大阪12歳女児誘拐 35歳監禁男の計画性と巧妙ダマしの手口

大阪12歳女児誘拐 35歳監禁男の計画性と巧妙ダマしの手口

伊藤仁士容疑者(左)の自宅に家宅捜索に入る大阪府警捜査員ら(C)共同通信社

「自宅まで連れてきたが、誘拐しようと思ったわけではない。SNSで助けを求めていた子を助けてあげた。正しいことをした」

 大阪府警の調べに対し、監禁男は自らの正当性を主張しているという。

 今月17日、大阪市の小学6年生の女児(12)が誘拐され、6日後の23日、未成年者誘拐、監禁の疑いで栃木県小山市の派遣社員、伊藤仁士容疑者(35)が府警捜査1課に逮捕された事件。その手口から、周到な計画性がうかがえる。

「半年ぐらい前に来た別の女の子がいるので、(一緒に)オンラインゲームをやったり、しゃべり相手になって欲しい。うちに来ない?」

 伊藤容疑者は10日ごろ、オンラインゲームで知り合った女児にこんなメッセージを送り、事件の数日前、女児の自宅近くの公園で待ち合わせする約束をし、大阪まで迎えに行った。

「35歳と12歳といえば親子いうても、おかしない年やろ。2人が公園におったところで誰も不審に思わへん。女児に対しても『家にもう1人女の子がおる』いえば、女児も『1人ちゃうから大丈夫やろ』と安心するやろうし、女児にしてみたら、寂しく1人でいる女の子の相手をしてやらなアカン思うわな。女児の心理に付け込んだっちゅうか、巧妙さがうかがえる。警戒心を解き、話し相手という役割を与えることで、女児をまんまと誘い出し、誘拐することに成功したんや」(捜査事情通)

 人目につくのを避けるためか、大阪メトロ御堂筋線あびこ駅から在来線を乗り継ぎ、最終電車で最寄り駅に到着。約11時間かけて女児を自宅へ連れて行った。途中、「スマホは使うな」と指示し、電源を切ってSIMカードを抜き取り、位置情報が分からないようにした。自宅に入ると靴を取り上げ、逃げられないようにしたが、23日午前10時ごろ、女児は伊藤容疑者が寝ている隙に家から脱出し、交番に駆け込んだ。

 もう1人、保護された茨城県の女子中学生(15)も女児と同様、家庭や学校生活などで悩みを抱えていた。6月に家族から行方不明届が出され、部屋には伊藤容疑者を含め、複数の携帯番号が書かれたメモが残されていた。伊藤容疑者は少女たちの心理状況を巧みに利用して、誘拐したとみられる。

 ただ、伊藤容疑者に対する周囲の評判は必ずしも悪くない。知人がこう話す。

「礼儀正しく、他人にも親切で、読書家で時事問題にも詳しく、頭が切れ、女にもちょっとはモテた。明るいヤツではなかったが、知り合いは皆、驚いていると思う。クソ真面目で融通が利かなかったり、不器用なところもあったけど」

 中学時代の文集に「弱い人間の力になれる優しい人間になる」とつづっていた伊藤容疑者。父親を交通事故で亡くした後は、3人きょうだいの長男として弟、妹の面倒を見てきた「優しい人」が、どこで進む道を間違えたのか。

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