高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 丸川珠代氏「五輪は感染拡大の原因になってない」発言をデータで紐解く

丸川珠代五輪担当相は、「五輪は感染拡大の原因になってない」、また、トーマス・バッハIOC会長の銀座散歩に対し、「ご本人の判断」と発言した。テレビワイドショーは、五輪のために感染拡大したことを前提で話が出来ているようだし、外出自粛をいいながら本人判断はおかしいというので批判もある。

■日本の新規感染者数は世界とかなりの程度連動している

前者の五輪が感染拡大の原因でないというのは妥当だ。そもそも人流データをみれば、人流は減少しているところが多い。

また、五輪関係者の入国のためというのは、五輪関係者などで明確なクラスターが発生せず、関係ない。

ちなみに、報道では、五輪大会関係者の感染者は2021年7月1日から8月7日までに430人。その内訳は、選手29人、選手団監督コーチ等109人、メディア・各国組織委員会35人、大会委託業者236人、ボランティア21人だ。

五輪関係者はどのくらいいるのだろうか。選手1.1万人、海外から来る大会関係者5.9万人、国内の大会関係者は30万人程度。

そこで、それぞれで1日あたりの感染者数(百万人あたり)を見てみよう。選手は69人、海外から来る大会関係者は64人、国内の大会関係者は22人。

この数字は世界や国内から見れば、それほど高い数字ではないので、五輪が国内の感染拡大の原因とはいえない。しかも、五輪関係者は一般国民とはほとんど接触していないので、関係ないといえる。

現在の感染拡大は、日本だけでなく、世界でも起こっているので、感染力の強い変異株によるものだろう。ちなみに、昨年1月からこれまで人口あたり新規感染者数について、日本とG7諸国との相関係数をとると、0.35〜0.68となっており、日本の新規感染者数は世界とかなりの程度連動している。

五輪期間といっても、その傾向はこれまでどおりであり、特に五輪の影響とは思えない。なお、G7では、日本はカナダ、ドイツとともに人口あたり死亡者数は低位である。

■もともと不要不急は本人判断

後者の自粛について、五輪関係者は入国後14日間、競技場や練習場、宿泊場所以外への外出が原則禁止であるが、バッハ会長は14日を経ているのでその適用はない。

そもそも自粛とは、英語でいえば「voluntary restraint」なので、もともと不要不急は本人判断である。何を今更言っているのか。

なぜ日本では移動について自粛なのか。それは移動の自由は基本的人権として憲法で認められている(22条)ので、その制限のためには、公共の福祉では不十分で、緊急事態条項などの憲法上の規定が必要だからだ。公共の福祉でそれを制限するのは危険なので、先進国では緊急事態条項があるが、日本では憲法改正しなかったのでその条項はない。日本で「ロックダウン」が行えないのも同じ理由だ。

自粛やロックダウンを議論していくと、憲法改正にぶち当たる。なので、改憲反対勢力には不都合なので、自粛やロックダウンはまともには取り上げられないだろう。

丸川大臣の発言は、筆者としては興味深かったが、あっという間に消えてしまった。

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