マスク不足の陰に原料不足と中国政府 使い捨て7割が中国製

マスク不足の陰に原料不足と中国政府 使い捨て7割が中国製

マスク売り場はカラッポ(C)日刊ゲンダイ

【新型コロナパニック たくましい中国人】#4

 中国は世界需要の半分を担うマスク生産大国でもある。

「日本では、使い捨てマスク素材である不織布の多くを、中国からの輸入に依存しています。原反(ロール)での取り寄せがほとんどです」

 こう語るのは、日本の某マスクメーカー幹部だ。国内で流通する使い捨てマスクは7割が中国製で、残りの一部が日本での一貫生産だという。

 中国では1月末の春節前に新型コロナウイルスの蔓延によって「マスク不足パニック」に陥った。その反動で春節が明けると、自動車メーカーの「BYD」、電子部品企業の「フォックスコン」、スマホメーカーの「OPPO」など3000社を超える企業がマスクの生産事業に参入し、こぞって生産設備を投入した。商機を逃さない中国人のパワーを感じさせる。

 ところが工場が完成しても原料がない。参入ラッシュの急拡大で、マスクの原料となる「ポリプロピレンのメルトブローン布」の供給が細ってしまったのである。

 使い捨てマスクはたいていが3層構造で、外側と中間に不織布が使われている。2018年の世界の不織布総生産量1565万トンのうち、中国は約38%にあたる593万トンを生産した。「ポリプロピレンのメルトブローン布」は使い捨てマスクに1グラム、N95の防塵マスクで4グラムが使われ、いわばマスクの核心部分だが、早晩不足が発生するとささやかれていた。

■不織布高騰、税関は「輸出できない」と通知

 加えてこの需要増で、トン当たり2万元(約29万5000円)弱だった価格は、20万〜40万元と10〜20倍にも暴騰してしまった。現地では、仮に不織布メーカーと契約できても、入荷は数カ月待ちとも報じられている。こうした原料不足で、中国ではマスク生産を停止する工場さえ出てきている。

 日本にマスクが入ってこないという声が中国にも届いたのか、中国商務部は「マスクは自由貿易品、政府は輸出を制限していない」とコメントを出した。しかし、ある貿易商は「日本に輸出しようとしたら、税関から『輸出できない』という通知をもらった」と話す。こんな状態だから、いくら日本政府が頑張ってもマスク不足は一向に解消しないわけだ。

 もはやマスクは一国の生命線。一枚たりとも外には出さない、そんな中国政府のガッチリぶりがうかがえる。 (つづく)

(姫田小夏/ジャーナリスト)

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