喜べない野菜安…裏で進む「食の安全保障」ボロボロの現実

喜べない野菜安…裏で進む「食の安全保障」ボロボロの現実

安いのはいいが…(C)PIXTA

スーパーをのぞくと生鮮野菜が安い。キャベツ98円、エノキ60円、ニラ80円……。農水省によると、23日時点の東京都中央卸売市場での卸売価格は平年比で、ハクサイが47%、キャベツが68%、ニンジンが71%などと軒並み下回っている。ネギ、ダイコン、ジャガイモ、レタス、タマネギ、ホウレンソウも含めた9品目は、4月も平年より2割以上の安価で推移するという。

 食品などの値上げが相次ぎ、秋の消費増税を控える消費者にはありがたいが、喜んでばかりはいられない。

「最近の野菜安は、天候に恵まれ生育が順調なのが要因ですが、もうひとつ、国産野菜の需要が低迷していることもあります。昨年の豪雨や猛暑などの影響で野菜が高騰した時、国産から輸入に切り替える業者が多く現れ、今も輸入品が定着しているのです」(農政担当記者)

■「食料自給率」目標を下方修正も遠く及ばず

 農畜産業振興機構によると、昨年の野菜全体の輸入量は292万トンで前年比6%増。とりわけ生鮮野菜は前年から14%も増え、98万トンだった。107万トンで同5%増の冷凍野菜は2年連続で過去最高を更新した。

「一般消費者の目につくスーパーではあまり見ないかもしれませんが、外食など業務用は輸入野菜が増えています。ただ、目先のことに追われて輸入が拡大し続ければ、国内の農家は弱体化します。食の安全保障の観点からは気をつけておいた方がいいでしょう」(経済ジャーナリスト・井上学氏)

 日本の食料自給率はジリ貧だ。1965年度には73%(カロリーベース)だったが、2017年度は38%まで落ち込んでいる。野菜(75%)は米(97%)に続く優等生だが、輸入野菜の拡大は自給率をいっそう押し下げる。

 安倍政権は15年3月、食料自給率の目標(25年度)を50%から45%に引き下げたが、削った目標からも遠のくばかり。武器爆買いより、ちょっとは食の安全保障にも目を向けたらどうか。

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