温情あっての統率力 除籍処分の大物・後藤組長も信奉者に

温情あっての統率力 除籍処分の大物・後藤組長も信奉者に

あえて「憎まれ役」になることで…(6代目山口組の山若頭)/(C)日刊ゲンダイ

【山口組分裂と抗争のキーマン 高山清司という男】#2

 その辣腕ぶりが畏怖される、6代目山口組の山清司若頭。山口組の伝統である「信賞必罰」に非情なまでに徹し、「憎まれ役」を自らに課しているようにみえる。実際はどうなのか。

■直参13人を除籍、破門、絶縁

 山若頭の豪腕ぶりが発揮された事件として知られるのは、2008年に起きた後藤組・後藤忠政組長への除籍処分と、それに異を唱えた直参13人を破門、絶縁に追い込んだ「大量処分事件」だろう。

 後藤組長は5代目山口組の若頭補佐も務めた人物。大物経済ヤクザとして知らぬ者がなかった。それでも山若頭は、「病気を理由に会合を欠席しておきながら有名人を呼んで派手な誕生祝いのパーティーを開いた」ことが綱紀に反するとして除籍処分とした。

 後藤組長が大物ということもあって、処分理由には首をひねる者も多かった。納得しない後藤組長が反旗を翻すとの臆測も流れ、一時緊張が高まったのも事実だ。事情通が明かす。

「山若頭の非情さが内外に知れ渡った事件でしたが、最終的に使者の説得に応じた後藤組長は山若頭と極秘会談して円満退社しています。この時、山若頭は司6代目政権誕生に貢献した後藤組長の非をとがめず、組織内の結束の乱れを正すためのやむをえないリストラであることを諄々と説いたそうです。後藤組長も山若頭の礼を尽くした説得に応じて結果的にみずからの腹心2人がそれぞれ後藤組の地盤を継ぐことで折り合った。山口組の分裂後、処分に不満をもつ後藤元組長が神戸山口組に資金を提供するのではないかとの臆測も流れましたが、後藤元組長はむしろ山若頭の信奉者の一人ですよ」

 世代交代による組織の活性化という大義名分こそあれ、綱紀粛清のターゲットとなった相手からも信奉される山若頭の凄みがうかがわれる逸話だろう。

 意外な温情を示すエピソードはほかにもある。

 山若頭のボディーガードは24時間、親分と行動を共にし、事が起こればその盾になるのが役目だ。当然、プライベートの時間はもてない。

「昨年10月まで山若頭が服役している間、出番がなくなったボディーガードが私生活を満喫できるよう、手厚く生活保障を受けられる態勢を用意していたそうです。それは、若頭付と呼ばれる直参も同じです。山若頭が三宮のクラブで飲食している間、店の入り口を固めるため寒風にさらされて何時間も立ち続ける姿がちょくちょく目撃されていましたが、その忠誠ぶりを買われて現在、その直参は執行部の要職に引き上げられています」(前出の事情通)

 強権だけで人を従えるなら恐怖政治と変わるところはない。功績に報いる温情あっての統率力なのだろう。=つづく

(山田英生/ライター・編集者)

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