医療崩壊目前「コミコン」開催の見本市会場が“野戦病院”に

医療崩壊目前「コミコン」開催の見本市会場が“野戦病院”に

臨時病院となる見本市会場で会見するクオモNY州知事(C)ロイター

【現地発 新型コロナ全米パニック】#3

「ニューヨーク市は全米コロナウイルスのエピセンター(震源地)となった」と、22日ビル・デブラシオNY市長が記者会見でヒステリックに言い放った。感染者数全米トップのニューヨーク州で、6割が市の感染者なので、エピセンターという言い方は残念ながら正しい。

 これだけ集中すると、医療分野がマヒを起こすので、行政は対応に追われている。まず足りない病院施設を補うために、ニューヨーク市とその郊外4カ所で、臨時病院が開設される。市内ではマンハッタンのミッドタウンにあるジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターに白羽の矢。巨大な見本市会場が1000床完備の病院に変身する。いつもは「コミコン」などが開かれ、コスプレのアニメファンでごった返す場所が、戦時中にたとえるなら野戦病院となるわけだ。郊外では州立大学施設が選ばれている。こうすることで、現在あるICU3000床を、1万8000〜3万7000床にまで増やそうという計画だ。

 アメリカではこういう時、陸軍が出動する。中東で戦争するだけが米軍じゃない。国内危機こそ本領発揮の時だ。きっとすごい勢いで、巨大見本市会場や大学施設を巨大病院に変身させるはず。

■医療従事者も足りない

 実際さっさとやらないと、すでに市内の病院はキャパを超えている。マンハッタンにワイル・コーネル病院というのがあるが、そこもコロナウイルスの患者であふれ返り、眼科医師までがその治療現場に駆り出されているとは、ある病院筋からの裏情報。

 もうひとつ足りないのが医療従事者だ。ニューヨーク州・市はすでに引退した医師・看護師と、看護学校に「来れ、支援に」と呼びかけ、23日現在すでに3万人が返答、ボランティア志願しているという。この辺はアメリカらしい良さだ。

 そしていうまでもなく医療用具の不足。マスクや医療用手袋、ハンドサニタイザー(手の消毒液)が全米で不足しているため、州の間で取り合いが起こっているというから呆れる。アンドリュー・クオモNY州知事は、「あろうことか販売業者が、カリフォルニアはマスク1個に5ドル払うぞと吹っかけてくる。じゃあ6ドル払えと言うのか。今こんなことをしてる場合じゃないだろう」と怒り心頭。

 さすがアメリカという側面があるかと思うと、危機に乗じたセコい商売が行政相手にはびこる。まさに今、混乱期の真っただ中なり。(つづく)

(NY在住ジャーナリスト・佐々木香奈)

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