池袋暴走事故現場 88歳元院長の“爪痕”は残っていなかった【2019年あの事件と騒動の今を直撃】

池袋暴走事故現場 88歳元院長の“爪痕”は残っていなかった【2019年あの事件と騒動の今を直撃】

実況見分に立ち会う飯塚幸三容疑者(左は、会見する被害者遺族の松永さんの夫)/(C)日刊ゲンダイ

【2019年 あの事件と騒動の今を直撃】

 悲惨な事故の“爪痕”は、あっけないほど残っていなかった。

「予約していたフレンチに遅れそうだった」

 旧通産省工業技術院の元院長・飯塚幸三容疑者(88)が自動車を暴走させ、東京・東池袋の横断歩道を渡っていた松永真菜さん(当時31)と娘の莉子ちゃん(同3)をはねて死亡させたのが、4月19日の午後0時半ごろのこと。

 ブレーキとアクセルを踏み間違え、時速は90キロ台後半だったという。

 あれから8カ月。12月中旬、休日の昼ごろに事故現場を訪ねてみた。

 事故直後、現場付近の道路脇に設けられた献花台。花束で埋め尽くされていたが、それもプラスチックケースに替わり、7束ほどしかない。その横を、莉子ちゃんぐらいの幼い男の子を連れた若夫婦が、笑顔を浮かべながら通り過ぎていく。

 枯れかかった花束の横に、サッカーボール大の造花のオブジェが置かれていた。「みぶん」「そんたく」「まねー」などと“メッセージ”が書かれている。12月にしては穏やかな陽気。それ以外に事故を思い起こさせるものは、どこにも見当たらない。

 その足で、11月12日に過失運転致死傷容疑で書類送検された飯塚容疑者の都内の自宅マンションも訪ねてみた。ネット上で「上級国民」と怒りを買うほどの豪華な住まいとは、正直思えない。

 事故後しばらくは「迷惑です」「悪質な場合、警察に通報いたします」などと書かれた“取材厳禁”の張り紙があったが、どうやら外されたらしい。

 インターホンを押したが、予想通りというか、反応はなし。出掛けようとする近隣住民に声をかけると、「見かけないですね」とポツリ。話しかけても、無言で素通りする住民も……。

 妻と娘の命を奪われた夫の「遺族のブログ」(12月8日付)には、こう書かれている。

〈世の中で、今一度交通事故について共に考えていきたいです〉

〈この国の一人ひとりの人生に、少しでも良い未来が訪れるように〉

 2018年の交通事故死者数は3532人(警察庁調べ)だ。

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