肺から2万2000ベクレル…作業員にこれから出る健康被害

原子力研究機構の作業員5人が最大で2.2万Bqの被曝 がんや感染症、多臓器不全の恐れ

記事まとめ

  • 日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)で作業員ら5人被曝
  • 1人の肺から長崎の原爆で使用されたプルトニウム239が2万2000ベクレル検出された
  • 発がんリスクが上がるほか、早期に免疫低下による感染症、多臓器不全などの懸念も

肺から2万2000ベクレル…作業員にこれから出る健康被害

肺から2万2000ベクレル…作業員にこれから出る健康被害

記者会見する量子科学技術研究開発機構の明石真言執行役(C)共同通信社

「半端な被曝量ではなく、事態は軽微なものではない。被曝限度を超えるのはほぼ確実だ」――。7日、原子力規制委員会の伴信彦委員が絞り出すような声でこう言った。

 日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)で6日、男性作業員ら5人が被曝した前代未聞の事故。当初、機構は3人の鼻腔内から最大24ベクレルの放射性物質が検出されたと説明していたが、この日、1人の肺からナントその916倍の2万2000ベクレルが検出されたと発表した。検出されたのはプルトニウム239。長崎の原爆で使用された毒性の高い放射性物質として知られている。

 驚くのは、ちっとも危機感が感じられない原子力機構の対応だ。すでに全員に放射性物質を体外に排出する薬剤を投与したというが、日刊ゲンダイが作業員5人の健康状態について質問すると、「現時点では本人たちから急性症状が出たという訴えはありません。将来的に影響が出る可能性は否定できませんが、詳しい検査結果を待って慎重に対応していきたい」(報道課担当者)と説明した。

 しかし、5人が搬送された放射線医学総合研究所が所属する量子科学技術研究開発機構の明石真言執行役は、「内部被曝で発がんリスクが上がることが科学的にはっきりしている」と指摘。5人の健康は大丈夫なのか。

「放射性物質は体内に入ると細胞の遺伝子を傷つけ、長期的にがんなどを引き起こす恐れがあります。しかも今回は2万2000ベクレルという前代未聞の高い値ですから、もっと早期に別の症状が表れるかもしれません。免疫低下による感染症、多臓器不全などが懸念されます」(医学博士の米山公啓氏)

■規制委も呆れる原子力機構の大失態

 それにしても、どうして今回の事故は起きたのか――。作業員たちは約300グラムの核燃料物質が入った金属容器の点検作業をしていたところ、容器を包んでいるビニール製バッグが破裂し、プルトニウムなどを含んだ粉末を吸引したという。

 これについて、原子力規制委員会の田中俊一委員長はこの日、「プルトニウムに慣れすぎているとこういう事故が起きる。経営陣も含め、もっと真剣に反省するべきだ」と指摘した。彷彿させるのが、作業員2人が死亡、住民666人が被曝した18年前のJCO東海村の臨界事故だ。

「JCOの臨界事故は、作業員が沈殿槽にバケツで高濃度のウラン溶液を入れる混合作業中に起きました。放射性物質は常に慎重に扱う習慣が大切。今回の事故も、原子力機構の管理体制が適切だったか、厳しく検証されるべきです」(日本環境学会元会長の畑明郎氏)

 こんな状態で原発再稼働なんて論外だ。

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