「テロリスト」のイメージだったマスクがアメリカで市民権を獲得

「テロリスト」のイメージだったマスクがアメリカで市民権を獲得

風邪をひいてもマスクをする習慣はなかったが(提供写真)

【現地発 新型コロナ全米パニック】#2

 アメリカの感染者数は22日夜8時現在で3万2000人を超え、世界3位となった。つい2日前までは1万6000人強だったものだ。2日で倍増したわけだ。検査数が増えた結果とはいえ、尋常にあらず。しつこく言うがトップはニューヨーク州で、全米の半数以上の感染者数だ。

 アンドリュー・クオモNY州知事によると、最終的に州民の40〜80%が感染するだろうという。かなり大ざっぱな数字だが、仮に80%として、残りの感染しない20%に自分が入れるだろうかと思うと不安になる。

 この前代未聞の事態にあって、アメリカで市民権を得たものがひとつある。マスクだ。この国では、病院や工事現場で働く人は別として、風邪をひいても一般人がマスクをする習慣はない。特にニューヨーク市では、マスクで顔を隠す=テロリストみたいなイメージがある。しかし今、そのニューヨーク市で普通にマスク着用者を見かけるようになった。

 市内で感染者が出始めた3月初頭、薬局でのマスク買い占めが始まった。今やマスク不足で大変。行政が早々に、「元気な人はマスクを買うな。本当に必要な医療従事者や、発症した人の分がなくなる」と国民に呼びかけたので、日本のようなマスク神話が定着せずに済んだが、それでもニューヨークの街でまだちらほら見かける。ラッパーみたいな黒人のにいちゃんがマスクをして地下鉄に乗っていたりする。

■アジア系には差別も

 マスクを巡ってのアジア系差別も起こった。このウイルスは中国が元凶とあって、今我々日本人を含めアジア系はちょっと肩身が狭い。3月初頭、ニューヨーク市内で、アジア系住民が「マスクをしている」と黒人からイチャモンをつけられた。かと思うと、マスクをしなければしないで、今度は「アジア人はマスクをしろ」と暴力を受ける始末。どこの国にもバカはいる。

 一方で、さすがボランティアの国アメリカと思わせるマスク絡みの話も。ファッションデザイナーのクリスチャン・シリアーノが、クオモ知事にツイッターで「自宅勤務しているうちの縫い子たちが総動員でマスク作るよ」とボランティア志願。シリアーノは、テレビのリアリティー番組「プロジェクト・ランウエー」で一躍人気になったデザイナーだ。これを機に、クオモ知事はファッション業界に協力を求め、「一緒に乗り切ろう」ムードを高めている。(つづく)

(NY在住ジャーナリスト・佐々木香奈)

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