東京五輪ボランティア 同じ仕事で「タダ」と「有償」なぜだ?

東京五輪ボランティア 同じ仕事で「タダ」と「有償」なぜだ?

ボランティアから乗り換えも…(C)日刊ゲンダイ

「安倍政権が掲げる『同一労働・同一賃金』はやっぱり嘘」「結局、ボランティアという名のタダ働きがほしかっただけ」――。東京五輪のボランティアらから、こんな怒りの声が上がっている。きっかけは、求人情報誌「タウンワーク」(リクルート社)で〈東京2020 オリンピック・パラリンピックを支える仕事特集〉の広告が掲載されたことだ。

〈東京2020で働く。時給1600円〜〉。同誌では、東京五輪オフィシャルサポーターの人材派遣「パソナ」が、組織委に派遣するスタッフ(職員)として、「競技会場運営」や「選手村運営」「トランスポート」「IT・テクノロジー」など8種類について募集しているのだが、注目は、これらの業務内容が無償ボランティアの〈活動内容・分野〉とほとんど変わらないことだ。

 あらためて、すでに募集を終えた8万人のボランティアの業務を確認すると、〈競技会場や練習会場内で競技運営等のサポート(競技)〉〈大会関係者が会場間を移動する際に車を運転し、快適な移動となるようサポート(移動サポート)〉〈通信機器等の貸出しや回収等のサポート(テクノロジー)〉などとあった。

 ボランティアは活動中の飲食、保険、滞在先から会場までの交通費相当(1日1000円)、ユニホームなどは支給されるものの、滞在先の宿泊費などは自己負担だ。これに対し、派遣職員となれば時給1600円以上が保証される。

 この状況を組織委は把握、了承しているのか。本紙(日刊ゲンダイ)がメールで問い合わせると、組織委戦略広報課担当者は〈ボランティアは、資格要件を要せず、任意かつ無償で参加いただくことを前提〉〈一方、有償の職員は、即戦力として高い専門性を発揮し、職務を遂行することを前提〉と説明しつつ、〈両者は役割や職務(活動)に対する責任の有無など、スタッフとしての性質が大きく異なり、代替の関係にはないと考えております〉と回答した。

 要するに、ボランティアと、高い専門性のある即戦力の派遣職員は役割が違う、と言いたいらしい。だが、パソナの応募資格を見ると〈社会人経験があればOK!〉とかなりハードルは低い。〈大歓迎〉とあるスキルにも〈バイトリーダー〉とあるから、組織委が前提とする「高い専門性を発揮する即戦力」とは言い難いだろう。スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏はこう言う。

「人を増やしたいのであればボランティアを増やせばいいし、高い専門性を持った即戦力がどうしても必要であれば、組織委が直接採用すればいいだけ。あえて人材派遣会社を通す必要はありません。オフィシャルサポーターだから、五輪ビジネスの機会を少し与えてやろうと、そんな組織委の思惑が透けて見えます」

 大会中にボランティアの反乱が起きるかもしれない。

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