文科省は業界内の身内を集めた有識者会議で大甘基準を決定【コロナ禍が生む「嫌日外国人」】

文科省は業界内の身内を集めた有識者会議で大甘基準を決定【コロナ禍が生む「嫌日外国人」】

故・相沢英之氏が大量の「所在不明」を出した東京福祉大学の学長だった(C)共同通信社

【コロナ禍が生む「嫌日外国人」】#13

 コロナ禍の陰で、日本語学校の留学生たちは人権侵害の犠牲になり続けている。寮費のボッタクリや系列の専門学校へ進学強要、母国への強制送還……。そんな被害を受けても、彼らは声を上げられない。留学生のアルバイトとして許される「週28時間」を超える違法就労への後ろめたさからだ。

 しかし、違法就労は留学生たちだけの罪とは言えない。借金漬けで来日し、母国から仕送りもない彼らが留学生活を続けるためには、違法就労しか選択肢はない。そして日本側は彼らを“底辺労働者”として都合よく利用する。その結果、日本に来て日本が嫌いになる外国人が大量に生まれていく。この醜悪な現状に対し、行政は知らん顔を決め込んでいる。その理由は簡単だ。

 この問題の元凶である「留学生30万人計画」は、安倍政権が「成長戦略」に掲げる肝いりの政策だ。その否定につながる対応を関係省庁が打ち出せるはずもない。つまり、官僚は“忖度”して従うしかないのである。

■業界内の身内を集めて構成

 本欄で前回取り上げた法務省による日本語学校の運営“厳格化”政策もそうだ。昨年8月に発表された同対策は、卒業生に一定レベルの日本語能力を身につけさせるよう日本語学校に求めている。だが、基準となる「CEFRのA2」という語学レベルは、通常1年半から2年にわたり日本語学校に在籍する留学生に課すものとしてはあまりに低い。

 ごく簡単な日常会話レベルに過ぎないのだ。

 この基準を決めたのは、文部科学省の有識者会議である。その5人のメンバーは、日本語学校経営者が2人、日本語教育を専門とする大学名誉教授が2人、残りの1人が文科省傘下の独立行政法人「日本学生支援機構」(JASSO)幹部という構成だった。学校経営者はもちろん、日本語教育の専門家にしろJASSOにしろ、皆が日本語学校業界の身内である。つまり、文科省が「30万人計画」の正当性を主張するため、身内で固めた「有識者会議」を開き、自らに都合のよい基準をつくったわけだ。

 さらにいえば、教育業界は自民党と太いパイプを築いている。たとえば、大量の「所在不明」留学生を出して昨年問題となった東京福祉大学では、麻生派の重鎮で経企庁長官などを務めた故・相沢英之氏が、政界引退後に学長を務めていた。こうした業界と政治家の関係もあって、官僚は余計に“忖度”を強いられる。

 結果、悪質な学校がはびこり、留学生が食い物にされ続ける。その実態は、コロナ禍のさなかでも何も変わっていない。(つづく)

(出井康博/ジャーナリスト)

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