ゴーン被告逃亡劇は日本側の凡ミスの連鎖…国外脱出の内幕

ゴーン被告逃亡劇は日本側の凡ミスの連鎖…国外脱出の内幕

真相はいかに…(19年3月撮影)/(C)日刊ゲンダイ

会社法違反(特別背任)などの罪で起訴され、保釈中だった元日産自動車会長カルロス・ゴーン被告(65)がレバノンに逃亡していたという衝撃的なニュースが流れてから、1週間が経った。

 これまでの報道を総合すると、ゴーン被告の逃亡は計画な緻密に基づいたというより、逃げようと思えば簡単に逃げられた日本側のずさんな監視体制が見えてくる。

 日本国内でゴーン被告の姿が最後に確認されたのは、19年12月29日の昼過ぎのこと。ひとりで港区の自宅から外出する姿が玄関付近の防犯カメラに写っていたが、それを最後に自宅に戻ってくることはなかったという。

「ゴーンさんが時折、散歩している姿を見かけましたが、お嬢さんとか身の回りの世話をされている方など常に誰かと一緒でした。ひとりで歩いている姿を見たことはありません。それ以外だと、外出時は大抵、いつも同じ運転手付きの黒いミニバンが迎えに来ていましたね」(近所の住民)

 ゴーン被告の自宅周辺には政府関係者や海外の要人が多く居住するため、日中は、わずか数十メートル離れた交差点に警察車両が止められ、警察官が常に立っているような状況だった。それにも関わらず、ゴーン被告はひとりで外出したうえ、誰にも見られずに移動できたということになる。

■警察が近所に常駐していた

 そして、その日のうちにゴーン被告は関西国際空港からプライベートジェット機でトルコのイスタンブールへと向かい、12時間後の現地時間30日の早朝に到着。そこからレバノンに向かったとされている。プライベートジェット機専用のターミナルでも、出国前には当然、入管や税関の職員が立ち合い、乗員の出国審査や荷物検査が行われたがゴーン被告の姿は確認されていない。荷物は、スーツケースと高さ1メートルを超える大型のケースが数点あったが、職員は「不審な点はなかった」と語っている。

「荷物の中までは検査しなかったということでしょう。現在、ビジネスジェットなどのプライベートジェット機の国内の発着回数は年間約1万6000回にもなります。ここ10年間で急激に増え、検査体制見直しの必要性が以前から指摘されていました。ゴーン被告クラスになるとプライベートジェットの利用は日常的なことです。そもそもゴーン被告が逮捕されたのも、プライベートジェット機で日本に帰国した時でした。それにも関わらず、同じ方法で出国するというのは、日本の空港の検査体制の甘さを熟知していたということでしょう」(空港職員)

 さらに、20年1月4日の報道ではこんな情報まで飛び出した。

 ゴーン被告が昨年4月に保釈されてからずっと、日産関係者がゴーン被告の証拠隠滅を図ることを防ぐ目的で警備会社に依頼し、24時間体制でゴーン被告の行動監視を行なっていたというのだ。それに対し、ゴーン被告側が「重大な人権侵害」として、刑事告訴する方針を担当弁護士を通じて表明し、その情報を入手した日産側は12月29日に一旦監視を中止にしたという。

 ゴーン被告が逃亡のために自宅を出たのはその直後だった。東京地検特捜部は、ゴーン被告が監視をやめさせて逃亡を図りやすくするために刑事告訴を悪用した疑いもあると見て調べているという。

■日産側の監視もかいくぐった?

 確かに、その事実を裏付けるかのような別の報道もあった。昨年12月27日発売のフライデーの記事「カルロス・ゴーン謎のバイク集団に監視される日々」によると、同誌がゴーン被告を数日間に渡って張り込んだ際、自宅を監視するバイクに乗った人物の姿を何度も目撃しているとある。

 とはいえ、記事には「(監視の人物は)ゴーン氏が移動したのを見届けたのか、しばらくすると姿を消した」とある。

 また、別の近所の住民は「確かに、いつも同じ場所にバイク便のような格好をして立っている人はいましたが、毎日ではなかったと思います。秋頃には何度か見かけましたけど、先月はほとんど見ていません。閑静な住宅街ですし、不審な人物が夜中も立っていたらすぐに通報されるような場所なので、24時間ずっとゴーンさんの自宅を監視するのは無理だと思います」と語る。

 つまり、実際は毎日のように24時間体制で監視をしていたわけではないということだ。さらに言えば、広尾や麻布の繁華街周辺では路上駐車するゴーン被告の送迎車も目撃されている。おそらく、近くの飲食店で食事でもしていたのだろうが、その間、送迎車の近辺で不審な監視者が目撃されたことはなかったという。

 各社報道によれば、ゴーン被告は3カ月ほど前から逃亡計画を入念に立てていたそうだ。ゴーン被告がいかに厳しい監視網をかいくぐって逃げたかのかと一部で盛り上がっているが、実際は、裁判所、検察、日産の監視ともに、全てがずさんだったというひと言に尽きるのではないか。

 ゴーン被告は昨年4月の保釈時に自分にヘルメットに作業着を着せて世界中に赤っ恥をかかせた弁護団すら信用できないと、弁護団をも欺いたのだろうか。それとも、あれは今回の逃亡劇を見越してのゴーン被告自身が企てた小芝居だったのか。ゴーン被告は8日にレバノンで会見を開き、全てを語ると声明を出している。もしかしたら、そこで“答え合わせ”が待っているかもしれない。

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