現役世代の健康保険料率アップで財源確保 日医会長の暴論

現役世代の健康保険料率アップで財源確保 日医会長の暴論

働き盛りに押しつけ(日本医師会の横倉義武会長)/(C)共同通信社

【国民が知らない 強欲医師の賃上げ闘争】#3

 医師の高賃金を支えているのは、国民が支払う診療報酬である。

 政府は2年に1度、診療報酬を改定するが、過去に医師の賃金カットに手を付けたのは小泉純一郎政権当時の2度だけ。それ以外は、医師の賃金を引き上げる「“高給医師に追い銭”政策を一貫して取ってきた」(厚労省関係者)というのが実態である。「選挙の金と票で、お世話になっている日本医師会ともめるのは得策ではない」(自民党代議士)からだ。

 とはいえ、賃上げには財源が必要だが、周知の通りの財政難。そこで今、日医が財源確保策のひとつとして主張しているのが、現役世代の健康保険料率の引き上げだ。日医の横倉義武会長は記者会見などで繰り返し、こう主張している。

「すべての被用者健康保険の保険料率を、料率の高い協会けんぽ(中小企業の健保組合)の10%まで引き上げ、公平化することで約1兆円の増収が見込める」

■負担を肩代わりする現役世代

 ただでさえ、現役世代は少子高齢化による負担増に苦しんでいる。厚労省資料を基に健康保険組合連合会が作成した資料によると、2009年から16年の間に、50〜54歳の医療保険料は1人当たり8・4万円増加。55〜59歳は9・7万円も負担額が増えている。

 これに対し、80〜84歳は、1人当たりの医療費が5万円も増えたにもかかわらず保険料の負担増は、たった1000円。つまり、現役世代が肩代わりしているのだ。

 現役世代の負担について、もう少し詳しく説明すると、例えば75歳以上の高齢者の医療費は現役世代の4倍で、その財源の8割以上が現役世代の援助金と税金で賄われている。16年を例に取ると、75歳以上の1人当たりの医療費は平均約91万円。うち高齢者自身の負担は、保険料を含め約13万円で、残りは税金(約42万円)と援助金(約35万円)で賄われている。

「安倍政権は賃金が上がったと喧伝するが、サラリーマンには実感がない。賃金アップ以上に健康保険料などの負担が増え、手取りの可処分所得は増えていないのだから、当然です」(前出の厚労省関係者)

 医師の賃上げのために現役世代の負担を重くするなんて、とんでもない。

(長谷川学/ジャーナリスト)

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