同僚OBが述懐する 東海村で開いた不自然な動燃の送別会【消えた核科学者 警察庁拉致関係リストの真実】

同僚OBが述懐する 東海村で開いた不自然な動燃の送別会【消えた核科学者 警察庁拉致関係リストの真実】

旧動燃がある東海村は、のどかな風景が広がる(撮影:友永翔大)

プルトニウム製造係長 竹村達也さん

【消えた核科学者 警察庁拉致関係リストの真実】#18

 プルトニウム製造係長 竹村達也さん

  ◇  ◇  ◇

 竹村達也は自ら失踪した――。動燃技術部にいたOBは、そう証言した。蔵書を古書店に売っていたこと、放置したと思われていた愛車のカローラも、実は他の職場仲間とカーシェアリングしていたことを根拠に挙げた。

 ただ、同じ技術部でも課が違ったため深い付き合いはなく、なぜ失踪したかまでは分からなかった。

 私は竹村と同じ技術部検査課のOBの自宅を探すため、動燃関係者らを回って調べた。検査課のOBは仙台市内にいた。

 そのOBは突然の訪問をいぶかったが、私が竹村の名前を挙げて失踪したことを告げると、自宅のインターホン越しに取材に応じた。

「退職されたことは知ってますけど、失踪したことは知りません。竹村さんは私より先輩で34、35歳だったかなあ。私とはあまり親しくなかったですから。もともと竹村さんは別の部署にいて検査課に来られましてね。1、2年一緒なだけでしたから」

 ――警察が「北朝鮮に拉致されたかもしれない」と疑い、動燃に調べに来たという話もある。

「いや、いや、存じません。警察沙汰になったことも知りません。今初めて聞いたなあ〜、警察がどうのこうのって。失踪したこと自体知らないんだから」

 ――退職するというのは、竹村さんから聞いたのか。

「いや、いや、同じ課だったから送別会やったんですよ。突如として辞めたんじゃなくて、きちんと送別会をやりましたよ。辞める人の送別会は必ずやってましたから」

 ――本人は何を話していたのか、送別会は居酒屋でやったのか。

「竹村さんはあまりモノを言う人ではなかったから、何を話したかは覚えていませんし、どんな店でやったかも覚えていません。でも東海村で送別会をやりましたね」

■転職先の話は出ず

 ――転職したという話が動燃のOBたちから出ている。

「いや、そんな話はなかったです」

 私には不自然に思えた。普通、退職の送別会では転職先が決まっていたら本人が言うのではないか。

 一体どうなっているのだろう? 東京に戻る新幹線の中で考えている時、あることを思い出した。竹村がプルトニウム燃料部にいた時の同僚の話だ。

「動燃の人事部が期末手当の未払い分を竹村に支払おうと転職先に電話したら、『そんな人は来ていません』と言われた」

 これは転職をめぐる話が、竹村の拉致疑惑のキーではないか。私は北朝鮮による拉致事件で、転職が絡むケースがないか調べることにした。 =敬称略・つづく

(渡辺周/「ワセダクロニクル」編集長)

■旧動燃の科学者だった竹村達也さんの失踪事件について、独自取材で迫ります。竹村さんについてご存じの方は、ワセダクロニクル(contact@wijp.org)か日刊ゲンダイ(rachi@nk-gendai.co.jp)まで情報をお寄せください。

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