所得倍増は「リップサービス。選挙で通用しにくい」 岸田首相の政策が衆院選公約から消えた理由

岸田文雄氏が自民党総裁選で主張した政策が衆院選公約から消滅 高市早苗氏が止める?

記事まとめ

  • 岸田首相が裁選で主張した政策について、衆院選公約ですべて「記載なし」と紹介された
  • 「流石にこれはあんまり」「こんな事だろうとは想像してた」などとがっかりする声も
  • 安倍晋三氏が支援した高市早苗氏が公約のたたき台を作っており、止めたと見られている

所得倍増は「リップサービス。選挙で通用しにくい」 岸田首相の政策が衆院選公約から消えた理由

岸田文雄首相が自民党総裁選で主張した「令和版所得倍増」などの政策について、自民党の衆院選公約ですべて「記載なし」と紹介したテレビのニュース画像がツイッターで投稿され、話題になっている。

実際は、表現が変わっている部分もあるようだが、「所得倍増」などの言葉はなくなっている。総裁選で掲げた主要な政策の言葉は、なぜ消えたのだろうか。

■所得倍増や、金融所得課税強化、子育て世代支援などの言葉がなくなる

総裁選で、岸田氏は、所得倍増のほか、金融所得課税の強化や子育て世代への住居・教育費支援、健康危機管理庁の新設といった主要政策を挙げた。また、党内の改革では、役員任期を連続3期までとする考えを示した。

これらについて、前出のニュースでは、自民党の公約では、いずれも「記載なし」と表にして示している。ツイッターで2021年10月15日、その画像が投稿されて、1万件以上もリツイートされる反響を呼んだ。

自民党の高市早苗政調会長が12日に発表した公約では、確かに所得倍増との言葉はなく、経済対策では、代わりに、賃上げに積極的な企業への税制支援を挙げるなどしている。岸田氏が掲げた所得倍増について、山際大志郎経済再生相は14日、所得が2倍になる意味でなく、多くの方が所得を上げられる環境を作ることだとマスコミ取材に答えたと報じられた。賃上げ企業支援などがそれに当たるようだ。

また、金融所得課税や子育て世代支援については、総裁選で挙げた言葉は公約にはなく、健康危機管理庁も盛り込まれなかった。党改革についても、それは同様だ。

こうした点について、高市氏は会見で、「実現できてこそ政策」だと説明し、公約にない政策は党審査を経てから進めればいいとも明かした。もっとも、「デジタル田園都市国家構想」など、岸田氏が総裁選で掲げた政策で公約に盛り込まれたものは、いくつかある。

主要政策だった言葉が公約にないことについて、ツイッターで話題になって、様々な意見がリプライで寄せられた。

「全部消えたんじゃない」「言葉を変えて記載している」「党改革とか内部の話を選挙公約に書くわけない」との声も出た一方、「流石にこれはあんまり」「看板変えて中身はいっしょ」「こんな事だろうとは想像してた」などとがっかりする向きも多かった。

■「自民党内では通りがよかったが、選挙では言葉尻を捉えられる」

所得倍増など総裁選での言葉が公約にないことについて、政治評論家の有馬晴海さんは10月15日、J-CASTニュースの取材にこう話した。

「所得倍増は元々、池田勇人首相が唱えたもので、田園都市構想は、大平正芳首相です。現在は岸田派になった『宏池会』の伝統的な政策で、保守本流のよき時代に戻りたいとの思いを喚起し、自民党の中では通りがよかったわけです。ただ、選挙になると、所得が2倍になるのかと野党などから言葉尻を捉えられ、説明がつかなくなります。あくまでも、バラ色の言葉によるリップサービスですので、選挙では通用しにくいと公約では引っ込めたわけです」

他派閥への自身の「聞く力」を発揮した結果、岸田カラーが薄まったといった可能性については、有馬さんは、こんな見方を示した。

「安倍晋三さんが総裁選で支援した高市さんが、公約のたたき台を作っており、岸田さんも、勝たせようとしてくれた人たちを裏切るわけにはいきません。また、支持率を気にして日程を早めたほど、今回の選挙は楽な戦いではありませんので、党内のバランスが悪いと、他派閥から文句が出て一枚岩で戦えなくなります。岸田さんの個性を出して余計なことを言うと責任を取るよう言われるので、マイナスになるような公約は止めたのだと思います」

金融所得課税強化を公約に出さなかったことについては、株価が下がって経済界が期待していないことが分かったからだといい、子育て世代への住居・教育費支援を明記しなかったのは、子供1人当たり10万円の給付金を出すと公約した公明党に配慮したのではないかという。

健康危機管理庁の新設については、実現するのがなかなか難しかったのではないかとみる。党役員任期を連続3期までとすることには、二階俊博氏が幹事長でなくなった今は追及されるようなケースが乏しいだけで、岸田氏が撤回しておらずまだ生きているのではないかとしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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