日本と対照的 天津港停泊クルーズ船24時間以内に全員下船

日本と対照的 天津港停泊クルーズ船24時間以内に全員下船

病院内でも「マニュアル化」が徹底(SNSから)

【新型コロナパニック たくましい中国人】#3

 世界を震撼させたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」と同じことが中国でも起きていた。

 1月25日、天津港に入港しようとしていた「コスタ・クルーズ」(ダイヤモンド・プリンセスと同じ世界最大のクルーズ客船運航会社カーニバル・コーポレーション傘下)には、3706人の乗客と1100人のクルーが乗船していた。ダイヤモンド・プリンセスよりも1000人多い規模である。

 だが、わずか24時間足らずで4806人の検疫を済ませ、下船させることに成功したのだ。武漢出身者は隔離措置を取られたものの、それ以外は帰路に就かせたという。横浜港に入港したプリンセス・クルーズ内で新型コロナウイルスの感染者が日に日に激増したのとは対照的だ。

■コロナ対応「経験値」の強み

 中国の国営通信・新華社の報道からは、2つの大きなポイントが読み取れる。1つが「新型コロナウイルスの治療マニュアル」だ。新型肺炎の治療方法や臨床経験を分析し、国家衛生健康委員会が1月16日に公布したもので、その後、更新が繰り返され、現在は第5版に至っている。天津港でも、これをもとに緊急対応を可能にした。

 もう1つは、対応に当たって、専門家や医療スタッフ、検疫スタッフによる「応急処置グループ」が編成されたこと。中国ではこうした横断的なグループを編成し、問題解決に当たることが少なくない。今回、天津港での作業も二十余人から成る「応急処置グループ」が船に乗り込み、発熱があるという17人のウイルス検査に当たった。シナリオとして「下船させる」と「隔離し観察する」の2つを想定していたが、天津港では前者を選択した。

 一方、いつもなら「中国はすごい」と愛国ネット民が記事を拡散させるが、今回は意外にもおとなしい。スピード対応のひずみが出たか。あるいは、日中友好ムードに水は差せないという日本への配慮なのか。

 それにしても、初動でこそ問題が指摘された中国だったが、その後、着々と経験値を積み増している。公衆衛生分野でも世界に君臨か。 (つづく)

(姫田小夏/ジャーナリスト)

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