任期満了後の解散総選挙は「憲法のバグ」 立憲・枝野代表、「奇策」浮上に反発

支持率低迷で菅義偉首相が解散総選挙のタイミングを失いつつある中、総選挙を衆院議員としての任期満了後にずらすとの観測が浮上し、野党が警戒感を強めている。

任期満了は2021年10月21日。ただ、憲法には衆院解散から40日以内に総選挙を行うという規定があるため、この日に解散すれば原理的には11月30日まで選挙を遅らせることができる。ただ、現行憲法下で任期満了にともなう総選挙は1回だけで、その唯一の選挙も任期内に投開票されている。立憲民主党の枝野幸男代表は、任期満了後に総選挙を行えると解釈できるのは「憲法のバグ」によるものだとして、任期中の総選挙を求めている。

■「選択肢はだんだん少なくなってきているが、その中で行わなきゃならない」

菅氏は8月17日の記者会見で解散の時期を問われ、

「選択肢はだんだん少なくなってきているが、その中で行わなきゃならないというふうに思っている。いずれにしろ、感染拡大(の防止)を最優先にしながら、そこについては考えていきたい」

と述べ、自らの手で解散を行うことを強調した。

元々有力視されていたのは、9月5日のパラリンピック閉幕直後に解散し、その勢いで9月中に行われる自民党総裁選を乗り切る、というシナリオだ。菅氏の総裁としての任期は9月30日まで。総裁選の日程は8月26日に決まる予定で、9月17日告示、29日投開票が有力視されている。告示までに衆院解散があれば、総裁選の実施は凍結される。

ただ、これは感染を8月中にある程度押さえ込み、8月31日に緊急事態宣言を解除することが前提だった。現実には緊急事態宣言は9月12日まで延長され、その間の解散は現実的な困難だとみられる。元々のシナリオは崩れた上、仮に感染が収まらずに9月12日に宣言が解除できないとなれば、さらに日程はズレ込むことになる。

公職選挙法の規定では、任期満了日の前の30日以内に衆院選を行うとしている。解散せずに任期満了選挙になった場合、投開票は9月21日〜10月20日。現行憲法下での唯一の任期満了選挙が1976年12月5日に投開票された衆院選だ。三木武夫首相(当時)が解散を模索したものの、党内の反対で断念した末に行われた選挙で、自民党が過半数割れして敗北した。公示日が11月15日で、任期満了が12月9日。任期内に行われた総選挙だ。

総選挙を任期満了後にずらせる、という考え方もある。憲法第54条にある、解散の日から40日以内に衆院選を行う、とする規定が根拠だ。仮に任期最終日の10月21日に解散すれば、衆院選は11月30日までに行えば良い、という解釈もできるわけだ。現実的に投開票日になり得るのは、このうち最も遅い日曜日の11月28日だ。政府・与党からすれば、この頃までに感染を抑えることができれば勝機が見えやすくなる、というわけだ。

■10月21日以降の実施なら「そのこと自体、政権与党が大きな政治責任」

こういった動きに野党は警戒感を強める。立憲民主党の枝野幸男代表は21年8月18日の会見で、10月21日以降に総選挙ができるように読めることを「憲法のバグ」と表現。任期内の総選挙実施を求めた。

「確かに憲法の規定を細かく読めば、10月21日以降に総選挙を先送りすることは、形式的にはできるように読めるが、基本的には、私は、あれは一種の『憲法のバグ』だと思っている。任期がはっきりしている以上、任期満了前に総選挙を行うというのは総選挙の日程を決めうる立場にある政府・与党の責任であり、10月21日以降にならないと総選挙ができないという状況であるとすれば、そのこと自体、政権与党が大きな政治責任を負わざるを得ない」

国民民主党の玉木雄一郎代表も同日の記者会見で、「憲法上いろいろな解釈があるが、原則は与えられた4年の任期が終わるまでに、きちんと次の権限が付与される投開票を迎えるのが筋だと思う」。さらに、

「その(任期の)範囲の中においては、与野党がきちんと話し合いをして、これからの政治スケジュールを今のうちからフィックス(確定)した方がいいと思う」

とも話し、任期内で最も遅い日曜日にあたる10月17日の投開票が望ましいとの考えを示した。その上で、日程を事前に決めることで、ワクチン接種を行う地方自治体にとって作業の予測可能性が高まるとして、

「そうした選挙をするのも、コロナ禍という特殊な状況の中では、むしろ国民が求めるひとつの姿ではないか」

と話した。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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