NYは得体の知れない危機感にのみ込まれゴーストタウン化

NYは得体の知れない危機感にのみ込まれゴーストタウン化

平日朝なのに地下鉄は空っぽ(提供写真)

【現地発 新型コロナ全米パニック】#1

 まさかここまで大事になるとは誰も想像していなかった。今アメリカ中が見えない敵・新型コロナウイルスに戦々恐々としている。全米の感染者数は2万9000人を超え(22日現在)50州で非常事態宣言がなされたが、全米感染者数の半数以上を占め、ダントツのニューヨーク州の危機感は、他州とは比較にならない。

 さらにいえば、州内感染者数のほとんどを占めるニューヨーク市のパニックぶりは、いよいよ異常だ。30年以上この街に住んでいるが、2001年同時多発テロとは別の次元で、得体の知れない危機感に街全体がのみ込まれている。

 こうなると、感染を食い止めるために州と市が日々刻々、社会閉鎖の度合いを高める行政命令を連発する。20日、とうとう州から「全員自宅勤務」命令がおりた。

 実際、みんな自宅にいるのだろう。歩道を人が歩いていない。普段なら人とぶつからずには歩けないタイムズスクエアが、今は物好きがうろうろしているだけで、文字通りのゴーストタウンだ。沿道の店という店が閉まり、歩行者天国には誰もいない。18日にはまだ路上に並んでいた椅子やテーブルも、20日には一掃されていた。

 地下鉄も、平日朝のラッシュアワーだというのに空っぽ。1番線34丁目駅のプラットホームは無人駅のごとし。電車に乗ると1車両に客が3人だけだった。いつもの芋洗い状態よりマシだが、ふと自分がアジア系であることに気づき、「やべ。今ここでアジア系差別の嫌がらせを受けても、誰も助けてくれないかも」と思うと、ちょっとゾッとした。

 ニューヨーク市内で最初の感染者が確認されたのは3月1日だ。たかだか3週間弱でここまで事態が悪化するか。「自宅勤務」という単語が飛び交うようになったのが9日あたり。それでも13日くらいまでは、面の皮が厚いニューヨーカーのこと、「人が少なくていいわあ」と悪態をついていたものだ。

 街の空気が変わったのは、14、15日の週末。ビル・デブラシオ市長が公立学校の閉鎖を決定すると、そこから一気に社会も閉鎖の一途。州内のレストラン、バーでの店内飲食禁止(配達とテークアウトのみ)、劇場、スポーツジム、ついには美容院やネイルサロンの閉鎖へと、行政による閉鎖政策がどんどん広がっている。

(NY在住ジャーナリスト・佐々木香奈)

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