「レース浴衣」SNSで脚光、夏の新トレンドに コロナ禍も追い風...関連会社に聞く人気の理由

「レース浴衣」SNSで脚光、夏の新トレンドに コロナ禍も追い風...関連会社に聞く人気の理由

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花火大会や夏祭りで活躍するカジュアルな着物「浴衣」。訪日外国人が浅草や京都などの観光地で体験している様子も多くみられた。花などをあしらったレトロな柄が人気を博してきたが、昨今はそのトレンドに変化が生じているようだ。この夏、若い女性の間では「レース浴衣」への注目が高まっているのだ。

その名の通りレース素材で作られたもので、生地が重ならない裾の方がほんのり透け、涼しい印象を与える。洋風な小物との相性も良く、SNS上には「レース浴衣」コーデの投稿が広がっている。

J-CASTニュースは、レース浴衣を制作販売する企業と、レース浴衣を貸し出すレンタル着物店に取材した。

SNS上で広まり始めた「レース浴衣」

10〜20代向けファッションを発信するRiLi(東京都渋谷区)は、2019年からレース浴衣を販売している。商品企画担当の青島翠さんによれば、2017年ごろから着物レンタルブームがおこり、一部のインフルエンサーがレースの着物を選んでいたそうだ。これに注目し、SNS上でシェアしたくなるようなレース浴衣を制作したという。

初年度は「レトロ感」を意識して制作。これが好評だったため、2年目からは同社のファン層に向けたカラーや「大人っぽいカラー」を展開しているそうだ。青島さんは「もっと気軽に浴衣を楽しんでもらおう」とワンピースや洋服のような着こなしを提案している。

「小物は和小物に限らず、ボストンバッグやビーズやパール素材のバッグなども相性がよいです。またアクセサリーも、シュシュやバレッタなど既にお手持ちのアイテムを合わせて、普段着の延長感覚で楽しんでほしいと思っています」

同社の着物はSNS上を中心に人気を博している。20年夏には同社のレース浴衣を紹介する一般ユーザーのツイートに、7万「いいね」を超える大きな反響があった。インスタグラム上にも同社の着物を着て、浅草や京都、東京ディズニーランドを散策する人々の写真が投稿されている。

青島さんはSNSで浴衣を見た人が購入していると述べる。RiLiのレース浴衣の累計販売は2000枚以上。同社の浴衣の売り上げの3分の1を占める。21年は4月末から予約販売を開始し、7月8日現在までに約600枚の注文があった。

現在、レース浴衣を販売するアパレルブランドは複数ある。原宿の催事などで着物を展開するMIKI・櫻(東京都足立区)は、4〜5年前からレースの着物を展開しており、同社の担当者は取材に対しフェミニンな女性に人気だと述べた。

それではレース浴衣を着た人からは、どんな感想が挙がっているのだろうか。J-CASTニュースは「レース浴衣」を貸し出すレンタル着物店に取材した。

ファッション感度の高い世代に向けて展開

京都や浅草で着物レンタルサービス「愛和服」を手掛けるアイワフク(東京都台東区)は2021年6月にレース浴衣のレンタルを開始した。

代表取締役社長の畑和男さんは、昨年からレース浴衣に注目。「トレンドとしてファッション業界でもレースのアイテムが増える状況の中、着物業界でも新しいファッションとして若い女性に人気が出る」と考えたという。しかし新型コロナウイルス禍の影響で入荷に時間がかかり、1年待ってようやく今年から「レース浴衣」プランを展開できた。

畑さんはレース浴衣の特徴をこう述べる。

「従来の浴衣は、どちらかというと大柄や花柄、色彩的に派手な感じが多いデザイン柄行(がらゆき)でした。レース浴衣は淡色のコーディネートで、可憐で清楚な女の子らしさを引き出してくれます。
透明感をレース浴衣が引き立て、本来の夏の着物である、絽の着物、紗の着物を思わせる気品も感じさせる事ができます。可愛く演出もでき、また大人っぽく華麗さも演出できます」

同社では、アイボリー、ラベンダー、ライトグリーン、グレー、ブラックの5色を各5枚、合計25枚を貸し出している。値段はプランにもよるが税込み5000円ほどで、特に10代後半から20代に人気という。ファッションに関心の高い人々からは、「大正ロマン」や「アンティーク」、「レトロ」をテーマにレース手袋やトーク帽などを用いたコーディネートも好評だと述べた。

同社で浴衣を借りた20代女性は、「通気性が良く軽いので、軽く涼しく快適だった。従来の着物のような重さがなく、可愛いのでまた着たい」などと話していた。また畑社長によれば、「思ったより、涼しく着やすかった」「可愛く装えて楽しかった」「レースの小物などの組み合わせがおしゃれで可愛い」といった感想も寄せられたそうだ。

カジュアルな着物として打ち出す店も

レース浴衣のレンタルが広まった背景に、コロナ禍の影響をあげる企業もある。着物レンタルサービス「きものレンタルwargo」で知られる和心(東京都渋谷区)は2021年7月1日にレース浴衣のレンタルを開始した。その背景をこう述べる。

「『きものレンタルwargo』は、2014年オープンよりインバウンド観光客をメインターゲットとしてきましたが、昨年からのコロナ禍の影響によりインバウンド顧客の流入がほぼゼロになったため、日本人10代〜30代にターゲット層を変更しました。そのため新たなターゲット層に向けた浴衣デザイン導入の必要性が高まり、2021年春夏トレンドであるレース素材を取り入れた『レース浴衣』を新作として打ち出すことを決めました」

和心は、日常的に着物を楽しみたい若い日本人女性をターゲットに「レース浴衣プラン」を展開した。レース浴衣は、「ワントーンのレース生地一枚から作られているため、日本人10~30代女性のファッショントレンドである『ワントーンコーディネート』を浴衣で作ることができる」という。

「浴衣や着物は観光地でレンタルするというイメージが定着していましたが、コロナ禍で地元を探索する人が増え、身近にあるレンタル店で浴衣や着物を着てまち歩きを楽しむという習慣がここ最近定着しつつあります。そういった人向けに積極的に浴衣や着物を着ていただきたいと考えています」

同社ではホワイト、ブラック、ピンク、カーキ、ボルドー色など全10種類のレース浴衣を揃えた。小物としては、ドライフラワーのヘアアクセサリーやビジューバッグなどを用意し、「大人可愛い」をテーマにしている。着付けとヘアアクセ・バッグなどの和小物はレンタル料に含まれており、5500円(税込み)で借りることができる。

さっそくレース浴衣を借りた人々からは、こんな声が寄せられたという。

「夏らしい、シースルーが程よい肌見せで大人っぽい!(東京浅草店)」
「レース浴衣のInstagramを見て同じコーデをしたくて来ました。(京都タワーサンド店)」
「浴衣がレース素材になっている!涼しげで可愛いいしとても気に入りました。(金沢香林坊店)」

和心は「和を扱う会社として今回のレース浴衣のように『和』に触れる機会を創出していきたい」と意気込んだ。

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)