おむつ替え室の天井にTV、アンパンマン流れる 感動の設備なぜ生まれた?施設に聞く「トイレこそ」の思い

「天才が作ったおむつ替えスペース」「子供にとっても親御さんにとっても最高」――SNS上では、愛知県刈谷市のレジャー施設「刈谷ハイウェイオアシス」に設けられた子供のおむつ替えスペースに大きな注目が集まっている。

J-CASTニュースは2021年8月12日、刈谷ハイウェイオアシスの広報担当者に設置背景などを取材した。

■「上の子も下の子も親のことも全て考え尽くされた」スペース

刈谷ハイウェイオアシスは、パーキングエリアと刈谷市の都市公園が隣接したレジャーエリア。高速道路からも一般道からも利用することができ、フードコートや温泉など様々な娯楽施設が展開されている。

その名物の一つが「デラックストイレ」。金属の質感をメインにしたメタリックな男性用トイレや、絨毯やソファが設置された優雅な女性用トイレが好評だ。

同所を利用したツイッターユーザー・さゆさんは、子供のおむつ替えスペースに注目し、ツイッター上で紹介。約10万「いいね」が寄せられる大きな反響を呼んだ。さゆさんによると、おむつ替えスペースの天井にはテレビが設置されていたのだという。テレビには子供たちに人気のアニメ「アンパンマン」が映し出されていた。

「おむつ替えは一瞬の作業ですがその一瞬の間、ちょっとだけでもじっとしててもらえるとおむつ替えがスムーズにできます。天井の映像に気を取られている間におむつ替えができたのでとてもやりやすかったです。入った瞬間に天井を見てそのためのものだとすぐに分かり感動しました」

仰向けになった子供がテレビに映し出されるアニメに集中するため、親は容易におむつを交換することができるのだという。さらにおむつ替えスペースには、子供の兄弟が待つことのできるスペースも設けられている。そちらにも子供の大きさに合わせた椅子やテレビが設置されており、兄弟がおむつを替えられている間も退屈せずに過ごすことができる。

さゆさんはツイッター上で、「上の子も下の子も親のことも全て考え尽くされたこんなスペースもあるんだって感動」したと述べ、設計者にお礼を伝えたいと語った。

■「正直私たち施設側の自己満足ではないかという不安もありました」

J-CASTニュースの取材に応じた刈谷ハイウェイオアシスの広報担当者によると、デラックストイレの設計は鵜飼哲矢事務所(愛知県刈谷市)に依頼したという。フジテレビ本社設計担当などで知られる鵜飼哲矢さんが設立した一級建築士事務所だ。

ではなぜ同施設は、トイレにここまで力を入れたのだろうか。広報担当者はその背景をこう語る。

「当施設がオープンしたのは2004年12月になりますが、その当時は高速道路の休憩施設のトイレはただ用を足すのみの施設であり、どちらかといえば『汚い』『不衛生』というイメージが強かったと思います。
その中で刈谷ハイウェイオアシスを設計するにあたり、高速道路利用者のニーズを調べたところ、休憩施設の利用目的の大きな割合を占める要素が『トイレ』であることがわかりました。
そんな利用目的の大半を占めるトイレがただ用を足すのみの施設で本当のサービスといえるのか。
飲食スペースや売店の品揃えの充実だけではなく、トイレこそしっかりと整備し、質の高い空間にする必要があるのではないか。そのような考えから、『ゆっくりとくつろいでいただけるトイレ』を作ろうと考え、デラックストイレが出来上がりました」

おむつ替えスペースの構想は、おむつ替えを嫌がる赤ちゃんや、赤ちゃんと年齢の近い兄弟姉妹がいる場合を想定し、具体的にイメージを詰めたという。赤ちゃんの目の前に楽しいアニメーションが流れていたらアニメに集中しておむつ替えがスムーズになるのではないか。赤ちゃんと年の近い子供がおとなしく待っていられる仕掛けを設ければ、親の負担が軽くなるのではないか――。そうしたリアルな想定が実際に役に立っている。

広報担当者は、利用者からの声を受けて喜びを語った。

「正直私たち施設側の自己満足ではないかという不安もありました。ただ、今回このように実際に利用者の方が喜ばれている声を聞くことが出来ると、サービスの一つの在り方として満足していただけたと感じることができ、とても嬉しく思います」

■今後は男性も育児に取り組みやすい空間へ

さらに広報担当者によれば、デラックストイレはさらなる改善を図るという。

「新しいデラックストイレについては、今回取り上げていただいたおむつ替えコーナーのテレビのアイデアを継承するだけでなく、より今の時代に合ったトイレの形を実現するために様々な検討を重ねております」

デラックストイレは、2021年9月から大規模なリニューアル工事を予定している。工事期間中は利用できなくなってしまうが、リニューアル後は「より今の時代に合ったトイレの形」を実現すると意気込む。

「例えば、授乳室で言えば、デラックストイレが出来たころに比べてお父さんたちの育児への取り組み方が変化してきている中で、現在の『母と赤ちゃんの部屋』は女性用トイレの中にあり、男性の方が利用できない作りとなっています。
そのような時代の変化に合っていない部分をできるだけ改善しながら、よりご満足いただけるトイレにしていくためにリニューアルをいたしますので、工事期間中はご迷惑をおかけしますが、ぜひご期待いただければと思います」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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