【インドネシア】課題は格差を背負ったイスラム教徒をどう受け入れるか

【インドネシア】課題は格差を背負ったイスラム教徒をどう受け入れるか

著しい貧富の格差(ジャカルタの高層ビルと民家)/(C)日刊ゲンダイ

【現地リポート 外国人労働者の実像】

 先月から受け入れ可能となった外国人の単純労働者の送り出し国のうち、今回はインドネシアから現地報告をしたい。

 インドネシアの朝は早い。中心街のホテルに宿泊していると、午前4時半に近所のモスクから大音量のお祈りの声が流れ、叩き起こされた。

 インドネシアの人口約2億6000万人は、送り出し国の中で中国に次いで多い。その約9割がイスラム教徒であり、同国から日本に来る労働者は当然イスラム教徒である可能性が高い。

 首都ジャカルタ市内で日本語学校の副校長を務めるインドネシア人のA氏は、イスラム教徒であることは日本で働くことの障害にはならないと断言する。あえて障害となるのは「豚肉が食べられないくらい」と話す。

 しかし、2017年のインドネシアからの技能実習生数は2万1894人に過ぎない。同じ年に人口約9600万人のベトナムから12万人を超える実習生が来ていることと比べれば、少ないといえるであろう。

 理由としては、宗教性ではなく、経済的な背景が大きい。ベトナムの1人当たりのGDPが2587米ドル(約29万円=18年)なのに対し、インドネシアのGDPは4000米ドル(約44万円=同)に近いのである。

■アニメブームなどで日本語学習者70万人

 特にジャカルタで日本語を学ぶ学生は、富裕層出身の大学生が多い。つまり日本語を学ぶことが日本での単純労働には結びつかないのだ。

 しかしながら、日本語教育関連事業に従事し、ジャカルタで長年暮らすB氏は、アニメブームなどの影響もあり、同国の日本語学習者が70万人を超えていることに着目する。さらにB氏はその日本語学習者の多くが、地方の高校生だという。そして、その地方と中央(首都周辺)との経済格差は激しいのである。

 前出のA氏も田舎からジャカルタに出てきても、月収4万〜5万円にしかならず、日本語に興味を持つ地方の低所得者層ならば、語学を学んで労働者として日本に行きたいと考えてもおかしくはないと語る。

 経済的理由が第一だとしても、やはり70万人の日本語学習者がイスラム教徒であることも看過できない。彼らの一部を労働者としてどのように受け入れていくのか。冒頭のお祈りの習慣や食生活も含めて、私たち受け入れ側も彼らの文化を尊重する必要があるだろう。

(安井裕司/日本経済大学教授)

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