新型コロナ「オーバーシュート」懸念表明も…専門家会議の無策無力

【新型コロナウイルス】政府の専門家会議「オーバーシュート」懸念表明も具体策示さず

記事まとめ

  • 政府の新型コロナウイルス対策の専門家会議が19日に開かれ、新たな言葉が飛び出した
  • 「オーバーシュートを伴う大規模流行につながりかねない」という提言をまとめた
  • それが起きると、「ロックダウン」と呼ばれる強硬な措置を取らざるを得なくなるという

新型コロナ「オーバーシュート」懸念表明も…専門家会議の無策無力

新型コロナ「オーバーシュート」懸念表明も…専門家会議の無策無力

チグハグな対応(C)共同通信社

クラスターの次は「オーバーシュート」――。新型コロナウイルス対策で、また新たな言葉が飛び出した。

 19日に開かれた政府の新型コロナ対策の専門家会議が「今後、感染源が分からない患者が継続的に増加し全国に拡大すれば、どこかの地域を発端として爆発的な感染拡大(オーバーシュート)を伴う大規模流行につながりかねない」という提言をまとめた。

 国内の感染状況は「持ちこたえている」としながらも、感染源が分からないケースや、クラスター(感染集団)へのリンク(感染源)が追えないケースが都市部で増えているという。もしオーバーシュートが起きると、数週間にわたって都市を閉鎖したりする「ロックダウン」と呼ばれる強硬な措置を取らざるを得なくなるという。

 専門家会議の提言を受け、安倍首相は20日の新型コロナ対策本部の会合で、全国規模のイベントについては、引き続き慎重な対応を続けるよう要請。一方で、全国の一斉休校は新学期から段階的に解除する方針だ。学校再開のガイドラインを取りまとめるよう文科省に指示した。

「結局、オーバーシュートという新たな概念を持ち出して『気がついたときには制御できなくなってしまう』などと不安をあおっただけで、何の具体策も示されていない。イベントは自粛、学校は再開という対応もチグハグで、国民は混乱します。『瀬戸際』と位置づけた1、2週間が過ぎ、さらに10日経っても具体的な対策を打ち出せず、オーバーシュートを恐れているだけでは、何のための専門家会議なのでしょうか」(山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏=感染症学) 

■東京でオーバーシュートが起きたら…

 オーバーシュートは大都市圏で最初に起こる可能性が高い。大阪府は3連休初日のきのうから、大阪府と兵庫県の往来自粛を要請。きょうから順次再開予定だった府主催のイベントなどについて、自粛期間を4月3日まで延期することを決めた。

 もっとも、専門家会議は「大阪と兵庫の往来を止めて、どのくらいの効果があるのかといった評価もしていないし、議論もしていない」という。

 吉村大阪府知事の説明によれば、往来自粛は厚労省からの提案だ。「最悪の場合、3月20日からの27日までの間で大阪と兵庫で新たに586人が感染。さらに28日から4月3日までの間に3374人が感染し、累計で266人が重症になる」という試算が同省から示されたのである。

 人口が集中する東京でオーバーシュートが起きれば、3374人を上回る規模になるのは確実だが、往来自粛などの要請はない。

「厚労省は当然、東京都の試算も出しているでしょう。都は五輪への影響を考えて公表していないのだと思います。厚労省が専門家会議を信用していないから、独自の試算を出して警告したということでしょうが、これでは指揮系統が2つあるようなもの。情報の一元化が行われないと、感染症対策に失敗してしまいます」(中原英臣氏)

 東京でオーバーシュートが起こるのは時間の問題かもしれない。


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