赤木雅子さんが独白「誰も夫のように追い詰められませんように」【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記】

赤木雅子さんが独白「誰も夫のように追い詰められませんように」【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記】

夫の形見のベルトを着けて出廷(撮影・相澤冬樹)

【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記】#5

 夫が命を絶って2年と8カ月。ふっと気配を感じる時がある。夢で夫が肩をポンと触ってくれた。あれは「裁判頑張って」というつもりだろう。左肩が、夫の触れた感触をまだ覚えている。

 森友公文書改ざんで、財務省近畿財務局の職員だった夫、赤木俊夫が命を絶った。妻の私、赤木雅子は真実を求め、2つの裁判を起こした。1つは国などに対する損害賠償訴訟。2つ目は夫の情報をなかなか開示しない近畿財務局に対する個人情報開示訴訟。5日はこの訴訟の弁論だった。

 25年前、結婚式で仲人をしてくれた夫の上司は「新郎は『信ずるところ臆せず行動する』という点において誠に青年らしく頼もしい限りでありますが、そこが一つ心配な点でもあります」と紹介してくれた。夫はそういう気概があったから改ざんに抵抗し「手記」を残して命を絶ったんだろう。次は私が裁判で「信ずるところ臆せず行動する」しかない。


職員に真実を話させない財務省の罪深さ

 5日の弁論で国は相変わらず、書類が多すぎて開示手続きが間に合わないと、およそ納得できない理由を繰り広げた。弁論が終わり法廷を出る際、私は国の代理人たちに声をかけた。

「きょうはありがとうございました」

 すると相手も「ありがとうございました」と返してくれた。少し人間らしいやりとりができた。国側の人々も好きこのんでゼロ回答を繰り返しているわけではないだろう。彼らが何も言わないのは、何も言わせてもらえない。「何も言ってはならない」と言われているからだろう。組織に、財務省に、近畿財務局に。

 夫の上司だった池田靖さん。森友学園への国有地値引きも経緯を記した公文書の改ざんも、どちらにも深く関与していた。そして改ざんを指示した佐川宣寿さん(元財務省理財局長)。私は彼ら個人を責めたいわけではない。夫はなぜ命を絶ったのか、真実が知りたいだけ。真実を知っている人に本当のことを話してほしいだけだ。誰も夫のように追い詰められませんように。それを祈っている。

 でも、その朝私の心を騒がせたのは別のこと。裁判で何か形見を身に着けようと夫のベルトを締めたら……サイズがピッタリだった。これは少し、いや、かなりショックだったけど、夫が守ってくれていると前向きに考えることにしよう。

(相澤冬樹/大阪日々新聞・元NHK記者)

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