連携が疑われる警察 黒塗りばかりで「公開」されたマル秘文書【消えた核科学者 警察庁拉致関係リストの真実】

連携が疑われる警察 黒塗りばかりで「公開」されたマル秘文書【消えた核科学者 警察庁拉致関係リストの真実】

「連携」が疑われる警察(“マル秘”無期限と、記載されている文書=撮影:友永翔大)

【消えた核科学者 警察庁拉致関係リストの真実】#24

 プルトニウム製造係長 竹村達也さん

  ◇  ◇  ◇

 竹村達也の失踪後、北朝鮮による拉致を疑ったのは茨城県警勝田署の刑事だった。だが、勝田署の後身であるひたちなか西署では署長を、県警本部ではスパイ事件を扱う外事課長を務めた人物は、竹村の失踪事件を知らなかった。

 警察は本気で捜査しているのだろうか?

 ここに、警察庁の警備局外事情報部外事課長が、警視庁の公安部長と都道府県警の本部長に出した通達がある。私が警察庁への情報公開請求で入手した。

 日付は2017年1月16日。タイトルは「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案に対する捜査・調査の徹底について」。文書には「秘」(無期限)との記載もある。

 通達はまず次のように書く。

「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案の捜査・調査については、平成21(2009)年秋以降、改めて取組が強化され、これまでに北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案に係る行方不明者の多くを国内で発見し、拉致の可能性を排除するなどの成果がみられたが、一方で、いまだ失踪理由等が判明しない事案が多数存在している」

 そして「下記事項に留意の上、引き続き、捜査・調査の徹底を図られたい」と呼びかけ、3つの事項を記している。

 1つ目は「捜査・調査推進上の留意点」。

 その中でさらに「関連情報の収集強化と分析・検証の徹底」「各種照会の励行と指導・教養の徹底」など4つの項目に分かれている。だがほとんどが黒塗り。そうでない部分は4項目目の「家族等への適切な対応」だけだ。

「行方不明者の家族等に対しては、捜査・調査により判明した事項や進捗状況等について、捜査に支障を及ぼさない範囲で適宜説明するなど、家族等の心情に配意した適切な対応に努めること」

 2つ目は「警察本部による業務管理の徹底と計画的な取組の推進」。ここは全て黒塗りだ。

 3つ目は「関係機関、関係都道府県警等との連携」。

「海上保安庁等、関係機関との連携を強化するとともに、警察庁及び関係都道府県警察相互の連携を密にすること」

■「連携」が疑われる警察

 開示請求に対して出てきた通達は黒塗りが多く、「公開」と呼べるようなものではない。警察が竹村ら拉致の可能性を排除できない人たちの捜査をどのように進めているのか、これではよく分からない。

 しかし、少なくとも通達では「都道府県警間の連絡を密に」と書いてある。それにもかかわらず、茨城県警で外事課長まで務めた人物が竹村の失踪事件があったことすら知らなかった。失踪届が出た大阪府警と連携していないのだろう。

 警察が本気で捜査しているとは思えない。  =敬称略、つづく

(渡辺周/「ワセダクロニクル」編集長)

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