ふるさと納税全国初の贈収賄 人口3000人高知県奈半利町エース課長補佐の裏切り

ふるさと納税全国初の贈収賄 人口3000人高知県奈半利町エース課長補佐の裏切り

ふるさと納税の立役者が…(柏木雄太容疑者)/(C)共同通信社

人口約3000人の町の一職員が「ふるさと納税制度」を悪用し、やりたい放題していた。

 高知県奈半利町のふるさと納税を巡る事件で同県警捜査2課などは13日、地方創生課長の森岡克博(45)、同課長補佐の柏木雄太(41)、水産加工会社「通成水産」社長の松村通成(30)の3容疑者を贈収賄容疑で再逮捕した。ふるさと納税制度絡みの贈収賄事件の立件は全国初。県警は別件で3人を逮捕し、金銭のやりとりを調べていた。

 ふるさと納税の中心的役割を担っていた柏木容疑者は2015〜19年ごろ、返礼品を紹介するポータルサイト「ふるさとチョイス」を操作し、通成水産と松村容疑者の親族が経営する水産加工会社の商品を目立つよう、長期間サイトの上位に掲載。また一部の商品のみを特定の時間にタイムセールに出した。

 その見返りとして、柏木容疑者の実父が、2社からキンメダイなど返礼品の梱包業務を1個当たり500円で請け負い、計約1300万円を受け取っていた。梱包の一般的な相場は1個20円だから、25倍にあたる。柏木容疑者は18年ごろにも、松村容疑者に指示し、上司である森岡容疑者の長男の銀行口座に梱包名目で計179万円を振り込ませた。

「松村はアーモンドと小魚をパック詰めした新たな返礼品をつくり、その製造を森岡の長男が請け負ったように偽装した。実際は加工から発送まですべて高知市内の業者に頼み、金を振り込ませた口座も長男に内緒で開設したものだった。森岡は当時、ふるさと納税には関与してなかったが、柏木に寄付金の一部を自分にも回すよう持ちかけ、昨年4月には、柏木と同じ地方創生課長に異動した」(捜査事情通)

 ふるさと納税制度が始まった08年度当時、室戸岬の西隣に位置する奈半利町の寄付額は40万円足らずだった。それが制度導入時から納税行政に携わった柏木容疑者のアイデアで15年度は四国ナンバーワン、17年度には39億1000万円を集め、全国の市町村で9位に躍り出た。寄付額が増えるにつれ、返礼品の種類や財源が拡大し、ここ5年の間、通成水産には返礼品調達代として総額22億円が支払われ、「返礼品の発注が同社に集中している」との情報が県警に寄せられていた。

■築地で高級食材を仕入れて銀座で豪遊

「柏木は地元の新鮮な海産物と農産物を組み合わせ、寄付金を増やしたものの限界があり、目をつけたのが松村の親族が持つ東京・築地の仕入れルートだった。月1回ほどのペースで上京し、カニやホタテなどの高級食材を仕入れ、築地の料理屋や銀座の老舗キャバレー『白いばら』で松村から接待を受けていた。確かに仕事はできるし、幹部からは『町の未来を担うエース』と評価されていたが、実績を鼻にかけるところもあった。羽振りがよく、業者らと飲み歩く姿が頻繁に目撃されるなど、狭い町なので『キックバックをもらっているのではないか』と噂されていた」(地元関係者)

 納税者だけでなく、地元の特産品を全国に売り出すため、ともに努力を重ねてきた住民まで裏切った。

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