マスコミ批判は苛烈も…言葉だけ躍る首相就任後の安倍晋三【消えた核科学者 警察庁拉致関係リストの真実】

マスコミ批判は苛烈も…言葉だけ躍る首相就任後の安倍晋三【消えた核科学者 警察庁拉致関係リストの真実】

党本部に看板は掲げても…(撮影:友永翔大)

【消えた核科学者 警察庁拉致関係リストの真実】#30

 プルトニウム製造係長 竹村達也さん

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 1972(昭和47)年、茨城県東海村の動燃(現・日本原子力研究開発機構)で働く科学者・竹村達也が失踪した。大阪大学工学部を卒業し、米アルゴンヌ国立研究所にも留学、帰国後はプルトニウム製造係長も務めていたエリートだ。その後、竹村の名前は警察庁の拉致関連リストに登場する。

 竹村達也の名前が、公開捜査のために警察庁のホームページにアップされたのは2013年である。安倍晋三が首相になって拉致問題の解決を最重要政策に掲げたからだ。

 安倍は政治家になってから、拉致問題に力を入れてきた。初当選から4年後の1997年には衆議院外務委員会で、政府やマスコミの拉致問題への取り組みが不十分だと批判している。

「拉致疑惑については、もう既に随分前から世の中ではそういううわさはありました。また、私の父の支援者のお嬢さん、有本恵子さんという方も実は拉致をされているわけであります。そのことは早く知っていたわけでございますが、残念ながら、今までマスコミもこのことは取り上げてこなかったというのも事実でございますし、また政府全体としても正面から取り上げてこなかったのもそれは事実であると私は思います」

 マスコミに対しては「北朝鮮の宦官」とまで言う。

「特に私は、マスコミの態度は大きな問題であったと思います。例えば、5月10日の毎日新聞で記者が北朝鮮の参事官に対して質問をしているわけであります。その質問は、食糧不足の現状とか、各国の反応はどうなんだと、日本の態度は慎重だけれども、それに対して怒りはないか、まさにごまをするというか、北朝鮮の宦官のごとくごまをする態度に終始一貫をして、我が国の問題については全く質問をしないという態度に終始一貫してきた」

 小泉内閣で官房長官だった2006年には、「拉致の可能性を排除できない事案」を捜査することの重要性をこう述べている。衆議院の「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」でのことだ。

「拉致の可能性を排除できない事案があることから、関係省庁、関係機関が緊密に連携を図りつつ、国内外から情報収集や関連する捜査、調査を強力に推進し、事実の解明に向け全力で取り組んでいる」

「事実、2002年9月17日に訪朝した際にも、我々は曽我ひとみさん親子については全く承知をしていなかったわけでありますが、これはまさに先方から出してきたわけでございます。そういう意味においては、認定している人がすべてではないという認識はしっかり持っているわけであります」

 首相になった安倍に、核科学者である竹村の失踪事件についての情報は届いているだろうか。拉致問題に取り組んできたある政治家は、嘆く。

「安倍さんは言葉は勇ましいが、首相になってから拉致問題がなかなか進まない」 =敬称略、つづく

(渡辺周/「ワセダクロニクル」編集長)

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