに府警交通捜査課などに摘発された。

「次の土曜日の晩、走りに行こうや」「土曜日走りたいヤツ」

 男子高校生は複数のSNSを使って、仲間を募集。投稿に反応した相手と個別にやりとりをして時間と場所を伝えた。友人がまた別の友人を誘い、昨年11月14日夜、和泉市の公園には地元の中高生、専門学校生、アルバイトなど53人が集まった。メンバーは赤や白色といったド派手な特攻服姿ではなく、皆、ごく普通の格好。この日が初対面のメンバーもいた。「ブラックエンペラー」などのチーム名もない。

 53人は250tと125tのバイク1台ずつと30台の原付に分乗し、暴走を開始。参加した少女7人のうち、6人がケツ乗りだった。無免許運転や2ケツ、マフラーを外したり、穴を開けた改造車もあった。一行は途中で岸和田市内のコンビニに立ち寄り、休憩。駐車場で騒いでいる集団を見かけた付近の住民が「暴走族の単車が多数、集まっている」と110番した。すぐに岸和田署のパトカーが現場に駆け付けると、暴走集団はクモの子を散らすように逃げたため、追跡を始めた。

■映像を解析し一網打尽

 暴走集団は岸和田市の国道26号など約2.4キロにわたり、信号無視や蛇行運転、複数車線に広がりながら共同危険行為を繰り返し、交差点を左折して一方通行を逆走して逃走。パトカーに搭載されたビデオカメラが、一部始終を捉えていた。

「車体に取り付けとったカメラと、路上の防犯カメラの映像を解析して53人全員を特定し、一網打尽にしたんや。大半が初対面同士で、“総長”といったリーダーみたいなんもおらん。先輩後輩とかとちゃうし、上下関係もない。地元の人間いうてもつながりが薄いから、捜査に時間がかかった。集団暴走は大阪にはまだちょこちょこおるけど、多くても10台まで。これだけ大がかりなんは、久しぶりやな」(捜査事情通)

 岸和田市内の国道26号では、毎年11月3日未明になると、「イレブンスリー暴走」が繰り返され、「期待族」と呼ばれるやじ馬が2500人集まったこともあった。府警は2016年、930人の警察官を動員して約2キロにわたり、国道を封鎖。それから毎年、封鎖を続け、17年以降暴走行為は発生せず、昨年、ようやく見物客がゼロになったところだった。

 暴走集団は、地元住民や車両にとっても危険で迷惑な存在でしかない。

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