「中国は安全」で帰国ラッシュ 4.4の清明節が次のピークか

「中国は安全」で帰国ラッシュ 4.4の清明節が次のピークか

ミラノから逃げる中国人(SNSから)

【新型コロナパニック たくましい中国人】#6

 新型コロナウイルスの感染から避難しようと、イタリア在住の中国人たちが帰国の途についている。

 イタリアは現在、新型肺炎の感染者数で中国に次ぐワースト2だ。最初に爆発的感染が起こったのは2月21〜22日にかけてのこと。直後、イタリア北部のロンバルディア州の一部の地区が封鎖されたが、ベルガモ県のように封鎖措置がかからなかった地区もあった。ベルガモ県には多くの中国人が居住し、そのうちの一部が間髪入れずしてイタリアを脱出した。飲食店従業員の王さん(男性・31歳)とその親族7人も、故郷である浙江省麗水市青田県に戻ってきた。

 少し前までは、中国共産党支配に嫌気が差して海外に出て行った中国人も多かったが、今や彼らにとって「中国は世界一安全な国」なのである。ベルギー在住の中国人貿易商は「欧州在住の中国人は新型肺炎騒動で、一刀両断の政策を実施できる祖国を見直し、それに従う忍耐強い国民を見直した」と語っている。

 ところが、青田県に到着後、この王さん一行8人が新型肺炎に感染していたことが判明する。イタリアの華僑は青田県の出身者が多いのが特徴で、実に10万人が在住しているという。青田県には、続々とイタリアからの帰国者が到着しているといわれているが、仮に数万人規模でイタリアから中国に逃避すれば、中国で感染の「逆輸入リスク」が一気に高まる。

 一方で、この時期、在外の中国人にとってもうひとつの帰国理由があった。「清明節」である。清明節とは墓参りを目的とする先祖供養のことで、在外の華僑は春節か清明節かのどちらかを選んで里帰りをするという。今年は4月4日が清明節に当たる。

 海外に散らばる華僑は2012年時点で5000万人ともいわれ、そのうちフランスに70万人、英国に46万人、イタリアに32万人が居住するといわれている。これらの中には「ウイルス感染回避」と「清明節」を動機に、中国帰国を目指す人もいるはずだ。

 新型コロナウイルスは当初、1月25日からの春節と重なって拡散した。せっかく新たな感染者数が減少に転じたものの、今度は清明節を前後してまた数が増えるのではないかと、中国の地方政府は緊張感を高めている。中華民族の大移動の影響力は軽視できない。 =つづく

(姫田小夏/ジャーナリスト)

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